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成田を発って約11時間後、飛行機は着陸態勢に入った。眼下には碧い海。おお、ここはイタリアか!
思わず眠い目をこする。いやいや、そんなわけはない。
眼下に広がるのは北米五大湖の一つで、世界6番目の面積を持つミシガン湖である。面積は58,016平方メートル。なんと、日本最大の湖・琵琶湖の86倍もあるのだ。 |
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北米五大湖の衛星画像。左上からスペリオル湖、ミシガン湖、ヒューロン湖、エリー湖、オンタリオ湖となっている。
緑の矢印がシカゴ。赤い枠で囲まれているのが、比較のため載せた琵琶湖である。
ミシガン湖とヒューロン湖は海峡で繋がっており、地理学的にみても一つの湖だそうだ。
これほど大きなミシガン湖だから、思わず海かと思ってしまっても不思議ではない。
一方、シカゴはイリノイ州の大都市で、中西部でも最大の都市でもある。都市部の人口は960万人を超える。
シカゴと言えば、「ER」か「シカゴホープ」。アメリカのドラマ好きなら、まずそう答えるだろう。
どちらもシカゴを舞台とした医療ドラマで、「シカゴホープ」はERの後発だが、それなりにおもしろかった。「ER」はまぎれもなく近代史に残る名ドラマで、第14シーズンの現在まで続くロングシリーズだ。残念ながら次シーズンで終了するそうだが、これほど面白くてよくできたドラマはなかなかないだろう。
ドラマ中のほとんどはスタジオ撮影だろうが、時々ミシガン湖畔でのシーンも登場する。 |
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車椅子で散歩したり、ランチを食べたり、ジョギングしたり。特にシーズンY、肺ガンで死期の迫ったグリーン先生のお父さんがミシガン湖をクルージングするシーンは本当に泣けた。
とまあ、これだけ大好きなERの舞台となったシカゴには思い入れがあるわけだけれど、今回はただの乗り換え地でしかない。時間があればせめて湖畔だけでも行きたいのだが、あいにく食事をする程度の時間しか空いていなかった。
ところで、ここシカゴの空港名は「O'Hare International Airport」という。「O'Hare」は「オヘア」と発音するのだが、これがなんとも発音しにくい。「ha」のスペルに惑わされて、うっかり「おはえ」と言ってしまうのだ。これでは当然通じなくて、アメリカ人は「????」という表情になる。 |
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飛行機を降りて荷物を受けとると、モノレールで移動。メインターミナルにやってきたわたしたちは、ここで大森さんと合流した。
そして、ルイヴィル行きの便に乗せるための「荷物お預け所」に荷物を預ける。
すると、大森さんが「レンタカーを借りてドライブでもしましょうか?」と提案してきた。ルイヴィル行きのフライトまで2時間近くある。
すぐさまレンタカーに乗れれば、湖畔あたりを走れるかも? |
わたしたちは空港の正面口から出た。そして、たまたまやってきたAVISの送迎バスに飛び乗る。
空港とレンタカー屋さんの間を、たくさんの循環バスが走っていた。AVISの他、Alamo、Hertsのバスもあり、いずれも無料で利用できる。 |
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だが、到着したAVISのオフィスには長蛇の列ができていた。いったんはそれに並んだわたしたちだったが、列はあんまり進まない。
契約して車に乗れるまで1時間以上はかかりそうなペースだ。これではドライブどころではないし、フライト時間を気にして焦るのも嫌なので、レンタカーは取りやめにした。
先ほど乗った送迎バスで空港ターミナルにとんぼ返り。ああ、残念。 |
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わたしたちはターミナル内にあるパブみたいな店に入った。高イスの席に並んで座り、わたしはインターネットをするためラップトップを取りだした。
セットアップの間、大森さんと夫がサンドイッチとビールを買いにいってくれた。
すると、ビールをオーダーした二人にカウンターの店員が「ID見せて」と、身分証明書の提示を求めていた。
アメリカでは10代の若者の飲酒を防ぐため、お酒を買う際にはIDの提示が必要なのだ。 |
古い作品だが「アメリカングラフィティ」という映画では、なんとかして酒を買おうと苦心する高校生が描かれている。
日本人旅行客も、もちろんIDを見せなくてはビール一つ買えない。
だけど、どこからどう見てもオジサンである大森さんと夫までもが要求されるとは。二人揃ってパスポート見せてる姿はちょっと笑える。
アメリカというのは相反する両極端な面が共存した、つくづく面白い国だと思う。
