ローマ市街観光Part3 
フォロ・ロマーノ
 てくてく歩いて、バスがエンストした地点へと戻る。行きと同じくフォロ・ロマーノの横を通るので、ガイドさんが「中を見学していきますか?」と訊いてきた。
 わたしは明日見学に来ようと思っていたので、もちろん「入りたいです」と言った。他の人もおおむね賛成の様子だったので、中を通りながら戻ることになった。
 「フォロ」とは公共広場のこと。丘と丘に挟まれたフォロ・ロマーノは古代ローマの政治・経済・文化の中心であった。
 紀元前6世紀に入り、下水道の整備が進むと人々が集まり賑わいを見せるようになる。
 歴代の執政官や皇帝たちが神殿を築き、元老院や裁判所を置き、凱旋パレードを繰り返した。
 だが、ローマ帝国の繁栄が4世紀末の西ゴート族の侵入によって絶たれると、一気に荒廃した。牧草地として利用されたり、ルネッサンス期には大理石が持ち去られた。
 現在も遺跡発掘中だそうで、奥の「パラティーノの丘」を除いて無料で見学できる。
@クーリア(元老院) 
 左側に映る建物は「クーリア(元老院)」の建物。
 元老院は共和制時代の最高政治機関。最初の元老院焼失後、紀元前29年アウグストゥスが完成した。
 フォロ・ロマーノでもっとも完全な形で残る建物は、1930年に改修されている。
Aセヴェルス凱旋門 
 セウェルス帝が203年に建造させた凱旋門。3つのアーチを持ち、高さは21メートル。
 小アーチ上にパルティア人の征服、大アーチ上の中央には軍神マルスが描かれている。
 上部の碑文には皇帝と息子カラカラの記述が刻まれている。
 セウェルス帝はセウェルス朝最初の皇帝であり、アフリカ出身の軍人であった。 
 その息子カラカラは、わたしが翌日見学に訪れるカラカラ浴場を造った皇帝だったが、市民には不評だった。217年、軍人に暗殺された。
Bサトゥルノ(サトゥルヌス)の神殿 
 古代ローマのもっとも神聖な場所「カンピドリオへの道」に紀元前5世紀に造営された。
 現存する8本の円柱、柱頭などは4世紀に再建された神殿の一部だ。
 サトゥルヌスは奴隷制のない平和の時代を築いた伝説の神で、当時の奴隷階級から崇められた。
Cヴェスタの神殿 
 火の女神ヴェスタ信仰により紀元前6世紀頃に建立された神殿。コリント式の20本の列柱に囲まれた神殿内では、4世紀末頃まで6人の聖処女ヴェスタの巫女により聖なる火が守られていたという。
 現存するのは1930年代の復元。
Eティトゥスの凱旋門
 翌日にヴェネチア広場への坂道を登りながら撮影した凱旋門。
 ドミティアヌス帝が、父ウェスパシアウス帝と兄ティトゥス帝が70年にエルサレムを占領したことを記念して81年に建立したもの。現存するローマ最古の凱旋門である。アーチに描かれた鷲に乗るティトゥスは皇帝を神格化したもの。
 
Hアンウトニヌス帝とファウスティーナの神殿
 141年、アンウトニヌス帝が、亡き妻ファウスティーナのために建てた神殿。皇帝自身もここに祭られている。
 17世紀に改修されたファサードのコリント式列柱10本と基壇がほぼ完全な形で残っている。
 (下の2枚も同じ)
Iエミリアのバジリカ 
 紀元前179年、執政官マルクス・エミリウス・レピドゥスらが建設した。
 当初は税の取立や金貸し、司法、行政が行われていたが、この建物がキリスト教の教会建築のモデルとなってからは、「バジリカ」が宗教活動の場となった。
 フォロ・ロマーノの中を通りつつバスに戻ると、もう一台のバスが到着していた。
 いろいろやってみたがミッションが治らないので、応援の一台を呼んだという。残っていた添乗員さんが荷物の移し替えをしておいてくれ、わたしたちはそっくり新しい方のバスに乗り込んだ。もちろんわたしたちの運転手さんも、そのままシフト。
 壊れたバスは応援に来た運転手さんに任せて、わたしたちは次なる観光の地に移動した。
 
