杉江家のどこでも別荘 キャンプ日記
                〜31フィートのキャンピングトレーラーと温泉情報

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 初日 07-11-28
ロサンゼルス到着
 夫と二人だけの海外旅行なんて、いったい何年ぶりだろう。ひょっとして新婚旅行以来かも・・・と、わたしは成田エクスプレスを待つホームで、過去の海外旅行を思いおこしていた。
 新婚旅行は二人ともハリウッド映画好きだったことからロサンゼルスだった。次に、友だち夫婦とシンガポールへ。長男が4歳のとき、ハワイへ。
 やっぱり、国内旅行を除けば新婚旅行以来じゃないか。
 正確に言うと今回は二人だけの旅行ではなく、現地で大森さんと合流する予定なのである。
 しかし、旅立ちは二人きりだ。これがとても新鮮で不思議な感覚だった。子どもとの旅行ではなにもかも自分で対処しなくてはならないから、緊張とプレッシャーの連続だ。
 ところが子ども抜きの旅行ときたら、なんてまあ気楽なんだろう。あまりに楽なので拍子抜けというか、なにか見落としていることがあるのではないかと逆に不安になるほどだった。
 まるで伊豆旅行にでも出かけるような気楽さで、わたしたちは成田エクスプレスに乗りこんだ。
 
←成田空港のクリスマス・ディスプレイ
 
 ところで、ルイヴィルっていったいどこ? という人のために解説しておく。
 ルイヴィルはケンタッキー州の最大都市で、人口は約25万人。工業都市だが競馬が盛んで、ケンタッキーダービーで有名だ。
 右の地図の赤いところがケンタッキー州。アメリカの医療ドラマ「ER」の舞台シカゴは、それより2つ北にあるミシガン州の都市だ。
 また、日本人にとってケンタッキーは「ケンタッキーフライドチキン」のふるさととして馴染み深い。ケンタッキーと言ったらそれしか思いつかないという人も多いことだろう。
 しかし、「ケンタッキーフライドチキン」の創始者カーネル・サンダースは、意外にもケンタッキー州の生まれではない。
 KFCのオフィシャルサイトによると、カーネルさんの本名はハーランド・サンダースという。カーネルは本名ではなく、のちにケンタッキー州から贈られた称号なのだ。
 軍隊の大佐を意味する「カーネル(colonel)」と同じ綴りだが、これは南部や中部の州で民間人に与えられる名誉称号だという。
 生まれはルイヴィルから河一つ隔てたインディアナ州ヘンリービル。幼くして父を亡くしたハーランドは、小学校を卒業する前から弟や妹を養うために働きに出ていた。
 以来、様々な職業を点々としたのち、40歳のときケンタッキー州で「サンダース・カフェ」を開業。素材にまでこだわった独自のフライドチキンが好評を博し、行列ができるほどとなった。
 1935年、人々への貢献によりケンタッキー州知事から名誉称号「カーネル」を授与されるが、火事やハイウェイ建設などによりカフェを廃業することになった。
 唯一残った財産はフライドチキンの製法だけ。ハーランドは調理法を教える代わりにロイヤルティを得るというフランチャイズ・ビジネスを思いつき、ワゴン車でアメリカ全土をまわった。
 ビジネスは成功し、73歳のときにはチェーンは600店を超えた。
 やがてハーランドは会社の権利を譲渡し、自分の調理法が正しく行われて美味しいフライドチキンが提供されているか、各地の店舗を見てまわる。その旅は全世界にまで及び、日本にも3回訪れているという。
 1980年、90歳で亡くなるまで現役を貫き、慈善活動にも力を注いだそうだ。
 右の地図では境界線が見えづらいが、ルイヴィルはケンタッキー州の北の外れに位置しており、すぐ北はインディアナ州である。日本でも知名度の高いインディアナポリス、シンシナティからほど近い。
 ちなみに第16代アメリカ合衆国大統領アブラハム・リンカーンはケンタッキー州の生まれ。そして、リンカーンと並べるのもなんだけど、あのジョニー・デップもケンタッキー州出身だそうだ。
 なんかちょっと意外。
