(滞在5日目)
 
ガンビーチ沖ダイビング
 本日のダイビングは都合により午後から1本だけとなった。
 ポイントは、初日と同じガンビーチ沖。
 ウェスティン・ビーチからカヤックに乗ってホテルニッコー沖に出て潜航というパターンだ。
 ←出発前、カヤックに機材を乗せて準備を始めたジャック。和田先生が厳しいせいか、とても真面目な仕事ぶりである。
 集合写真を撮ったら、なんだか昔観たアメリカの海難レスキュードラマみたいな一枚になった(レスキュー隊員の年齢層がちょっと低いけど)。
 準備が整い、いよいよ大海に向けて出航(?)
 娘のカヤックにはデビッドが乗りこみ、息子はジャックと同乗。
 わたしはメニーさんとコンビを組み、掛けあい漫才のような会話をしながらカヤックを漕ぎ進めた。
 定位置に到着して、いざ潜航。
 これまでわたしたちは海に入ってからBCジャケットを着せてもらっていたが、これが意外と大変な作業であることに気づいた。
 海の中だとジャケットを締めるベルトの調整がしにくいし、ウェイト・ベルトを落としてしまったこともある。
 そこで、今回はカヤック上ですべて装着しておいてから、海にドボンと足から入るようにした。こうすると海上で浮かんでいる時間が短縮されて、けっこう楽ちんなのである。

 デビッドが娘の手を握りつつ、息子のことも気配りしながらエントリーしていく。
 この後、いったん海底で合流してから、デビッドはうちの娘と息子を連れて別方向へ別れていった。
 潜水深度には年齢制限がある。2人は12メートルより深くには潜れないため、わたしたちとは別コースを行くのである。 
 やまちゃん、メニーさん、わたしの3人はジャックに率いられ、次第に深い海の底へと移動していった。
 不気味な紫色のリップが印象的なシャコガイ発見。(ピンぼけですが)
 子どもの時、「小学校○○年生」という雑誌の読み物で「ダイバーがシャコガイに足を挟まれ動きが取れなくなる」という話を挿絵付きで読んで以来、シャコガイには特別な思いを抱いてきた。
 当時の子ども向け雑誌にはサルガッソーだのダイバーを捕らえる海草の森?だの、現在の都市伝説にも近いような真否不明のミステリー譚が多く掲載されていた。
 改めて見てみると、シャコガイは横を向いておらず、貝の合わせ目を上に向けていた。つまり2枚貝でありながら、アサリのように横に寝ていないのである。
 これはなるほど、ダイバーの足を挟もうと待ち構えているように見えないだろうか。
 子ども時代の刷りこみのせいで、わたしにはこのシャコガイが今にも口を開き、「へっへっへ・・・」と笑い出すのではと思えてならなかった。
 それでなくとも、魚以外の海の生物には薄気味悪いものが多い。 
 例えば、やはりピンぼけになってしまったが、この紐状の海底生物。ムカデを白くして細長く引き延ばしたような、不気味そのものの生き物だ。
 モゾモゾ移動していたので動物だろうとは思うが、フィールド図鑑ではぴったりのものが見つからない。
 インターネットであれこれ調べていくと、クモヒトデの特徴と一致することが判明した。足のフサフサした感じがよく似ている。
  ところで、写真がピンばかりなのには理由があった。
 この時、わたしはとても動揺していた。
 ジャックのガイドで海の探索を楽しんでいると、ふと胸の圧迫感を覚えた。
 なんとなく呼吸がしづらい。とっさに深度計を見ると、針はなんと32メートルを差しているではないか。
 わたしは驚き、早く、一刻も早く浅いところへ行かねば・・・と思い、来た方向に向かって戻ろうと泳ぎだしていた。
 1〜2メートル泳いだところで、はたと我に返る。あれ、なんで戻ろうとしていたんだろう?
 もしかしたら、軽い窒素酔いを起こしていたのかもしれない。
 窒素酔いとは、タンクのエアに含まれた窒素が血液中に溶け込み、お酒に酔ったような状態になることだ。正常な判断力をなくし、奇妙な行動をとるという。
 もちろん深度32メートルまで潜ったからといって、ただちに窒素酔いを起こすわけではない。タイムテーブルに従った滞留時間を守れば大丈夫である。
 だが、この時のわたしは確かに妙だった。
 やまちゃんが「どうしたの」というジェスチャーを送ってきた。
 海の中では説明のしようがないが、わたしは深度計を指差してみせた。それでやまちゃんが理解したかどうかは不明である。
 ともかく、深度32メートルということに動揺したせいだろうが、今回のダイビングでは撮った画像が異様に少ない上に、みんなブレている。
 いずれやまちゃんから画像データをもらったらアップすることにする。
 エキジット・ポイントに戻ってデビッド率いる子どもたちと合流すると、再びカヤックをえっちらおっちら漕いでビーチに戻る。
 波が穏やかな湾内ではあるが、ホテル・ニッコーの岬付近だけ白波が立つポイントがあった。この波に乗ると、カヤックが非常なスピードで進むのが面白い。
 思わず「うひょひょ〜」なんて歓声が上がってしまう。サーフィンの楽しさが少しだけわかった気がした瞬間だった。
 →は〜い、ビーチに到着〜。
 
