ヴェネツィア観光 
ゴンドラに乗る
 集合時間も近づいてきたので、そろそろサン・マルコ広場に戻ろうと、来た道を引き返す。
 歩いていると、3世代家族に出会った。この人たちとは街中で2度も出くわしており、リアルト橋はどっち? と聞かれたり、アラなに買ったの、なんて会話を交わしたりしていた。
 で、みたび遭遇したので一緒にトイレに行くことになった。
 広場の奥に向かって右側のアーケードを通り、トイレがあると添乗員さんに言われた場所へ向かって歩く。
 赤い幕の奥を進むと向こう側に出られ、看板に従ってトイレを発見。一人だと入るのがためらわれるような、ちょっと怪しい雰囲気の一角だ。
 2階にあり、中にはコインを入れて回転させるバーのあるゲートがあった。管理をする女性もいる。
 こういうときでも必ず「グラッツェ」と挨拶を忘れずに。
 料金は確か3ユーロだったと思う。
 11時50分、サン・マルコ寺院の前に集合したツアーご一行は、さっきわたしたちが歩いてきた赤い幕の方に向かって移動した。なんだ、それだったらこっちで集合してくれればよかったのに。
 と思いつつ、さっきトイレを使った場所の近くを通り迷路のような小路をくねくねと歩き、どこをどう行ったのかわからないがゴンドラ乗り場に到着した。
 実は12時にゴンドラの予約を取ってあり、カンツォーネ歌手も手配しているのだ。
 3つのゴンドラに分かれて乗り込み、運河にドンブラコと乗り出す。
 とにかく晴れていてよかった。これが雨だったら悲惨だものね。
 ところで、うちは建設業なのでゴンドラというとついついビル現場のゴンドラを想像してしまう。
 しかし、ゴンドラはヴェネツィアにおいて伝統的手漕ぎボート船を指す言葉だ。
 お隣のゴンドラに乗り込んだギタリストと、後頭部がちょっと寂しい長髪のお兄さん二人。
 ギターの人がカンツォーネ歌手で、もう一人はガイド? と思っていたら・・・
 お兄さんがやおら立ち上がり、カンツォーネを歌い出した。
 カンツォーネとはもともとイタリア語で「歌」を指す言葉だが、一般的にはイタリア民謡、特にナポリ民謡のことをいう。
 この歌手、声はよいが少し声量が足りず、通りにくい印象だ。
 隣のゴンドラだったから聞こえづらかったのかしら。
 あらかじめ歌手の乗る船とは併走する形になることは知っていたが、やはり同じ船に乗らなければおもしろくないかもしれない。
 まあカンツォーネはオマケと割り切って楽しむことにする。
 ゴンドラは突然直角に右折し、細い小運河に入り込んだ。
 わたしたちのゴンドラの船頭さんは、カンツォーネ歌手そこのけの美声の持ち主だった。
 彼はだしぬけに歌いだしたと思ったら、携帯をいじったり大あくびをしたり、ちょっとやる気なさそうな感じ。 
 ホテルの前を通り過ぎる。
 一緒のゴンドラに乗った3世代家族のママに聞くと、ヴェネツィア本島のホテルは予約が取りづらいそうだ。
 今度ベネツィアに来るときは、ぜひここに泊まりたいな。でも、荷物を軽くしておかないと大変そう。
 こんなゴージャスなゴンドラもある。いくらで乗れるのかな?
 ポケットに片手を突っこんで、相変わらずやる気がなさそうな船頭さん。
 でも、時々壁に足をかけてゴンドラを大きく揺らし、わたしたちを驚かすという茶目っ気があるのだ。(というより日本人に対する嫌がらせだろうか)
 小運河を抜けて、再び元の大運河に戻ってきた。さすがの船頭さんも両手で漕ぎ始めた。
 リアルト橋まで行くかと期待していたが、あちらまでは行かないようだ。
 元の船着き場に到着。約40分の遊覧であった。
 顔が日に焼けるんじゃないかと心配するくらい天気はよかったし、たいへん楽むことができた。
イカスミスパゲティ
 再び迷路を歩いて、一軒のレストランに到着。
 ここでお昼ごはんを頂くことになる。
 テーブルに着くツアーの面々と、飲み物のメニューを見る添乗員のMさん。
 今回ワインはやめて、ビールにしてみた。地元産のビールはないですか? と訊いたら、イタリアはワイン王国なのでビールの地位がとても低いと笑っていた。
 で、運ばれてきたビールには帆船の絵が描かれ、「EXPORT」の文字。どうやら輸入物らしい。
 イカスミスパゲティが運ばれてきた。
 ちょっと緑色がかっていて、もっと真っ黒なのかと思っていたので意外。昔、日本のレストランで食べたのは真っ黒で味も生臭かったが、これはクセがなくあっさりとしていておいしかった。
 デザートはカスタードクリームに浸されたティラミス。とてもおいしかった。

 和気藹々と食事が進む。
出発
 食事を終え、トイレを済ませてレストランを出る。そして、ボートの船着き場へ。
 12月とは思えない暖かい陽気も味方して、非常に楽しいヴェネツィア観光だった。ゴンドラに乗るのに寒すぎても辛いだろうし、真夏の暑い時なんかも大変そう。そのときは絶対日傘に防止、サングラス、日焼け止めは必需品だろう。
 そのどちらでもなかった今回は恵まれすぎるほど恵まれていた。
 そして、わたしたちにはさらにラッキーのオマケがあった。それは洪水に当たらなかったこと。
 干潟に建つヴェネツィアの宿命で、このシーズンはしばしば海水に浸される。前の週がまさにそれで、観光客は木の台を橋がわりにして歩いたという。
 洪水になれば当然、ドゥカーレ宮殿もサン・マルコ寺院も内部が水に浸かるわけで、観光も台無しだ。
 ボートに乗り、本土に戻ってきた。
 駐車場にはキャンピングカーが一台。きっとここに停めて、ボートでヴェネツィア本島に渡っているのだろう。
 いいなあ。いつかイタリアとフランスをキャンピングカーで旅してみたいと思う。
 駐車場にバスはいなかった。どこかにお昼でも食べに行っているのだろう。
 でも10分くらいで戻ってきてくれて、みんなで乗りこむ。
 別の日本人団体客も同時に帰ってきたが、添乗員さんが「バスが戻るまで30分」と話していた。お気の毒。


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