2日目Prat2 カプリ島一周観光と青の洞窟
高速艇の中
わたしたち一行は現地ガイドさんとともに水中翼船に乗り込み、カプリ島へと向かった。
約1時間30分ほどの片道で、船内にはカフェなどを販売する売店もある。そこのオヤジ、客が日本人と見ると要らないものまで売りつけてくる、とんでもない奴だった。コーヒーを注文すると、頼みもしない菓子類なども一緒に渡してくる。別にサービスしてくれているわけじゃない。その分はちゃっかりもらって釣り銭を寄こすのである。
我が相棒、サユちゃんもこれにしてやられた。別の日本人女性が余計なお菓子を押しつけられているのも目撃したが、彼女は「No,No」と断ってなんとか逃れていた。
実はわたしは、添乗員さんと現地ガイドさんの目の前でカプチーノを注文したので、こういう目に遭うことはなかった。(ただし手を握られた)
ぼーっとしているとこういうことをされるので、ご用心。金銭的な被害はささやかなものだが、厚かましいおっさんをのさばらせてはいけない。次に来る日本人がまた被害に遭うのだから。
が、悪いイタリア人ばかりではない。空いている席に掛けさせてもらい、片言の英語でささやかな交流を持ったこのご家族は、大変素敵だった。お嬢さんのフランチェスカちゃんは大きな瞳がとっても愛くるしい美少女。はにかんだように見つめてくるその目は、顔の3分の1はある大きさ。まるで少女マンガのヒロインみたいだ!
息子さんの方は任天堂の携帯用ゲームに夢中で、「スーパーマリオ」にはまっているようだった。(マリオってイタリア人だよね?)
ここも日本の子どもと同じ状況と思いきや、ゲームをしているのを見たのはこの子だけ。あとは一度も目撃しなかった。携帯ゲームを持っているのはまだ少数派のようだ。
このお父さん、とってもハンサムで落ち着いてて、おちゃらけたイタリア男とは一線を画していた。もしかしたら都市部のビジネスエリートなのかな? 奥さんの方はあまり英語が話せないのだが、とってもフレンドリーだった。ツーンとしたのが多いイタリア女性の中では破格。それとも、ちゃんとコミュニケーションを持てばみんな気さくなんだろうか。
聞けば、この家族、ナポリから来たんだそうだ。添乗員さんの話では、イタリアの中でもナポリはちょっと特殊な都市で、ナポリ人というと少し変わってるというイメージを持たれているのだとか。でも、いい人たちだった。フランチェスカちゃん、可愛かった。
カプリ島、「青の洞窟」に入る手順
カプリ島に到着した。
この島は歴代ローマ皇帝が愛し、現在はお金持ちの別荘地として有名なところ。
ローマ帝国初代皇帝アウグストゥス(BC27年〜AD14年)はこの島よりずっと大きいイスキア島を所有していた。初めて訪れたこの島をいたく気に入り、所有者であった家臣に「イスキア島と交換してくれ」と申し出、手に入れたという。またティベリウス帝は、統治期間の後半をこの島で過ごしたそうだ。
イタリア人にかくまで愛されたカプリ島、海の色が本当に違う。「紺碧の海」とはこういう色なんだと初めて思った。空も雲ひとつない快晴で、見たこともない蒼さだった。
高速艇から降りると、港は大変な人、人、人。これだけの人がみな「青の洞窟」を見るために集まっているのだというから、洞窟周辺の混雑は想像してあまりある。
事前のリサーチで、小さなボートの上で40分も揺られながら待ったという記録を読んだが、無理もないような観光客の多さだった。
「青の洞窟」は皇帝が海水浴しながら宴会を催したところで、小さな入り口から入る洞窟内は神秘的な蒼い光に包まれる。
そこへ入るには、まず20数人程度乗れるモーターボートで洞窟の前に行き、そこで待ちかまえている小さな手こぎボートに乗り換える。そして、船頭さんに漕いでもらって洞窟内に入るのである。
が、たくさんの人が見に訪れるので、洞窟前の海上は大渋滞。モーターボートと手こぎボートが交錯しながら順番待ちをしていて、ひどいと1時間以上も待たされるという。
停まったままのボートの上でそんなに待たされたら、絶対船酔いする。わたしはそう思っていた。
またこの洞窟、波が少しでも高いと入れず、水位が高くてもまたしかり。冬季は海が荒れるので、まず入れないという。
わたしは「入れなかったらそれでもいいや〜」というちょっと冷めた気持ちで、モーターボート乗り場へ向かって歩いていた。
すると、乗り場では観光客を山盛りしたボートが次々と発進している。それを見た添乗員さんが、「皆さん、今日は入れるようです」と言ったものだから、びっくり。知り合いから「4月は絶対入れない!」と断言され、「そうか、絶対入れないのか」と思ってきただけに、本当に驚いた。(でも、今日は5月だった・・・)