 さて、今回利用するのはユナイテッド航空である。残念ながら日本からルイヴィルへの直行便はないので、シカゴで乗り継ぎとなる。
 ユナイテッドはノースウエストなどに比べると料金が安めなのと、大森さんがご贔屓にしているので、今回選ぶことになった。
 しかし、なぜかアメリカ人には評判が悪い。
 わたしの英語の先生カイルは、「なに〜、ユナイテッドだって? そりゃあ気の毒だね」なんて言うほどだった。
 カイルは赤ちゃんと一緒に乗ったとき、ベビーを寝かせたクーファン(取っ手のついた持ち運びベッド)を床に置けと言われ、「赤ちゃんを寝かせたベッドを床になんか置けないよ!」と怒り心頭。以来ユナイテッドを利用しないと心に誓ったそうだ。
 レッスン終了後、カイルは「帰ったら、どれだけひどかったか話してね」と言った。
 しかし、ユナイテッド航空の名誉のために書き添えておくが、ユナイテッドはアメリカン航空に続いて世界で2番目に大きな航空会社だそうだ。
 2001年9月11日、世界同時多発テロでユナイテッドは国内線を2便ハイジャックされ、テロに使われたことから経営が悪化した。破綻後は連邦倒産法により運行し、現在は再建を果たしている。
 人間というものは期待しすぎるとガッカリするし、大して期待していないと「なんだ、それほどひどくもないじゃん」と思う、不思議な生きものだ。
 今回、エコノミープラス・アクセスという普通のエコノミーよりやや広い席だったこともあってか、言うほど悪くないというのが第一印象だった。
 もちろん広いといってもこの程度だが、前のシートが倒れてきても膝がくっつかないのはかなり良いことだ。
 青いシールがエコノミープラスの印。年会費349ドルを支払えば、同行者1人までエコノミープラス席に座ることができる。
 食事はエコノミーのままでいいから、せめて席はエコノミーより広く・・・と願う人は多いはずだ。ANAだとエコノミー・プレミアムにあたるが、エコノミー・プラスはそこまで広くない。
 それでも最小の出費でちょっとだけ広い席に座ることができるこのシステムは、かなり悪くない。
 さて、いよいよ離陸だ。しばらくすると、飲み物が配られた。夫はビールを、わたしは白ワインを頼んだ。
 彼は何度もビールのおかわりを頼んだあげく、やがてゴーゴーと飛行機も顔負けの爆音を立てて熟睡した。
 ところで、客室乗務員(以後、C.Aと表記)のほとんどは白人のアメリカ人だった。日本人女性も一人か二人は乗っているが、ANAやJALみたいに穏やかで優しくていつもニコニコという感じではない。
 それでもアメリカ人C.Aよりははるかに優しく丁寧な接客で安心感を与えてくれた。
 アメリカ人C.Aはどこにでもいる普通のオバチャンといった感じで、体型はLサイズ。それに比例した態度のデカさが特徴だ。
 いつも怒ったように「なにを飲みますか?」「ビーフ or チキン?」と訊いてくる。
 しかも、アメリカ人には「サー」を付けて話すのに、日本人には付けてこない(女性客にはマムね)。
 きっと付けても付けなくても、日本人にはわからないと思っているのだ。
 なんという屈辱。日本人よ、舐められたままでいいのか。自然とサー(マム)と言われるくらいの威厳と英語力を備えてから飛行機に乗ろうではないか!(と、自分のことは棚に上げて力説)
 このあたりは、C.Aに対する日米の認識の違いが大きく関係しているようだ。日本でC.Aは常に憧れの職業だったが、アメリカはそうではない。米ドラマやハリウッド映画に登場するC.Aはたいてい若くて美しくて愛想がよいものと相場が決まっているが、実際の考え方は「レストランのウェイトレスと同程度のサービス業」に近いものがある。
 だから総じて年齢層が高く、スタイル不問。日本に飛んでくる飛行機のC.Aが片言の日本語すら話さなくても、刑務所の看守並みに愛想が悪くてもやむを得ない。
 いや、レストランのウェイトレスさんの方がチップがかかっている分、むしろ愛想がよいくらいだ。
 アメリカにおけるC.A雇用の採用基準は、もしかしたらウェイトレスさん以下なのではないだろうか。
