時間は刻々と過ぎていき、太陽がゆっくりと海に近づいてきた。
国道101線は少しずつ海から離れていく。このまま走り続けていたら、日本海に沈む夕日ではなく、陸に沈む夕日を拝むことになってしまう。
明日は津軽半島を経て下北半島の方まで移動する予定なので、これを逃したらチャンスはもうない。しかし、どこかの浜に立ち寄っていたら、今度は「WeSPa椿山」の入浴時間に間に合わなくなる。
さて、どうしたものか。
太陽は次第に赤みを帯びてきて、今まさに西の地平に向けて落ちていくところである。
森のように見える防砂林が視界を遮って、ここから海は直接見えない。
その時、道路の上に「釜谷浜海水浴場」という標識が見えた。
わたしたちは決断した。「釜谷浜海水浴場」に寄って夕日を見よう。
国道をくいっと左折し、田園地帯を突っ切る。
防砂林を抜けると、目の前に紺碧の大海原が広がった。 |
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この時の決断は正解も正解、大正解だった。
風力発電の風車がイースター島のモアイのように立ち並ぶ「釜谷浜」は、想像以上に素晴らしい海水浴場であった。
だだっ広い駐車場は大半がキャンプ場となっていて、海はすぐ目の前。炊事棟、トイレ、ゴミ捨て場などが完備されている。
どこが管理棟なの? チェックインはどこでするの?
と、わたしたちは広い駐車場をキョロキョロと見回した。
スダレを垂らしてキャンプ中のトレーラーに聞きに行ったら、「ここは無料なので、いつでもどこでも好きなところに停めていいんですよ」という答えが返ってきた。
こうなったらもう、ここでキャンプをするっきゃないだろう。
わたしたちは海水浴はしないけれど、こんな絶好キャンプ地に行き着いて泊まらない手はない。 |
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砂浜に降りてみる。南の方を見ると、海の向こうに陸の影が見える。男鹿半島にしては少し遠い気がするけれど、もうこんなに走ったのだろうか。
しかし、この日は風がまったくなかった。そのため風車がちっとも回っていない。よく目を凝らして見ればわずかに動いているのがわかるのだが、これでは発電できないだろう。 |
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6時半を過ぎ、いよいよ日没を迎える。
波打ち際まで海に近づくのが初めてのレディは、なんだかきょとんとしている。やがて砂浜を駆け、カモメを追いかけ始めた。
さあ、あともうちょっとでお日さまが海の向こうに消えるよ。「じゅっ」ていう音が聞こえるかな? |
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オレンジ色の太陽が残光を放ち、海を深紅に染めあげる。 |
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太陽が半分まで海に浸かる。
あともうちょっとだ。名残惜しい。 |
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完全に沈んでしまって見えなくなった。
こうして海の向こうに沈んだ太陽は地球の反対側を通り、また東の空から昇ってくるんだなあ・・・と思ったら、当たり前のことが新鮮に思えてきた。
わたしたちは地球が丸いってことをほとんど意識せず、大地の上で暮らしている。
でも、こうして大海原を眺めていると地球は丸いんだって実感できる。そして、太陽とともに宇宙を移動している。
なんて不思議なんだろう。 |
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テーブルと椅子を出し、ギョウザを焼いて夕飯にとりかかる。 |
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生ビールサーバー、かき氷マシーンも登場。
そして、秋田港の近くで買った紅ズワイ。うーん、おいしそう。いっただっきま〜す!
ところで、お隣のトレーラーは岩手ナンバーのクナウスだった。カニの足を数本とかき氷を差し入れたら、お返しにぼたん海老の焼いたのを3尾、持ってきてくださった。
そこの奥様のお話では、岩手の海岸は夏でも寒くて海水浴に適さず、毎年この海水浴場に来ているのだという。 |
星空を見上げると、満天の星。都会では見ることのできない天の川までくっきりと架かっている。
隣の奥様は、こんなにきれいな星空は珍しいと言う。
幸運な1日であった。 |
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食事が済んだので、わたしたちは近くにある温泉施設「砂丘温泉ゆめろん」に行くことにした。
「ゆめろん」なんて、いかにも循環っぽい名前だ。実際ガイドブックにも循環だと書いてあるのだが、他にないので仕方がない。
だいたい海岸沿いに建つ温泉というのはロケーション優先となりがちで、湯量豊富な温泉が湧いていないことが多い。
期待はしていなかったが、それにしてもメロン色の温泉には意表を突かれた。 |
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まわりがメロン畑でメロンの産地だから「ゆめろん」というネーミングには理解できるが、まさかお湯の色までメロンとは・・・。
しかし、せっかく東北に来たというのに、これまで無色透明のお湯にしか浸かっていない。この「ゆめろん」で初めて色つきのお湯に入ることができたが、循環である。
しかも「秘湯めぐりの旅」と銘打ったキャラバンにもかかわらず、秘湯なるものにはまだ1カ所も入っていない。
ああ、コテコテの秘湯に早く入りたいよお。 |