しばらく待って、わたしたちのツアー一行がモーターボートに乗りこんだ。
添乗員さん、「このボートは貸切にしました。船頭さんに特別手当を渡して、島を一周してもらってから洞窟に行こうと思いますが、よろしいですか?」と言う。
普通はこのまま洞窟に直行するのだが、高速艇から降りた観光客がそのまま洞窟に向かうため、どうしても混雑する。それだったら島めぐりで時間を潰して、その混雑が解消した頃に洞窟に行こうじゃないかという提案である。みなボートの上で待たされるのは嫌なので、一も二もなく同意した。
わたしたちのボートは港を出ると、洞窟直行のボートとは反対の右に折れ、島の周りを一周するクルーズに出た。
岩の上の黄色い花。その花の上にカモメがちょこんと座っているのが見えた。この黄色の花は島の至るところに咲いており、白い岩肌に映えてとても美しかった。
この島は白い石灰岩でできているので、どんより曇った日に見てもあまり美しくないのだとか。添乗員さんによると「皆さん、天気に恵まれて運がいい!」のだそうだ。確かに陽光に照らされた白い岩肌はまぶしく輝き、蒼い海と互いにひきたてあっているようだった。
船は最初に、白い鍾乳洞でかたどられた奥行きのない洞窟に入っていった。
ここは「青」ならぬ「白の洞窟」と呼ばれているところだ。
上にぽっかりと空いた空間に、白い像のようなものが見える。自然の造形によって造られたものだが、誰からともなく「聖母マリア様だ」ということになって、こうして祭られているそうだ。確かに白い布を被った聖母マリアに見える。
日本人の目から見たら、どちらかというとお地蔵様って感じかなあと思った。
これは風化作用によって自然に穴の開いた岩。「象の鼻」と呼ばれているそうだ。もろい石灰岩ゆえに造られた、これも自然の造形物。
これは人間の造形物。イタリア首相ベルルスコーニ氏の別荘である。岩の下には個人所有と思われるクルーザーが何隻か停泊していた。
リッチだな〜と思っていたら、旅行が終わって帰宅すると、首相の汚職疑惑が報道されていた。ああ、やっぱり・・・?
次に入ったのは、「赤の洞窟」。
船の上から振り返ってみると、「うわ、なんなのこの色は!」と絶叫するほどの美しい海の色だった。宝石のように透明感のある水が、微妙な群青色にゆらめいている。言葉では言い表せない美しさだ。
で、なぜここが「青」じゃなくて「赤」の洞窟なのかというと、それは岩肌に張りついた赤い珊瑚からつけられた名前だから。この珊瑚がまた、息をのむほど綺麗だった。

ちなみにカプリ島の土産物店でたくさん売られている珊瑚はここから採ったものではなく、輸入ものだそうだ。
名所のひとつである三本柱が見えてきた。
この風化と浸水でできた穴の中をボートでくぐり抜けた。
カヌーで二人漕ぎしていたヨーロッパ系のカップルたち。こちらに手を振ってくれた。
こういう楽しみ方も素敵だ。
ここは海水浴場。日本のような砂浜の海岸ではなく、岩場に寝そべる場所があるだけのもののようだ。
ヨーロッパ北部に住む人たちは陽光に飢えているため、バカンスの間は泳ぐというより日光浴に専念する。ボートから見ていても、飛び込んだりしているのは子どもで、泳いでいる大人はほとんどいなかった。
次に訪れたのは、「緑の洞窟」。
ここは海水の色もさることながら、岩そのものが緑色なのである。ただ海水が反射してこう見えるわけではない。おそらく石に明礬質が含まれているんじゃないだろうか。
岩部分のアップ画像。
この時点でわたしは、もうじゅうぶんカプリ島に来た甲斐があったと思っていた。例え「青の洞窟」に入れなくても、こんなにも綺麗な海や洞窟を見られただけで、けっこう満足していた。
一方で、あまりメジャーでなかった「赤の洞窟」や「緑の洞窟」がこれほど美しいのだから、「青の洞窟」はどんなに素晴らしいのだろうかと期待をふくらませてもいるのだった。
スペイン統治時代の砦と思われる建物。島の各所に、こうした建物やさらに古い時代の石垣が見られる。
約1時間ほど島をめぐったあと、「青の洞窟」前に到着。たくさんのボートがひしめいていて、これは一体なんなんだというような状態。
着いたからといっても順番があるので、ユラユラ揺られながら手こぎボートが来てくれるのを待つ。
すると添乗員さんが、わたしたちより一本前のモーターボートで港を発ったツアーご一行をめざとく発見した。島一周クルーズをせず、洞窟に直行したグループである。同じ阪急交通社だが、違うブランド(ひとつ下のランクらしい)のツアーで、聞けば、彼らは海上で1時間も待ち続けているらしい。