 さて、これが運ばれてきた食事である。まあ、特にひどいとも凄く美味しいとも言えない。ごく普通。
 間食にはあられや甘いスナック菓子などが出され、時にはこんなカップラーメンも配られた。しかも、なぜか箱入。こんなもの、わざわざ箱に入れることもないだろうと思うのだが。
 おまけにこれ以上不可解なものはないというくらい摩訶不思議なヌードルで、チャイニーズヌードルと書いておきながら、すぐ下に「きつねらあーめん」。これは「世界の七不思議」である。
 お湯を注いでもらい3分待ってから食べたが、なんかちょっと妙。
 ラーメンなのに、「赤いきつね」と同じような薄い油揚げが乗っている。なにかおかしくない?
 「きつね」と言ったら、麺はうどんか蕎麦だろう。なのに、どうしてラーメンなんだろう? お揚げが乗っているラーメンは日本風なのか、それとも中華風なのか?
 これでおいしけりゃ文句もないが、明らかに日清カップヌードルの方がおいしい。しかし、ぶつくさ言いながらも全部食べてしまったわたし。動かないで食べてばっかりだ。飛行機から降りたら、むくみとの相乗効果で2キロは体重増加しているに違いない。
 映画はキャサリン・ゼタ・ジョーンズ主演の「幸せのレシピ」を鑑賞。フレンチのシェフなのに、なぜかほっそりスレンダーなジョーンズが抜群に美しい。食べるとすぐ太るわたしとはエライ違い。羨ましい。

ロサンゼルス到着
 成田を発って約11時間後、飛行機は着陸態勢に入った。眼下には碧い海。おお、ここはイタリアか!
 思わず眠い目をこする。いやいや、そんなわけはない。
 眼下に広がるのは北米五大湖の一つで、世界6番目の面積を持つミシガン湖である。面積は58,016平方メートル。なんと、日本最大の湖・琵琶湖の86倍もあるのだ。
 北米五大湖の衛星画像。左上からスペリオル湖、ミシガン湖、ヒューロン湖、エリー湖、オンタリオ湖となっている。
 緑の矢印がシカゴ。赤い枠で囲まれているのが、比較のため載せた琵琶湖である。
 ミシガン湖とヒューロン湖は海峡で繋がっており、地理学的にみても一つの湖だそうだ。
 これほど大きなミシガン湖だから、思わず海かと思ってしまっても不思議ではない。
 一方、シカゴはイリノイ州の大都市で、中西部でも最大の都市でもある。都市部の人口は960万人を超える。
 シカゴと言えば、「ER」か「シカゴホープ」。アメリカのドラマ好きなら、まずそう答えるだろう。
 どちらもシカゴを舞台とした医療ドラマで、「シカゴホープ」はERの後発だが、それなりにおもしろかった。「ER」はまぎれもなく近代史に残る名ドラマで、第14シーズンの現在まで続くロングシリーズだ。残念ながら次シーズンで終了するそうだが、これほど面白くてよくできたドラマはなかなかないだろう。
 ドラマ中のほとんどはスタジオ撮影だろうが、時々ミシガン湖畔でのシーンも登場する。
 車椅子で散歩したり、ランチを食べたり、ジョギングしたり。特にシーズンY、肺ガンで死期の迫ったグリーン先生のお父さんがミシガン湖をクルージングするシーンは本当に泣けた。
 とまあ、これだけ大好きなERの舞台となったシカゴには思い入れがあるわけだけれど、今回はただの乗り換え地でしかない。時間があればせめて湖畔だけでも行きたいのだが、あいにく食事をする程度の時間しか空いていなかった。
 ところで、ここシカゴの空港名は「O'Hare International Airport」という。「O'Hare」は「オヘア」と発音するのだが、これがなんとも発音しにくい。「ha」のスペルに惑わされて、うっかり「おはえ」と言ってしまうのだ。これでは当然通じなくて、アメリカ人は「????」という表情になる。
 飛行機を降りて荷物を受けとると、モノレールで移動。メインターミナルにやってきたわたしたちは、ここで大森さんと合流した。
 そして、ルイヴィル行きの便に乗せるための「荷物お預け所」に荷物を預ける。
 すると、大森さんが「レンタカーを借りてドライブでもしましょうか?」と提案してきた。ルイヴィル行きのフライトまで2時間近くある。
 すぐさまレンタカーに乗れれば、湖畔あたりを走れるかも?
