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  Part2
 
 平成18年8月12日(土)〜20日(日)Vol.179
  
夏休みキャラバン〜甲子園編
羽田空港から神戸空港へ
 さて、ここからは、わたくし”くらら”と娘マリナの二人旅の記録となる。キャンプ日記サイトなのにキャンパーに役立たない記事を載せて恐縮だが、我が家の記録として記しておきたい。長文で済みません。飛ばしたい方は、「しままつキャンプフィールドから富良野へ」の方へ直接どうぞ。
 わたしは夫がフェリーで旅立った翌日、甲子園観戦のため神戸へ向かう。長男は前夜、学校がチャーターしたバスで甲子園に向けて出立済みであった。
 その日、わたしは午前3時に起床し、4時半に来るよう手配しておいたハイヤーに乗って羽田空港へと向かった。
 このたび贅沢にもハイヤーをチャーターしたのは、前回の轍を踏みたくなかったからである。
 5月にフランスへ行く際、いつもはすぐに捉まるタクシーがなかなか捉まらず、成田エクスプレスの時間がギリギリになってしまった。焦るのは心理的に恐怖なので、「今回はすぐに捉まるかしら」などとタクシーの心配をしたくなかったのである。
 しかも、住所だけでは見つけづらい我が家の近所でハイヤーが迷うのも避けたかったので、数日前から我が家の場所を記した地図をファクスし、進入ルートまでこと細かに記す念の入れようだった。
 途中交通事故を一件見かけたが大した渋滞には引っかからず、順調に羽田に到着した。少し早いくらいの時間で、気持ちに余裕があって大変よろしい。
 午前5時過ぎというのに、出発ロビーの椅子はたくさんの旅行客で埋め尽くされていた。ちょうどお盆ラッシュが始まったばかりの日で、キャンセル待ちのために早朝から詰めかけている人たちのようだった。
 5時20分になると、それまで休止していた自動チェックインの機械に電気がつきだし、カウンターにも職員の姿が現れる。
 わたしは機械でチェックインをし、チケットを受け取ると、娘とレストランに入った。
 ロビーに面したレストランが5時半にオープンするのを待って入り、アメリカン・ブレックファーストのセットを注文。のんびりと朝食をとる。
 これが6時40分発、7時50分神戸着の全日空機。娘はポケモン飛行機に乗りたいと言ったが、ウッドペッカーで我慢ね。
 ハイヤーに次いで贅沢シリーズ第二弾。なんとスーパーシートをとっちゃったもんねー。
 しかも最前列のAとB席。つまり一番最初に飛行機を降りられる良席なのだ。
 なぜ、わずか1時間10分のフライトでスーパーシートをとったのか? それは、息子の学校の試合が朝8時半にスタートするためである。始発の飛行機で駆けつけても、神戸到着は7時50分。そこから甲子園球場までは乗り換えもあり、40分以上はみないといけない。のんびりしていたら試合が進行し、ホームランなど盛りあがるシーンを見逃してしまう。
 そこで、最前列の席である。ここなら到着してドアが開くなりダッシュできる。
 だが、ここまで奮発したのに、娘は飛び立つなり寝てしまった。せっかくお弁当も配られたというのに、もったいない。
 もったいないと言えば、せっかくアルコール飲み放題のスーパーシートだというのに、さすがのわたしも手が出せなかったことだ。本当にもったいない。
 ほろ酔い状態では知らない土地での乗り換えがおぼつかないと判断してのことだが、ああ、もったいない。飲みたかった〜。
 海外旅行と違って荷物のカーゴ預けがないため、さながら電車の駅並みのストレートさでポートライナー駅へ。
 あとで人から「神戸空港は新しくて綺麗だったでしょう。どうだった?」と聞かれたが、小走りで走り抜けたので、まったくなにも見ていない。
 空港と地続きで建つポートライナー駅に、列車が滑るように入ってくる。
 ホームと線路のあいだにガラスの仕切りがあって、さすがに新しい路線だ。
 ポートライナーは無人のモノレール。
 先頭にへばりついているのは、うちの娘である。
 思えば、久々の神戸だ。前回訪れたのが、お墓参りに来た平成15年の5月だから、3年3ヶ月ぶりということになる。
 ポートライナーが三宮の街中に入っていくと、「ここが震災のとき、ビルが倒壊していた交差点かなあ・・・」と思いながら、街を眺めた。