こんな、モーターボートが出す排気ガスで息苦しい海上で1時間も揺られているなんて、考えただけでも気分が悪くなりそう。つくづく、わたしたちの添乗員さんでよかったと思った。
モーターボートの船長と小舟の船頭さんが怒鳴り合うようにして連絡し合い、順番が来ると乗り換えることができる。が、乗ったからといってすぐに洞窟内に入れるわけではない。再び入り口前で順番待ちがある。
これがその入り口。わずか1mにも満たない高さだ。船頭さんが掴むためのロープが渡されていて、それで勢いをつけてぐいっと奥に入る。
穴の右上に立っているのは、陸から階段で降りてきて手こぎボートに乗ろうとしている人々。海からだけでなく、こうして陸から見学に来ることもできる。
いよいよ、洞窟内に入る順番が来た。穴をくぐる際に頭をぶつけないよう、観光客はボートに寝そべる。
洞窟内は紺碧に染まり、想像を絶する美しさ。海底からライトアップしているのかと思うくらい、海水は幻想的に蒼く光っている。
以前夜に入った、御殿場の御胎内温泉の内風呂に似ている。イタリアの地にありながら、わたしはふとそう思った。
浴槽が下からライトアップされていて、ちょうどこれと同じように蒼く見えたのだ。日本の温泉と比べるなんて馬鹿馬鹿しいようだが、両方とも同じような原理だろう。
洞窟の入り口が小さいので、光源は海の中で乱反射する光に限られる。そのため、海底の白い砂に反射した光が青い水を透過し、まるで下からライトを当てているような見え方になるのである。
また、外のように海面に直接白い光が乱反射しないため、水面下からの光が洞窟内に青く広がって、幻想的な光景をつくりだしていた。
洞窟内は奥に丸く広がっていて、まるでディズニーランドのアトラクションのようにボートは中を一周し、そして外に出る。
まさに一瞬の出来事だ。もうちょっといたいと思っても、流れ作業よろしく、さっさと出てきてしまう。
出たあとは例の階段のところで降ろしてくれるのだが、その前に船頭さんに1ユーロのチップを渡さなければならない。
※青の洞窟のアップ画像はこちら
束の間の慌ただしい見学で、なんだか見た気がしないでもなかったが、とにかく入れたのはラッキーだった。一説によると、入れる確率は3回に1回だとか。
昨年も同じGWに来て入れた、という人もいるし、4日間ソレントに滞在し続けて毎日通ったが、一度も入れなかったという体験談も読んだ。午前は入れたが午後になって波が高くなったので閉鎖、ということもあるし、もちろんその逆もある。洞窟から出たら波が高くなっていて、わたしたちが最後だった、というギリギリの体験談もあった。まさに運を天に任せるしかない、この「青の洞窟」見学。ちなみに取り仕切っているのは組合だそうな。
階段を登る途中で見下ろしたところ。まだたくさんのボートが順番待ちをしていた。
「世界ふしぎ発見!」でも紹介されていたから日本人客が多いのは当然だが、この写真に写っているのはほとんどヨーロッパ系の観光客。白人も結構たくさん来ていた。
上から眺めた景色も絶景だ。
そして海の向こうに霞んで見えるのが、アウグストゥス帝が最初所有していたイスキア島。つまり彼は、あの島とこの島を交換っこしたわけだ。そうまでして欲しがった気持ちもわからないではないが・・・イスキア島にも青の洞窟だの緑の洞窟だのは、なかったのだろうか。イスキア島の方は温泉が出るそうだし、大きい方がいいので、わたしならあちらを選ぶかもしれない。
ちょっと遅い時間だったが、ようやくお昼ご飯。
アナカプリという町にあるレストランにやって来た。
前菜のクリームソースのパスタ。
わたしは飲み物の注文を終えてすぐトイレに行ったので、前菜が来るのが遅かった。戻ってくるとすぐ持ってきてくれたのだが、それがこんなもの凄い量。他の人にはほんの少しだったのに、余ったのを全部持ってきたという感じだ。
これはイカや海老を揚げたもの。パスタもこれもまずくはないのだが、味付けがちょっと単調で、少々飽きる。それでもぜんぶ平らげた。
デザートのアイスクリーム。
全体的に、コース料理としては物足りない印象だった。味付けも、我が家のご近所にある行きつけの「リストランテ・タナカ」の方がずっと美味しいと思った。
食後はアナカプリで土産物などを買い、バスで再び港へ戻った。カプリ島の道路は非常に狭いので、行き交うクルマもバスも、とても小さい。
わたしたちは水中翼船に乗り、滞在先のナポリへ戻った。
次の観光は、いちばん楽しみにしていたポンペイ遺跡だ。

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