 わたしたちは空港の正面口から出た。そして、たまたまやってきたAVISの送迎バスに飛び乗る。
 空港とレンタカー屋さんの間を、たくさんの循環バスが走っていた。AVISの他、Alamo、Hertsのバスもあり、いずれも無料で利用できる。
 だが、到着したAVISのオフィスには長蛇の列ができていた。いったんはそれに並んだわたしたちだったが、列はあんまり進まない。
 契約して車に乗れるまで1時間以上はかかりそうなペースだ。これではドライブどころではないし、フライト時間を気にして焦るのも嫌なので、レンタカーは取りやめにした。
 先ほど乗った送迎バスで空港ターミナルにとんぼ返り。ああ、残念。
 わたしたちはターミナル内にあるパブみたいな店に入った。高イスの席に並んで座り、わたしはインターネットをするためラップトップを取りだした。
 セットアップの間、大森さんと夫がサンドイッチとビールを買いにいってくれた。
 すると、ビールをオーダーした二人にカウンターの店員が「ID見せて」と、身分証明書の提示を求めていた。
 アメリカでは10代の若者の飲酒を防ぐため、お酒を買う際にはIDの提示が必要なのだ。
 古い作品だが「アメリカングラフィティ」という映画では、なんとかして酒を買おうと苦心する高校生が描かれている。
 日本人旅行客も、もちろんIDを見せなくてはビール一つ買えない。
 だけど、どこからどう見てもオジサンである大森さんと夫までもが要求されるとは。二人揃ってパスポート見せてる姿はちょっと笑える。
 アメリカというのは相反する両極端な面が共存した、つくづく面白い国だと思う。
 ドラマや映画では、大酒飲みなアメリカ人という印象がある。ベロベロに酔っぱらっても平気で車に乗って帰ってしまう、そんな描写が多いからだ。アメリカ人は酒に強く、飲酒にも寛容だと思っていた。
 その一方で、ここは極めて保守的な人々が影響力を持つ国でもある。
 初期のアメリカ移民は、プロテスタントの中でも特に潔癖なことで知られるピューリタンだった。そういった保守的な層、とりわけ女性たちによる飲酒への反発が強く、それが19世紀から20世紀初頭の禁酒法へと繋がっていったのである。
 人口に対するアル中の割合が日本より多いのかどうかは、わからない。だが、アメリカのドラマには脱・中毒のためのグループセラピーに通い、一滴の酒も口にしないという元アル中患者が頻繁に登場する。
 食事のとき一杯のワインを飲むくらいは別にいいじゃないかと思うのだが、アルコールで苦しんだ元患者は一滴の酒も飲まない。
 浴びるほど飲むか、さもなければ一切断ち切るか。中間どころがなく、両極端なのだ。 
 他にストイックな生活で自己管理をし、スレンダーな体型を維持しようとする上流階級のアメリカ人と、ジャンクフードで肥満がちな一般アメリカ人など、他にも色々あって枚挙にいとまがないのだが、追々書いていくことにする。
 ←なんだかワープ中の光景みたいだが、ここはターミナルからターミナルへと移動する通路である。
 動く舗道が延々と続き、ネオンの装飾がめまいを誘う。綺麗ではあるが、センスの感覚が今ひとつ日本人とは違う気がする。
 靴磨き屋さん。客の二人はいずれも新聞を広げており、映画のシーンのようだった。
 ところで、ビルに飛行機を激突させられるという未曾有宇のテロを経験したアメリカでは、乗客に対してとても厳しいセキュリティチェックを行うようになった。
 ドリンクのペットボトルはもちろん、多量の液体物は持ちこめない。スーツケースに施錠させない。
 さらに金属探知機をくぐる前には靴を脱ぎ、ベルトも外し、ポケットの中身を出し、ノートパソコンはバッグから出す。
 そして、それら脱いだ靴やらポケットの中のコインやら首にぶら下げておいたデジカメなどといった諸々のものを全部トレイに載せ、X線検知器にくぐらせる。