 実は阪神淡路大震災が起こる3ヶ月前にも、納骨のため神戸を訪れていたのだった。杉江家のご先祖は神戸出身、お墓は異人館の上にある。
 三宮駅に到着した。
 よし、ここからが勝負だ。
 C.C.Cのメーリングリストで質問したら、甲子園の近くに住まわれるSさんから詳しいアドバイスが寄せられた。
 お蔭でかなり心強かったが、それでも初めての乗り換えに緊張する。
 無事に阪神線の三宮駅に到着。切符を買ってホームに降りると、梅田行きの各駅停車が停まっていた。
 Sさんのメールには「間違っても各駅停車には乗らないように」というアドバイスが書かれており、思わず飛び乗りそうになるのを抑えた。わたしが乗らなくてはいけないのは、特急の梅田行きなのだ。でも、これに乗らなくて、特急がなかなか来なかったらどうしよう? このあと特急は来るのだろうか? 不安がよぎる。
 だが、心配は無用だった。すぐに特急梅田行きが来て、ホッと一安心。
 で、ボックスシートになっている車内を見て、ちょっとビックリ。
 けっこう混んでたくさんの人が立っているのにボックス席・・・というのが、東京では見慣れない光景だったからだ。
 ここから甲子園駅までの18分が、また長かった。時間も距離も、精神的にひどく長く感じられた。
 改めてSさんのアドバイスを噛みしめる。鈍行に乗らなくて良かった・・・。
甲子園球場での観戦
 甲子園駅に到着。駅からはけっこうな人並みが球場に向かって流れている。
 思えば、初めて「ドカベン」というマンガに出会って高校野球ファンとなり、甲子園に憧れてより幾星霜。念願叶ってその前に立ち、感慨もひとしおである。
 ツタが壁を這い登り、趣のある外観を創りだしている。こんなに渋い球場、今まで観たことがあるだろうか? 近代的な東京ドームとは好対照、クラシックな雰囲気でいい感じだ。だが、すぐ側に覆い被さるように建つ高速道路の高架が、その景観をぶち壊しにしている。この高架がなかったら、もっと良かったんだけどなあ。
 まあ、景観論争はおいといて、ともかくも憧れの甲子園にとうとう来たぞ。うーん、感激。 
 が、感慨に浸っている余裕はない。チケットはあらかじめチケットぴあで購入しておいたので、ただちに3塁側スタンドに駆け込む。
 時刻は8時50分。試合開始から20分が経過しており、ゲームは2回まで進んでいた。
 スタンド席に多くの観客でまんべんなく占められていたが、前の方の席もぽつぽつと空いていた。第一試合で、しかも関西ではあまり人気のない組み合わせということも幸いしたようだ。
 ここが甲子園かあ・・・と、試合の進行はしばしそっちのけで、あちこち眺めるわたし。
 東京ドームは外野席が上に高くそびえているが、甲子園は遠くに広く広がっているという感じ。そのため、非常にスケールが大きいという印象を受ける。
 そして、このバックネット裏を覆う大きな屋根。「ドカベン」の劇中では、この甲子園名物「銀傘(ぎんさん)」について触れられている。
 銀傘に歓声が反響して、一種独特の雰囲気を醸しだしているというのだが、ここへ来てものすごく納得。
 ヒットが出るたびに、「おおー」というどよめきがこだまして、肝の小さいピッチャーなら、マウンドで萎縮してしまうかもしれない。
 わたしたちの席は3塁側、T高校のベンチのすぐ上だったので、選手たちがよく見える。
 テレビで観てきたナインが目の前で「よっしゃ〜!!」と雄叫びを上げるのは、なんだか不思議な感じだ。
 地方大会の優勝でボロボロ泣いていたピッチャーのO選手が精悍な黒い顔を見せ、先頭打者のF選手が不敵な面構えで檄を飛ばしている。
 ああ、高校野球を観に来ているんだなあ。
 プロ野球、社会人野球、大学野球の応援なら経験があるが、高校野球をナマで見るのはこれが初めて。
 高校球児憧れの舞台でもあるこの甲子園に、わたしはいま来ている!
 感動!!
 あちら側の1塁スタンドでは、カラフルな応援団席がよく見える。
 あっちの方が人数が多いぞ。翻って3塁側応援団席を見ると、なんだか見劣りがする。しかし、関西圏に比較的近いあちらのJ高校と、10時間もかかってやっとこさ来ているT高校とでは、応援団の数が違うのはしょうがないってものだ。勘弁してやろう。
 まあ、対戦相手は初めて聞くチームだから、どうせウチが勝つだろうけど。なーんて余裕こいている場合ではなかった。
 最初はリードしていたT高校だったが、やがて中盤、同点に追いつかれてしまったのだ!