 無事に1本終わり、思わずニッコリのジャックとうちの娘。
 わたしたちが1本潜り終わり、ビーチに戻ってきたのは午後3時半くらい。
 わたしはもう1本、いや2本くらいは潜りたかったのだが、「TBHG」に体験ダイビングの予約が入っていたためにお預けとなってしまった。
 なにしろインストラクターはデビッド一人しかいないのだ。
 プールで日本人女性2人に対するレクチャーが行われ、わたしたちはその様子を近くのジャグジーに浸かりながら眺めていた。 
 時間は刻々と過ぎていく。
 ああ、早く潜りたい。潜りたいよぉ・・・わたしはジリジリしながら時を無為に過ごした。
 そんなとき、鉛色の雲がたちこめた沖の方からゴロゴロ・・・という雷鳴が轟き始めた。
 雷は次第に近づき、やがてかなり近くまでやってきた。
 ビーチに監視員がいるわけではないが、プールにはいる。しかし、屋内に避難してください、と誘導する気配もない。
 わたしはジャックに「雷が近づいている」と言ったが、彼は軽くうなずいただけだった。
 まるで危険を感じていないみたいだ。
 海では、デビッドが2人の女性を連れて潜っていったところである。
 わたしは再度、「安全なの?」と訊いてみた。
 サーファーが落雷によって死亡するケースは日本の海でもたまにあることだ。
 しかし、ジャックは動ずることなく「イエス」と答えた。
 おいおい、ホントなんかい。
 しかし雷が近づいてきたということで、結局、ビーチは遊泳禁止となってしまった。

 雷はしばらく大きな雷鳴を轟かせたあと、電気の落とし物をすることもなく去っていった。
 わたしはもう一本潜れるのではと期待して待っていたが、結局このまま終わってしまった。
 すると、やまちゃんが釣り竿を借りてビーチ釣り?を始めた。
 沈む夕日に向かって一心に釣り糸を垂れるやまちゃん。まるで映画のシーンのよう。
 