 だから、乗客は靴を脱いだまま少しのあいだ歩かなくてはならない。靴下履きのアメリカ人が床の上をとぼとぼと歩く群れは、なかなか異様な光景であった。
 ルイヴィル行きのターミナルに到着した。
 通路の窓からは大小様々な飛行機が驚くほど間近に見える。出発準備に余念がないパイロットの様子が丸見えで楽しい。
 しかし、飛行機が小さいせいもあるが、コックピットがすごく狭いのに驚き。パイロットはLサイズなんだが。
 やがて搭乗ゲートに到着した。あれが、わたしたちが乗る飛行機だわ・・・。と、しばし荷物積みこみの様子を見守る。
 ベルトコンベアーに乗せられた荷物が、カーゴルームへと消えていく。
 わたしのスーツケースはちゃんと乗ったかな? という思いが脳裏を横切ったのは、予兆だったのだろうか。
 ところで、フライトまでの時間を利用してインターネットをしようと再びラップトップを開けたが、バッテリーがほとんど空になっていた。
 待合所にあるコンセントを探して歩いたが、すべてのコンセントが誰かに使用されていた。皆、ラップトップや携帯の充電をしているのだ。わたしはコンセントの近くのベンチに座り、空くのを待った。
 やがて隣接するゲートで搭乗が開始した。すると、見張っていたコンセントを使っていたアメリカ人が充電器を引き抜いて立ち去った。
 さっそくラップトップのコンセントを差して場所を確保。そしてシカゴ空港内で無線LANを提供するサービスにカード番号を入力して登録し、インターネットを開始した。
 数十分後、わたしたちも搭乗時間となった。
 飛行機の中に入って、あまりの狭さに驚く。ローカル便だから小さい飛行機なのはわかるが、もうぎっちぎちの狭さだ。
 一応ファーストクラスに相当する席はあるらしいが、アクセスプラス席はなし。いったん座ったら立てない状況なので、トイレにも行かれなかった。
 テイクオフし、シカゴの上空へ飛びたつ。
 ミシガン湖と、湖畔に建つ高層ビル群が見える。本当はこのあたりまでドライブしたかったが、こうして見るとかなりの距離がありそう。とても1時間ちょっとじゃ行って帰れなかったかも。取りやめて賢明だった。

ルイヴィル到着
 ルイヴィルには1時間ちょっとで到着した。
 搭乗ゲートから離れた場所に駐機した飛行機から、タラップを使って直接地面に降りたつ。
 なんか、すっごい地方の空港に来たって感じがする。
 写真がピンぼけになっちゃった。
 ターミナルビルにやってきた。預けた荷物のピックアップを夫に任せて、大森さんとわたしはHertsレンタカーのカウンターに並んだ。
 レンタカーの予約はわたしの担当だったので、あらかじめインターネットで予約をしておいた。ルイヴィルで3日間、ロサンゼルスでも3日間分。
 印刷してきたバウチャーを担当のお姉さんに見せる。若い白人の女性で、とても丁寧に挨拶してくれた。
 そして、「ここへは仕事で来たのですか?」と英語で質問してきた。
 わたしは一瞬考えた。
 大森さんは仕事だが、わたしと夫は遊びである。しかし、観光ともちょっと違うかな。観光というと有名どころに行くイメージがあるが、わたしたちはひたすらトレードショーを見るだけだ。
 でもやっぱり仕事で来たというのも変なので、わたしは「観光で来ました」と答えた。
 すると担当の女性は嬉しそうに微笑み、「Welcome to Louisville!」と言って、右手を差しだしてきた。
 観光で来た人には特別友好的にするのがここの流儀なのだろうか。驚いたが、わたしもにっこりと笑って「Thank you.」と言い、彼女と握手を交わした。
 ルイヴィルってとてもいいところだ。
 車のキーを受けとったわたしたちは、荷物受取所に移動。そこにはターンテーブルから自分の荷物をピックアップし終わった夫が待っていた。
 「くららのスーツケースが出てこないんだよね」
 と、彼。
 えっ!? 