トレヴィの泉
 ローマは噴水の街である。15世紀から歴代皇帝が力を注いできた古代ローマの水道の修復事業とあいまって、ローマの広場は豊富な水を誇るたくさんの噴水で彩られた。
 ナヴォーナ広場の噴水やトレヴィの泉はその代表格。
 特にトレヴィの泉はダイナミックなバロック様式の噴水で、法皇クレメンス12世主催の噴水コンクールで優勝したニコラ・サルヴィの作品。彼の死後、1762年に完成した。
 水源は15世紀半ばに甦った紀元前のアグリッパ水道。
 中央には海神ポセイドンが立ち、その左には豊穣を、右には健康を表す寓意像が飾られ、足元ではトリトンが海馬の手綱を引いている。
 寓意像の上の壁のレリーフは、水源となった泉を乙女が兵士に指し示す伝説のシーン、この伝説により水道建設を決意したアグリッパを描いている。
 海神ポセイドンと、その子トリトン。トリトンは波をたてたり鎮めたりするための法螺貝を吹き鳴らしている。
 さすがにローマ観光に必ず組みこまれているトレヴィの泉だけあって、世界各国からの観光客がひしめいているという印象であった。特にインド系の観光客が多くて目立っていた。
 肩越しにコインを投げると再びローマを訪れることができるという言い伝えがあるので、わたしたちももちろんやってみた。
 ところで、このトレヴィの泉制作には面白い逸話が残っている。
 工事中、設計者のサルヴィは毎朝、泉の右側にある床屋さんで髭をあたってもらっていた。が、ここの親父が口やかましく工事に口を出すので、とうとう頭にきてしまった。そこで、サルヴィは床屋から泉が見えなくなるよう、泉の右端に大きな置物を設置してしまったという。
 サルヴィがよほど短気で偏屈だったのか、それとも床屋の親父が耐え難いほど口うるさかったのか。いったいどっちなんだろう。
 この床屋、今はもうないが、オードリー・ヘップバーン主演「ローマの休日」で、アン王女が髪をばっさり切り落とす美容院として登場する。
 このシーンの合間に泉の中で遊ぶ子どもたちの姿が映し出されるのだが、馬の鼻先にぶら下がっていたりするのでビックリ。さすがに今は禁止されていてできないだろうなと思いながら、ちょっと驚いてしまった。
 で、サルヴィが置かせた視界を遮る置物というのがどんなものだったのか、どうしても思い出せない。定かではない記憶では壺のようなものだった気がするし、でも写真には写っていないし、ネットでも「それ」を写したものは見つからない。
 そこで「ローマの休日」で確認してみたら、とんがった山のような、うねった竜のような不思議な形状のものだとわかった。一瞬しか写っていなくて、物体の正体は不明だ。
 先にも書いたが、噴水の街ローマはとにかく噴水が多い。広場という広場にはほとんどあると言っても過言ではない。
 これはバスから見た広場名不明の噴水。 
 テルミニ駅近くのローマ三越前、共和国広場にある噴水。
ホテル・メディテラネオ
 さて、わたしたちはバスに乗って、今夜から2泊する「ホテル・メディテラネオ」に到着した。
 テルミニ駅からほど近い好立地で10階建て。近代的で高級感のある4つ星ホテルだ。
 最上階には眺めのよいカフェがあるが、行ってみると営業していなかった。
 ロビーのフロントデスク前にはツリーが飾れていた。大理石造りの壁がなかなかゴージャス。
 フロントの男性は特に愛想がよいわけではなく、普通に事務的。英語は通じた。
 ロビーから数段上がったところにラウンジがあり、暖炉に火が焚かれていた。
 ここがわたしたちの部屋。特に高級感があるわけでもなく、地味な印象だ。
 バスルームはバスタブ付きで、とても綺麗。アメニティは最小限。
 壁に下がる手拭きタオルは、ここローマでもやっぱりテーブルナプキン布だった。
カンツォーネ・ディナー
 部屋で一休みした後、添乗員さんとともにローマの街を歩いてカンツォーネ・ディナーへと向かう。
 オステリア・ポレッティという店に入り、奥の広い部屋に通される。まずカクテルがサービスされ、ツアーの人たちと乾杯。
 息子にカクテルというわけにはいかないので、オレンジジュースをもらう。
 ちなみにこのカンツォーネ・ディナーは12歳未満の子どもは参加不可である。
 食事をしていると、男女の歌手が現れカンツォーネを歌い出した。なかなか見事な声で、聞き惚れながら食事が進む。
 代わる代わる数曲歌い、拍手に送られて引っこむ歌手。
 ふと振り向くと、離れたところの席に座って休憩する姿が見えた。
 こうやって数回に渡って登場して歌い、最後には「アリヴェデルチ・ローマ」で盛り上がる。
 ナプキンを振っているのは、さようならという意味だろう。
 添乗員さんも歌手に倣ってナプキンを振り始めたので、わたしたちも真似してナプキンを振る。
 ショーが終わると、二人がCDを持って営業を始めた。手にとって内容を見たが、クラシックの歌で構成されたもののようだった。
 カンツォーネは小学生の時から慣れ親しんできた音楽なので、わたしは「カンツォーネのCDならほしい」と言ってみた。しかし、この二人はカンツォーネ歌手ではなくクラシックの歌手のようで、「カンツォーネのはない」と言われた。
 
 ←最後に出されたティラミス。本格的でとてもおいしかった。


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