 ホテル・ニッコー方面。
 たなびく雲が茜色に色づき、とても美しかった。
 
 ピンク色に染まるビーチ。
 「TBHG」のカウンターでは、やまちゃんとデビッドがけっこう長い時間にわたって話をしていた。
 わたしは写真を撮りながら、メニーさんはユウキ君と遊びながら、そしてうちの子どもたちはビーチチェアに座って話が終わって帰るときを待った。
 しかし、話はなかなか終わらない。
 なにをそんなに揉めているのだろうと、わたしはカウンターに近づいていった。
 2人は揉めているわけではないのだが、ここまでにかかったダイビング費用の計算に手間取っているのだった。
 和田先生が最初の日に「何本潜ったら何パーセントディスカウントする」と言ったものだから計算がちょっと複雑になり、その他の要素も加わって図式にしないと理解できないくらいの話になっていた。
 デビッドが自分なりに計算し、それを受けてやまちゃんが「違う、違う」と、図を書きながら説明する。
 またデビッドが図を書きながら計算するが、やまちゃんが弾きだした数字と一致しない。
 やまちゃんが再度説明し、デビッドも再計算するが、やっぱり数字が合わない。
 その繰り返しで、なかなか一致をみないのだ。
 2人の説明や図に間違いはないのに数字が合わないという、なんとももどかしい交渉を繰り返したのち、ようやく互いに納得のいく結果が出たのは、日がとっぷりと暮れてからのことだった。
 わたしは現金がないのでカード支払いを希望していたが、TBHGにはカードを切る設備がない。そのためインストラクターと一緒にホテルのフロントデスクへ行き、職員に頼んで手続きしなければならなかった。
 わたしは前々日も和田先生とフロントに行って、ダイビング代金の支払いをしていた。
 だが、その時のフロント職員は今日はおらず、他の誰もカード清算の際のチャージについて知らなかった。デビッドもチャージについては初耳、フロントの人もどう手続きをしたらよいかわからないらしい。
 フロントにいる全員が現地スタッフだったので、わたしはたどたどしい英語で「ミスター和田が、カード支払いの場合は3%チャージされると言っていた。わたしは2日前、ここでその支払いをした」と説明した。
 職員は他の人にも訊いてみたがわからず、最終的にチャージなしでカードを切ることになった。
 あとで必要ならチャージの請求をするという説明に、わたしは了承してサインをした。
 手続きが終わったところで、わたしはデビッドに「迷惑をかけて済みません。色々ありがとうございました」とお礼とお詫びを述べた。
 デビッドは「ぜんぜん、いいんだよ」と笑顔で応じてくれた。
 彼と2人でエレベータに乗ってちょっと緊張したが、想い出に残るひとときだった。
 それから、フロントに来たついでに日本円をドルに両替しようとしたが、職員にここはレートが悪いからギャラリアの両替所に行った方がよいと言われたことも書き添えておく。
とっさの一言英会話5 
「ご迷惑をおかけして済みませんでした」は、「I'm sorry to bother you.」。「bother」は「めんどう(迷惑)をかける」「悩ます、 うるさがらせる」といった意味だ。
「色々とありがとうございました」は、「Thank you for everything.」。
 
チャモロ料理「PROA」
 わたしの希望により、ヒルトン近くにあるチャモロ料理のレストラン「PROA」にやったきた。
 とても人気のあるレストランのようで、7時過ぎという時間帯もあって席は満席。すでに出来ていた空席待ちの列に並ぶこととなった。
 わたしたちの次には日本人の家族連れが並んだ。
 「PROA」はきちんとしてはいるがカジュアルなレストランで、白人の客が多い。
 男性経営者も白人で、愛想がよい。並んでいるわたしたちにも「ごめんね」と声をかけてきた。
 常連の客も多いらしく、経営者の男性は彼らと握手を交わし、話をしたりしていた。
 30分ほど待って、ようやく席に案内された。
 日本語のメニューはなく、英語のメニューを見て料理を注文。
 チャモロ料理のレストランではあるが、最初の夜にフードコートで食べたものとは値段も内容も大きく違っていた。
 フレンチ風にアレンジされており、盛りつけも味も洗練されている。
 こちらは娘が注文したミートソースのスパゲティ。明らかにチャモロ料理ではなく、ファミリーレストランのような品揃えだ。
 全体的に期待していたような純粋なチャモロ料理ではなかったし味付けもちょっと濃いようだが、それなりに美味しかった。ここならまた次回も食べに来たいと思う。
 さて、明日はいよいよグアム最後の夜となる。
 明日はどこのレストランに行こうかな? と、早くも明日のディナーに夢を膨らませる食いしん坊であった。
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