 わたしは唖然となって、ほとんど空になったターンテーブルを見つめた。
 ターンテーブルはしばらく回っていたが、やがて止まってしまった。
 結局、わたしのスーツケースは出てこなかった。
 Oh〜my God!
 セキュリティチェックであれほど厳しく人を疑っておきながら、荷物ひとつちゃんと運んでこないとは。
 やってくれるぜユナイテッド! これでカイルに報告する事項がまたひとつ増えたわ。
 だけどだけど、わたしは今晩パジャマなしで寝るの? しかも、下着も替えられず歯磨きもできない。
 それにこれが一番問題だ、明日の着替えがない! 着たきり雀(これって死語かも)でトレードショーに行くなんてやだやだっ。
 幸い、コンタクトレンズ用品は機内に持ちこんでいたので、セーフ。化粧落としも化粧品もすべてではないが、だいたい揃っている(おっと、ナイトクリームがないぞ)。
 問題は衣料品だ。これに尽きる。
 海外旅行保険では、荷物遅延による損失を請求することができる。ここの売店でトレーナーでも買って、あとからAIUに書類を出そうかしら。
 だが、スーツケースが出てこなくて立ち尽くしていた日本人は、わたしだけではなかった。同じように戸惑う日本人のグループが隣にいた。
 キャンピングカー製作・輸入会社「ロータス」のご一行である。シカゴでルイヴィル行きの便に乗る際、彼らとはすでに顔合わせ済み。飛行機の中ではお菓子を交換したりもした。
 その中の1人、Mさんとは前に一度お食事をご一緒しているので、わたしとしてはかなり親しみを持っていた。
 わたしたちは一緒に遺失物届けのオフィス前で行列を作った。ご一行の2人が先で、わたしは最後になった。
 Mさんからの情報によると、どうやら乗り継ぎ地シカゴで積み忘れがあったということだ。間に合えば、次の便で届けてくれるという。
 順番が来て、黒人の女性職員の前に進み出る。「Hello.」と言って、クレームタグ(手荷物引換証。claim tag)を見せる。彼女はスーツケースの写真が並んだ印刷物を見せ、わたしのスーツケースがどのタイプか尋ねた。
 わたしのはハードタイプで色はグレー、このくらいの大きさだと伝えると、彼女は「I apologize to this なんとかカントカ」と言って謝罪してくれ、最終便(確か11時半頃って言ったかな?)に載せてきてホテルに届けるから、住所を教えてと言う。
 おおお、誠意があるじゃないの。例え深夜でも今日中に届くならぜんぜんOKだ。 
 わたしはモーテルの住所と電話番号を印刷した紙を彼女に見せ、書類に書き移してもらった。そして、BAGGAGE REPORTという荷物遅延証明書みたいな紙を受け取る。
 荷物の遅延なんて、話にはよく聞くけど自分には絶対ない。なんて変な確信を持っていたわたしだったが、やっぱりあるんだなと思った。
 3年前に初めて参加したイタリアのパック旅行では、旅行会社から「荷物の遅延に備えて一泊分の支度をしておいてください」と言われたことがあった。そのときは真っ正直に用意したが、それ以降は怠っていた。だが、確かに備えておけば、イザというとき困らないのは間違いない。
 でも一泊分の衣類や洗面道具なんて用意したら、さらに手荷物が多くなって、それはそれで大変だ。それでなくともノートパソコンだのコンタクトレンズ用品だの免税品だのと、ただでさえ手荷物が多いわたしなのに。
 
とっさの一言英会話1 
◎預けた荷物の受取所は「Baggage claim」という。「荷物受取所」はどこですか?」と聞く場合は、「Where is the baggage claim area?」
 