ドラマや映画では、大酒飲みなアメリカ人という印象がある。ベロベロに酔っぱらっても平気で車に乗って帰ってしまう、そんな描写が多いからだ。アメリカ人は酒に強く、飲酒にも寛容だと思っていた。
その一方で、ここは極めて保守的な人々が影響力を持つ国でもある。
初期のアメリカ移民は、プロテスタントの中でも特に潔癖なことで知られるピューリタンだった。そういった保守的な層、とりわけ女性たちによる飲酒への反発が強く、それが19世紀から20世紀初頭の禁酒法へと繋がっていったのである。
人口に対するアル中の割合が日本より多いのかどうかは、わからない。だが、アメリカのドラマには脱・中毒のためのグループセラピーに通い、一滴の酒も口にしないという元アル中患者が頻繁に登場する。
食事のとき一杯のワインを飲むくらいは別にいいじゃないかと思うのだが、アルコールで苦しんだ元患者は一滴の酒も飲まない。
浴びるほど飲むか、さもなければ一切断ち切るか。中間どころがなく、両極端なのだ。 |
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他にストイックな生活で自己管理をし、スレンダーな体型を維持しようとする上流階級のアメリカ人と、ジャンクフードで肥満がちな一般アメリカ人など、他にも色々あって枚挙にいとまがないのだが、追々書いていくことにする。
←なんだかワープ中の光景みたいだが、ここはターミナルからターミナルへと移動する通路である。
動く舗道が延々と続き、ネオンの装飾がめまいを誘う。綺麗ではあるが、センスの感覚が今ひとつ日本人とは違う気がする。 |
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靴磨き屋さん。客の二人はいずれも新聞を広げており、映画のシーンのようだった。
ところで、ビルに飛行機を激突させられるという未曾有宇のテロを経験したアメリカでは、乗客に対してとても厳しいセキュリティチェックを行うようになった。
ドリンクのペットボトルはもちろん、多量の液体物は持ちこめない。スーツケースに施錠させない。
さらに金属探知機をくぐる前には靴を脱ぎ、ベルトも外し、ポケットの中身を出し、ノートパソコンはバッグから出す。 |
そして、それら脱いだ靴やらポケットの中のコインやら首にぶら下げておいたデジカメなどといった諸々のものを全部トレイに載せ、X線検知器にくぐらせる。
だから、乗客は靴を脱いだまま少しのあいだ歩かなくてはならない。靴下履きのアメリカ人が床の上をとぼとぼと歩く群れは、なかなか異様な光景であった。 |
ルイヴィル行きのターミナルに到着した。
通路の窓からは大小様々な飛行機が驚くほど間近に見える。出発準備に余念がないパイロットの様子が丸見えで楽しい。
しかし、飛行機が小さいせいもあるが、コックピットがすごく狭いのに驚き。パイロットはLサイズなんだが。 |
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やがて搭乗ゲートに到着した。あれが、わたしたちが乗る飛行機だわ・・・。と、しばし荷物積みこみの様子を見守る。
ベルトコンベアーに乗せられた荷物が、カーゴルームへと消えていく。
わたしのスーツケースはちゃんと乗ったかな? という思いが脳裏を横切ったのは、予兆だったのだろうか。
ところで、フライトまでの時間を利用してインターネットをしようと再びラップトップを開けたが、バッテリーがほとんど空になっていた。 |
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待合所にあるコンセントを探して歩いたが、すべてのコンセントが誰かに使用されていた。皆、ラップトップや携帯の充電をしているのだ。わたしはコンセントの近くのベンチに座り、空くのを待った。
やがて隣接するゲートで搭乗が開始した。すると、見張っていたコンセントを使っていたアメリカ人が充電器を引き抜いて立ち去った。
さっそくラップトップのコンセントを差して場所を確保。そしてシカゴ空港内で無線LANを提供するサービスにカード番号を入力して登録し、インターネットを開始した。 |
数十分後、わたしたちも搭乗時間となった。
飛行機の中に入って、あまりの狭さに驚く。ローカル便だから小さい飛行機なのはわかるが、もうぎっちぎちの狭さだ。
一応ファーストクラスに相当する席はあるらしいが、アクセスプラス席はなし。いったん座ったら立てない状況なので、トイレにも行かれなかった。 |
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テイクオフし、シカゴの上空へ飛びたつ。
ミシガン湖と、湖畔に建つ高層ビル群が見える。本当はこのあたりまでドライブしたかったが、こうして見るとかなりの距離がありそう。とても1時間ちょっとじゃ行って帰れなかったかも。取りやめて賢明だった。 |
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