奥奥八九郎温泉をあとにし、再び東北自動車道に乗って南下、わたしたちは玉川温泉に向かった。
玉川温泉は秋田と岩手の県境にまたがる八幡平の秋田県側に位置している。
pH1.2という強酸性泉は、日本最高の数値だ。酸性が強いため、近くの施設で中和処理をしてから川に放出している。
湧出量は毎分9,000リットル。これは一つの湧出口から湧く量としては、日本一を誇る。(総湧出量としては、2千を越える源泉を有する大分県・別府温泉の毎分95,167リットルというのが日本一。自然湧出としては草津温泉の毎分32,300リットルが日本一である)
ガンに効能があるということで、全国から湯治客が集まる。多くの人がゴザを敷いて岩盤浴を行う光景はたいへん有名である。
岩盤浴を行う「自然研究路」は国立公園内にあって、別名「地獄谷」と呼ばれている。
硫酸水素ガスが噴き出す、地熱の高い一帯だ。放射線を出すラジウムを含んだ北投石が、日本で唯一この場所でだけ産出される。北投石は天然記念物に指定されており、世界では他に台湾で産出されることが知られている。
さて、今回わたしたちが利用する温泉は、正確には新玉川温泉である。
新玉川温泉と玉川温泉は同じ源泉を利用しており、距離は近い。直線にするとわずか500メートルほどだ。しかし、直接行き交う道がないため、実際移動するとなると3キロほどの行程となる。 |
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わたしたちは県営のビジターセンターにトレーラーを入れ、新玉川温泉に歩いて向かった。新玉川温泉の駐車場が満車だったためである。
ここから新玉川温泉へは徒歩5分ほど。
カーブした道を登っていくと、洗練された印象の建物が見えてきた。
新玉川温泉は、玉川温泉と同じ湯瀬グループの経営で、新たに観光客向けに作られた設備の整ったホテルだ。
一方、玉川温泉の宿泊施設は、空気中の酸性濃度が極めて高いため金属類が腐食しやすいという理由から、客室に電話、冷蔵庫、エアコンなどがないという。
ゴザを敷いての岩盤浴は、新玉川温泉にはない。ただ、露天風呂に「温熱浴」という岩盤浴がある。
露天風呂に入ったついでに転がってみたが、やはり地獄谷に寝っ転がってのワイルドな岩盤浴とは趣きが少々違うような気がする。
うっかりゴザのないところに立ったら、ヤケドをしたかと思うくらい熱かった。 |
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「温熱浴」の隣は露天風呂になっている。お湯は光りの加減で緑色にも黄緑色にも変化して見える。
中の浴室はけっこう広い方だ。湯治場としての雰囲気を大切にした、和風のデザインに好感が持てる。
しかし、非常にたくさんの入浴客がおり、イモ洗いとまではいかなくても、かなり混雑していて落ち着かなかった。
メインの源泉100%の浴槽は浴室の真ん中に位置し、もっとも大きい浴槽。一番たくさんの人たちが浸かっていたため撮影ができなかった。
こちらは浴室の端の方にある「熱い湯」、「ぬるい湯」と名前のついた小さい浴槽。
メイン浴槽の源泉100%は、肌に小さな傷でもあると大変シミルと聞く。わたしは本来肌が強く、この日は傷もなかったため、わりと平気だった。
しかし、あとで夫に聞くと、1回入ったあと洗い場で髭を剃り、体を洗って2度目に浸かったところ、顔や体がピリピリとたいそう痛み、10秒も浸かっていられなかったという。 |
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←画像はパンフレットから転載したもの。新しく作られたものでありながら湯治場の雰囲気を壊さない総無垢木造りの浴室に、たいへん好感が持てる。
100%の浴槽とは別に、肌の弱い人のために源泉50%の浴槽も用意されている。が、それでも敏感な人は痛むことがあるそうだ。
また、浴室の奥には飲泉場があり、コップが置かれている。源泉を水で3杯に薄めてから飲むようにという説明が書かれてあった。
試しに源泉そのままを少しだけ飲んでみたが、なるほどガブガブ飲んだら胃に穴が開きそうな酸っぱさだ。
適度に薄めて飲むと、味はほとんどレモン水。爽やかな酸っぱさがおいしかった。
ところで、玉川温泉の方でも日帰り入浴ができる。自然研究路でゴザを敷いて岩盤浴をすることも可能だ。
湯治目的の宿泊をしない人でも、ガンの転移を防ぐために毎年岩盤浴にやって来るという人もいるそうである。じゃあ、ガンではない人が放射能のある場所で岩盤浴をして大丈夫なのだろうか?
わたしは多少の不安を感じるので、次に訪れる機会があっても岩盤浴はやらないつもりだ。しかし、ぜひ玉川温泉の浴室でも湯を堪能してみたいと思っている。 |