Baggage claimの「claim」はいわゆる「クレーム」とは意味が違う。「claim」は「(当然の権利を)要求する」という意味で、自分の荷物を引き取るのは当然のことだからそういう名称となっている。
荷物がなくなった時にクレームを付ける場所だから、だと思っていた人、いませんか?
 
◎「わたしの荷物が見あたりません」は「I can't find my bag in the carousel. 」「carousel(カルーセル)」はベルトコンベアーのターンテーブルのことで、ぐるぐる回るもののこと。「I can't find my bag.」だけでもOK。
 
◎「わたしのスーツケースがまだ出てきません」は、「My suitcase hasn't arrived yet.」。「My suitcase didn't arrived.」という過去形でもいいが、この例は「過去も現在も出てこない」という意味を含んでいる。さらに本人とアナタ以外の第三者(物)のことなので「have」ではなく「has」を使う。もちろん、現在進行形で「My suitcase is missinng.」でもOK。これが一番簡単で覚えやすいかな?
 
◎今回のわたしのケースでは前の人がいたので、「わたしの荷物が・・・」という説明は省略。ただ挨拶して(これ大事です)、クレームタグを見せるだけでOKだった。
英語の本には「探してもらえませんか」は「Would you try to find it for me?」です、とか、「見つかり次第、ホテルに届けてください」は「なんたらかんたら」なんて書いてあるが、ここまで言わなくても大丈夫じゃないかなと思う。すべてをわきまえた職員がサクサクと処理を進めてくれるはずだ。
 

Days Innへ
 レンタカー会社の人が空港正面玄関前に横づけしてくれたのは、トヨタのプリウスだった。
 これ、色こそ違うが実は我が家の乗用車なのだ。
 Hertzカウンターの愛想のよいお姉さんが、「車はプリウス。真新しい車よ」と言って鍵を渡してくれたのだが、まさかうちの車と同じのが貸し出されるとは。日本人だから日本車の方がいいだろうと気を利かせてくれたのかもしれないが、内心はアメリカ車の方がよかったという思いがあった。
 ところで、ドライバーは大森さんとわたしの二人で登録し、夫は運転できない契約だった。なぜなら、ドライバー登録を1人増やすたびに料金が加算されてしまうからだ。もっとも行程のすべてを大森さんが運転してくれたので、わたしの登録は不要だったが。わたしは助手席でノートパソコンを広げ、ナビゲーションを引き受けた。
 一応Hertzからは簡易カーナビゲーション「ネバーロスト」をレンタルしたが、これが使いづらい代物であることは、フランス旅行記を読んでいただければわかると思う。
 結局、わたしのパソコンカーナビがほとんどの移動をカバーし、今夜もDAYS INNへと無事に導いてくれた。
 もっとも、ここは大森さんがいつも定宿にしているモーテルなので、カーナビがなくても辿り着けたのだが。
 モーテルのロビーでチェックイン。質素だが、フロントの愛想はよかった。手続きはすべて英語が堪能な大森さんがやってくださった。
 ところで、日本でモーテルというといかがわしい類のホテルになるので、ここでモーテル、モーテルと連呼するのは少々気恥ずかしいのだけど、もちろんアメリカではごく一般的なホテルとしてビジネスから家族旅行にまで利用されている。価格がリーズナブルなのも嬉しい。
 朝食とインターネットアクセスのオプションもあって、これらを付けるとさらに快適だ。
 ←このように車を直接部屋の前に横付けできるので、大変便利。
