掲示板で知り合った”ひげはん”という方が薦めてくれた「ゆりの山温泉」。同じ元日に空いていなかった「喜代門温泉」の代りに訪れてみた。
南紀勝浦温泉とは「ゆかし潟」を隔てた反対側にある。温泉地としては湯川温泉に近い。ちなみに「ゆかし潟」は望郷の詩人・佐藤春夫が名付け親なのだそうだ。
「ゆりの山温泉」は、その「ゆかし潟」の横にある坂を少し登った所にある。看板の案内に従って歩いていくが、民家が並んでいて温泉があるような雰囲気ではない。
歩いていてちょっと心細くなり、犬を散歩させていたおじさんに尋ねてみた。すると、「そこの山をちょっと登ったところだよ」と言われ、「えー、山?」と思いつつ、ようやく辿り着いた。「ゆかし潟」から徒歩5分弱だろうか。
なんとなく奥ゆかしい感じの施設だが、すぐ前には大きな駐車場もある。我が家のトレーラーはちょっと途中の道が厳しそうなので入って行かなかったが、クラスCのキャンピンカーなら大丈夫だ。
番台には、実に愛想のよいお婆ちゃんが座っていた。ここへ来るにあたってあらかじめ確認の電話を入れた時、「今日はやってますか?」との問いに、「やってますよぉ、あんたぁ♪」と飾りっけのない返事をしてくれたお婆ちゃんである。
その答え方があまりに面白いというか可愛いらしかったので、周りの人たちに「『やってますよアンタ』って言われちゃったよ〜」と話したものだ。 |
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浴槽は大きいのがでーんと一つあるだけ。お湯は無色透明だが、硫黄の匂いがぷーんと漂う。浴槽内に吸い込み口はないし、正真正銘の掛け流しだ。
お湯はぬるめで、いつまでも入っていられる心地よさ。あまり時間がないのでゆっくりしていられないのが残念なくらい。浸かっていると、ほんのり汗が浮かんでくる。
熱いお湯ばかりが温泉じゃない。お湯がぬるいと怒るおじさん・おばさんに、ぬるめの極楽があるということを知ってもらいたいものだ。 |
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度肝を抜かれたのは、このカラン。なんと蛇口がなくて、源泉がどばどば出っぱなしなのだ。
もったいなーい。どうして蛇口がないの? 壊れちゃったのかしら。湧出量が毎分126リットルというと、温泉施設としてはそんなに多い感じはしない。それなのに、こんなに湯量豊富な印象を受けるのは、ここがちょうどよい器だからだろう。
このどばどばーっと出る音を聞きながら、ぼーっと湯船に浸かっていると時間を忘れるほど。ああ、もっとずっといたかったな。 |
家族とブラボーさん夫妻を待たせているので、そうそうに湯船から上がった。
なぜか脱衣所には温泉分析表が掲示されていない。そのかわり、建物の外に掲示板が立っているのだとか。
帰るとき番台のお婆ちゃんに挨拶したら、かえって恐縮するくらい丁寧に言葉をかけてくださった。
気さくだが、けっして無遠慮じゃない配慮ある人情味が嬉しい勝浦の温泉だった。 |
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