 ピッチャーの一投げ、バットの一振りに一喜一憂し、わーわーきゃーきゃーと応援する。
 が、その裏、ただちに勝ち越したT高校、9回を終わってみれば大量リードの一人勝ちであった。
 ウ〜とサイレンが鳴り(甲子園で初めてサイレン聞いた! 嬉しい!)、いよいよT校の校歌斉唱。息子の入学式で1度聞いたきりの校歌にはまったく馴染みがないが、甲子園で聞けて非常に嬉しい。
 選手たちが応援団の前に駆けよって礼をし、笑顔でベンチに戻ってくるのを見届けて、わたしは娘を促して席を立った。
 応援団が球場の外に出てくる前に待ち伏せして、息子を捉まえないといけないからだ。
 が、球場からぞろぞろ出てくる生徒たちはお揃いのTシャツを身につけており、探すのに一苦労。それでもどうにか探しだし、声をかけて合流。
 そのままリムジンバスに乗って空港へ・・・と思ったら、なんとカバンをバスに置いてきたと息子は言う。あれほど、球場で待ち合わせして、そのまま空港に行くよと言い聞かせておいたのに!!
 結局、他の生徒たちに混じって、バスの駐車場までゾロゾロ歩いていくハメになった。しかも、対戦相手であったJ高校応援団の生徒たちも、ところどころに入り混じっている。
 なんだか妙な光景だった。
 それまで熾烈な戦いをしていたチームの応援団同士が、なにごともなかったような平静さで歩道を歩いている。これがエキサイトしやすいお国柄だったらケンカも起こりうるのではないだろうか。と思ったが、さすがに我がニッポンの若者たちは穏やかである。
 暑い中、汗を拭き拭き10分ほど歩いたが、駐車場にはまだ着かない。
 息子に「あと何分歩くの?」と訊いたら、「まだまだだよ。この道路の突きあたり」と、遥か彼方を指し示した。
 横断歩道で交通整理に当たっている警備員の方に訊くと、あと10分は歩くという。
 まいった。これでは余裕を持って飛行場に到着できない。
 団体バスの駐車場から再び甲子園に戻り、そこから空港行きのシャトルバスに乗らなくてはならないのだ。
 下手をすると、ギリギリという事態にもなりかねない。
 わたしはそこで歩くことを諦め、タクシーを呼び止めた。そして、バスの駐車場まで行ってもらい、息子に荷物を取ってこさせて大阪・伊丹空港へ向かうことにした。
 甲子園に戻ってシャトルバスでもよかったのだが、運転手さんは伊丹空港まで4〜5千円だと言うし、どうせシャトルバスでもお金がかかる。
 それに、ちょうどいい時間のシャトルバスに乗れるという保証もなかったし(いちおう時刻表は手にしていたが)、とにかく確実で疲労度の少ない手段を考えたら、タクシーが一番だと思い、そのまま向かってもらうことにした。
 高速道路に乗り、大した渋滞にも引っかからず、順調に大阪に入る。
 このタクシーの運転手さんというのが、まれに見るいい人だった。
 気さくに高校野球談義を交わしつつも、地理不案内のわたしのために高速道路のルートもちゃんと説明してくれて、最後には「お客さん。5千円を超えそうやから、ここでメーター止めますわ」と、なんと高速道路上で言い出したのだ。
 「メ、メーターを止める!?」
 わたしは最初、その意味がわからなかった。ここで降ろされるのか? と一瞬思ってしまったが、もちろんそうではない。
 最初に4〜5千円と言ったのに、それをオーバーしそうで申し訳ないから、メーターを止める、と言うのだ。
 いやあ、さすがに人情に篤い神戸人。こちらがかえって申し訳ないくらいだったが、ありがたく伊丹空港まで送っていただいた。
 それにしても、せっかくの神戸だというのに、わずか4時間半の滞在だけで去らなければならないのは、非常に残念。こんなに慌ただしい旅でなければ、三宮でお買い物したり、食事をしたりしたのに・・・。
 またいつの日か、さようなら、神戸。
 と、感慨もひとしおに後にした神戸、大阪の地であったが、また数日後に訪れることになるとは・・・運命のカミサマは、やっぱり悪戯者であった。
 伊丹空港にて。応援で日焼けして黒光りした息子と、伊東美咲になりきる娘。
 本当なら甲子園駅前からシャトルバスで来るつもりだったがタクシーになったので、時間に余裕ができた。滑走路が見えるレストランで昼食をとろうということになり、2階へ上る。
 ご飯を食べながら時間を調整し、トイレを済ませて搭乗開始。目的地は北海道・千歳空港!
       

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