 あの「Xファイルの」モルダーとスカリーも出張のたびによくモーテルを利用していた。 
 ドアキーはカード式。
 そして、これがわたしたちのお部屋だ。
 フランスやイタリアの3つ星、4つ星のホテルでだってこれくらいの部屋に当たることもあるし、寝るだけなんだから十分すぎるほど十分な部屋だ。
 洗面所。トイレとバスは別々。タオルとバスタオルが備え付けられていて、誠にありがたい。
 コーヒーメーカーも用意されていて、自由に飲むことができる。
 このあとわたしたちは車で夕食をとりに出かけた。戻ってきたときフロントに立ち寄ってみたが、スーツケースはまだ届いていなかった。フロントの女性に「届いたら電話ください」と頼んで、部屋に戻る。
 ところが、なぜかカードキーがエラーを起こして鍵が開かない。
 大森さんのカードキーは問題なく開いたのに、わたしたちの部屋は何度やっても開かない。
 仕方がないので、わたしは1人でフロントに取り換えてもらいに行った。
 カードを差しだし、「This card does not work. I think it's broken.」と言う。
 受付の女性はどれどれとばかりにカードを機械に通し、ボタンをいくつか操作して、新しいカードをくれた。
 やはりカードが磁気異常を起こしていたのだろう。ドアは無事に開いた。ようやく部屋に入ることができてホッと一息、まずはお風呂に入ることにした。
 もしもその間に電話があって荷物が届いたと言ってきたら、代わりに取りに行ってと夫に頼む。英語はほとんど話せない夫だが、なぜか相手の言っている意味は理解できるという能力はあるので、代理は十分務まるはずだ。
 しかし、お風呂に入っている間も、そしてその後も連絡はいっこうにない。本当に今日中に届けてくれるのかしら、ユナイテッドさん。
 夜中の零時を過ぎて、さすがにもう限界。わたしは寝ることにした。が、その前にフロントにスーツケースのことを頼みに行こう。
 わたしは夫から借りた部屋着に上着を羽織って外に出、フロントのある本館に向かった。
 フロントは初老の男性に交代していた。
 髪の毛の寂しくなったおじさんだが、笑顔がキュートな紳士だ。わたしに「Good evening, young lady.」と愛想よく挨拶してくれた。(young ladyは「お嬢さん」って意味だ。きゃ〜、お嬢さんだって。きゃ〜)
 わたしはおじさんに、スーツケースが届いたら何時になってもいいから連絡をくださいと頼んだ。
 「わたしは朝までここにいるから、必ず電話しますよ」と、おじさんは約束してくれた。
 約束通り、おじさんが電話をくれたのは2時に近かった頃だろうか。わたしはぐっすり眠っていたが、ベルで目を覚ました。
 夫が取りに行ってくれて、生き別れとなっていたスーツケースと無事にご対面できたのだった。 
とっさの一言英会話2 
◎「〜does not work」という表現は覚えておくと便利だ。電話が繋がらない、電気がつかない、エアコンがつかない、TVがつかないなど、ありとあらゆるものに使える。わたしはいつも馬鹿の一つ覚えみたいにこれを乱発しているし、これだけで結構事足りる。
 
◎ちなみに、海外ホテルではよくありがちは「お湯が出ない」は、「There isn't any hot water.」。細かいことを忘れてしまったら、「no hot water」だけでもよい。一言こう叫べば、ただちに「わかりました、すぐ人をやります」と言ってくるだろう。
 
 
 
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