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来たのとは逆方向に恐山を下り、太平洋側へ。
海の彼方には、またもや北海道の姿がうっすらと浮かんでいるのが見てとれる。
稀にみる晴天の連続で、日本海側からも太平洋側からも北海道が見られるなんて、大変恵まれていた。
わたしたちは国道279号線を太平洋沿いに北上し、大間崎を目指した。
目的は大間のマグロを食べることだ。
大間はマグロの一本釣りが行われる漁場として知られる。07年の新年に放送された渡哲也主演のドラマ「マグロ」は、この大間が舞台であった。
さて、以前から大間は狭いところだと聞いていたので、ここから函館行きのフェリーに乗ったことのある浅川さんに電話をして確認してみる。
住宅街は狭いが漁港のあたりは大丈夫だとの答えだったので、アドバイスに従って漁港の船着き場にトレーラーを停めた。
試しにフェリー乗り場にも行ってみる。 |
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乗船待ちの車がたくさん待機していて、停めるスペースはない。観光バスも停まるという観光用の駐車場も探してみたが、見つからない。
しかし、漁港がとにかく広かったので、そこで一泊することにした。 |
さて、いよいよ期待のマグロを食すときが来た。
ガイドブックの大間のページには、3軒の店が掲載されていた。わたしはしばらく食べていなかったお寿司が食べたかったので、「浜寿司」というお店に電話を入れてみた。
「今は一杯で30分ほど待つことになりますが」という答えに、わたしたちは2人分席を予約してから 訪れた。
すぐ目の前にある神社ではお祭りの最中らしく、出店が並び、勇ましい掛け声が聞こえてくる。
「浜寿司」は1階が7人掛けのカウンターと、お座敷2テーブルだけという小ぢんまりとしたものだった(2階席あり)。それなのに次々と客が訪れ、電話が鳴るのは、雑誌に載るほどの有名店だからだろうか。
あとで利用したタクシーの運転手さんによると、たびたびテレビにも出る有名なお店だそうだ。店の壁にはレポーターやタレントの色紙などが飾られていた。
わたしは好物のイクラ、ウニ、アワビ、そして大トロと中トロなどを注文し、夫はセットを頼んだ。
先客がいたので結構待たされたが、それだけの値打ちはあったと思う。 |
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大トロはしつこくない脂のノリでありながら、舌の上でとろけるような味わいだ。
回転寿司で食べるような大トロの脂っこさは微塵もない。
カウンターの隣りに座るご夫婦は、神奈川からいらっしゃったという。どうやら毎年、このマグロを食べに大間を訪れるらしい。
マスターの話では、あさって大間マグロ祭りが開催されるとのことだ。 |
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さて、お腹もいっぱいになったので、ここでお風呂に行くことにした。
恐山で汗をいっぱいかいたのに、まだ頭を洗っていない。大間温泉でさっぱりしてから、再度居酒屋のようなところで飲もう、ということで夫と話がまとまった。
わたしたちは店主に刺身のお作りをお願いし、後で受けとることにして、浜寿司をあとにした。
これだけ食べて飲んだのに、全部のお代は受け取りのときでいいと言う。腹の据わった大将だなあ。
お酒を飲んでいたので、わたしたちはタクシーで温泉に行くことにした。
浜寿司を出ると、すぐ近くに大間タクシーという看板が見えた。夫は直接そこに行って車を頼み、わたしは徒歩でトレーラーに戻ってお風呂の支度をした。
やがてタクシーが迎えに来たので乗りこみ、養老センターに向かってもらう。
大間温泉海峡保養センターの立派な建物を通り過ぎ、さらに内陸の方に進んだところに養老センターはある。
大間温泉は本州最北端の温泉である。
養老センターの方が南に位置するので、正確には海峡保養センターが最北端の温泉ということになろう。しかし、養老センターは源泉で、いわゆる元湯。海峡保養センターは広くて立派な施設だが、循環されて無色透明のお湯だと聞く。
わたしは迷わず養老センターの方を選択していた。 |
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養老センターは一部のマニアなら泣いて喜びそうな、非常に鄙びた温泉施設であった。
プレハブっぽい作りがセンターという名前から遠くかけ離れていて、知らないで訪れた人は、「え、本当にここ?」と戸惑ってしまうかもしれない。
黒のビニールテープで「女」と表示されたガラス戸に向かって入っていくが、「男」はない。男湯は建物の反対側にあるらしい。夫が回りこんで男湯に向かった。
わたしは女湯のドアを開けようとしたが、なぜか鍵がかかっていて開かない。 |
一方、男湯のドアは施錠されていなかった。わたしが開かない、開かないとドアをガタつかせていると、夫が中から鍵を開けてくれた。
どうして閉まっていたのだろう? と、訝しみながらも中に入り、券売機でチケットを購入する。受付の人の姿が見あたらなかったので、脱衣所に番台があるのだろうと思いながら脱衣所へ・・・。
すると、年配の女性が突然、驚き顔で話しかけてきた。
「もう閉めたあとなんですよ」
「えっ?」
わたしはあっけにとられた。この人、番台の人かしら。入浴時間は9時までだけど、今はまだ8時。これってどういう意味?
「今日はお祭りだから、早く閉めたのよ。鍵をかけてあったんだけど・・・」
えっ、鍵。そうか、鍵がかかっていたのはそういうことだったのね・・・。
「済みません、中から開けてしまいました。15分で出ますから」
わたしは謝りつつ管理人さんの手に入浴券を強引に握らせ、大急ぎで入浴にかかった。この時、すでに2人の女性客がわたしの後に続いて入ってきていた。
管理人さんは諦めて、脱ぎかけていた服を直した。
もしかしたら、客が切れたところで鍵をかけて入浴しようとしていたのかもしれない。 |
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お湯は元湯だけあって、とても濃厚だった。塩分が強く、磯と鉄の匂いがする。
だが、お湯を止められていたのが物足りなかった。(管理人のおばちゃん、よっぽど早くお祭りに行きたかったんだなー)
男湯からは、女湯にいるカノジョに向かって「あぢくて入れないよー」という悲鳴まじりの声が飛んできた。
そのカレシ、いちいち「背中まで入れたよ」とか、「肩まで入れた。○○ちゃん入れた?」などと逐一現況報告をしてくる甘ったれちゃん。 |
女湯に誰もいないとでも思っていたのだろうか。そのカノジョは体と髪を洗い終えると、一瞬肩まで入ってすぐに出ていってしまった。
もう一人の年輩の人ももうすぐ出そうな気配だ。
真っ先に入ったわたしだったが、のんびり浸かりすぎたせいか、気がづくとビリになっていた。
管理人さんが脱衣所の椅子に座って待機しているのが、ガラス越しに見える。あれは早く出ろ、と言っている顔に違いない。
わたしはしぶしぶ上がり、脱衣所に出た。すると、待ってましたとばかりにお風呂場の片付けが始まった。
体を拭いて服を着る。が、熱くて強い塩分を含んだお湯のせいで汗が引かない。
もたもたしていたら、管理人さんが出るのと一緒になってしまった。
あまりに慌ただしくて、どんなお湯だったのかイマイチ記憶が定かでない。せっかく本州最北端の温泉に浸かりに行ったというのに、非常に残念だ。
ぜひまた来年、入りに来たいものである。 |
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養老センターにタクシーを呼んで、トレーラーに戻る。荷物を置いて、お祭りで賑わう街へと再び繰り出した。
ところで、今回の秘湯めぐりキャラバンで唯一、夫とわたしが相容れない不一致点が存在していた。それが、地方都市の飲み屋で一杯やるか否か、という点だ。
その土地の旨いもんを食べるという点では一致しているのだが、夫はタクシーを使ってでも飲み屋に繰り出したい派。 |
| わたしは温泉入ったあとはトレーラーでゆっくりくつろぎながらお酒を飲み、買っておいた海産物などをつまみたい派。だって、お風呂に入ったあとはスッピンだし、髪は濡れてるし、どう見てもおしゃれじゃないもん。第一、めんどくさい。 |
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その辺で意見が一致していなかった二人であったが、この大間では(地方都市とは言えないけど)限りなく接点が近かったため、「飲み屋で二次会」が実現したのだった。
場所は、7〜8分ほど歩いたところにある海鮮居酒屋「海遊亭」。サンホテル大間の隣りに建っている。
漁港近くは「浜寿司」以外はスナックばかりで普通に飲めるところが見あたらなかった。 |
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店内は横に長いカウンター席と、奥のお座敷がいくつか。
水槽の中にはたくさんのホヤが。 |
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そのホヤをさっそくお刺身でいただく。
生臭さがなく、フルーティでおいしかった。 |
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もう満腹だったが、大トロ、海老、タコなどを少量だけいただく。 |
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さて、指定の10時になったので、お刺身の受けとりのため歩いて「浜寿司」に向かう。
すると、ちょうどマグロのぶつ切りが届いており、上機嫌の大将が包丁を振りまわしているところだった。 |
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マグロに包丁を入れる大将。どう、この嬉しそうな顔! |
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この一切れが何十万円もするんだとか。まさに海を泳ぐ宝石ですね!
それにしてもおいしそうな脂身だ。じゅる。 |
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女将さんでしょうか? ポーズをとってくれました。
持ち帰りのお刺身にはおまけも入れてくれ、お茶のパックも添えられていた。サービスしてくれてありがとうございます。
また来年、来ますね! |