Part1
(滞在4日目)
 グアムに来てから毎朝、わたしたち3人はやまちゃんの部屋で朝食をご馳走になっていた。
 こんがりトーストに卵、野菜、熱いコーヒーと、たいへん豪勢で贅沢な内容。
 ←グアムでは生卵を食べたらいけない決まりなのだそうで、やまちゃんは目玉焼きを裏返して焼き直していた。そのせいでなんだかよくわからない料理になってしまったが、とても美味しい目玉焼きでした。
 やまちゃん、メニーさん、毎朝ありがとうございました。
 とにかくでっかいオレンジジュース。
 アメリカの人はどんな時にも甘い飲み物と一緒に食事をとる。毎朝家族で飲むオレンジジュースは当然、ビッグボトルで売られている。
ファンダイブ3日目〜フィッシュアイ1本目
 朝食を終えるとさっそく向かったのが、ピティ湾にあるフィッシュアイ・マリンパーク。
 海に突き出した長い桟橋の先に海中展望塔があって、水深6メートルの海の中を覗き見ることができる観光スポットである。
 観光客向けの餌付けがされているので魚たちは人見知りせず、珊瑚礁も豊富なので魚影も多い。
 桟橋の長さは約300メートル。先端にある小屋のような建物が海中展望塔だ。
 今日は子どもたちがCカード取得後、ここフィッシュアイで初めてみんなと一緒に潜ることになる。
 和田先生は午後の便でグアムを発つ予定だったが、ユウキ君のシッターをするために来てくれていた。
 午前中はご両親であるやまちゃん、メニーさんが潜るためだ。
 「パパとママが潜ってるあいだ、先生と待ってようね」と言われ、顔が強ばるユウキ君。
 でもおりこうさんな彼は心配そうな顔をしながらも、ちゃんと桟橋の上で先生と一緒にお留守番をしてくれていたのだった。
 この方が和田先生の代理、デビッド先生。アメリカ人だが、なぜか「24」を知らない。
 日本語は話せず、100パーセント英語だ。 
 なんとなくジェンキンズさんに似ているので、わたしは彼のことを密かに「ミスター・ジェンキンズ」と呼んでいた。
 わたしたちの間で「デビッドはいったい何歳だろう」という話になった。
 「60歳くらいだ」というやまちゃんに対し、わたしは、「いや、年とってるように見えて、意外に若いに違いない。50歳くらいだよ、きっと」
 と反論した。
 「えーっ」と驚くメニーさん。
 ダイバーだからたっぷり紫外線浴びてシワが深いけど、声や動作などは若々しい。彼はそんなにお爺さんじゃないと、わたしは見ているのだが。
 しかし、大人の欧米人に年齢を聞くのは失礼なことだと聞いていたので、最後まで彼の年を知ることができなかった。
 果たして真相は・・・?
 ジェンキンズさん・・・じゃなくてデビッドに率いられたわたしたちは浜からエントリー。
 桟橋の下を歩いたりスイミングしながら、潜航ポイントまで100メートルほど進んでいった。
 桟橋の下は、長い長い遠浅である。
 ダイバーが歩いて砂を巻き上げるため水は濁っていて、透明度はとても悪い。しかし、ムラサメモンガラといったカラフルな魚たちが泳ぎまわっていて、非常に興味深かった。
 ふとデビッドが白いナマコを指し示し、「ここを触っちゃ駄目だよ」というジェスチャーをして見せた。
 しかし、ダメと言いながらも、デビッドはナマコのお尻をつんつんとつついた。すると、ナマコのお尻(と思われる箇所)の穴から、そうめん状の糸がするりと出てきた。
 ぎょえ〜〜〜!
 海の中でわたしは大声を上げそうになった。
 ナマコからそうめんが、そうめんが〜っ。
 この驚きを仲間に、子どもたちに伝えたい。そう思って振り向いたが、あいにく水が濁っていてこの恐るべき出来事に気づいた者はいなかった。
 糸を出すナマコとは、おそるべし。威嚇のためか、それとも毒の触手だろうか。
 フィッシュアイの英語パンフによると、英名は「ブラウン・スポット・シー・キューカンバー」。
 「キューカンバー」はキュウリのことなので、「茶色いスポットのある海のキュウリ」ということになる(キュウリというよりヘチマのようだが)。
 「脅かされると、白い粘着性のある糸を噴出させる」という解説が載っていて、どうやら毒性はないようだ。
 それにしてもデビッドったら、手で×印をして「駄目だよん」なんて言っておいて、自分で糸を出させるとは。 
 お茶目なんだか、不真面目なんだか。
 次の2本目でも白ナマコを見つけたので、そうめん見たさに肛門をツンツンしていたら、デビッドが「ノー!」という顔で「ダメダメ」サインを送ってきた。
 が、次の瞬間にはやっぱり自分でツンツンして糸を出させたデビッド。
 いや〜ん、わたしが自分でやりたかったのにぃ。
 きっと彼は大の「そうめんナマコ」オタクで、人にやらせたくなかったのかもしれない。
 →うちの娘の手をがっちりと握ってエントリーするデビィッド先生。(やまちゃん撮影)
 ところでさっきも書いたが、ここはなかなか魚が多いポイントだ。サンゴなどの個体も多くて眺めも美しい。
 しかも餌づけ慣れしている魚たちがダイバーの姿を見ると、「エサちょーだい」と近づいてくるのが面白い。
 エントリーし、海底に到着。
 デビッドがポケットからソーセージの切れ端を取り出して皆に渡し始めた。
 ここで餌づけを楽しもうというのだ。
 我も我もと集まってきた魚たちで、視界がたちまち埋め尽くされる。
 トゲチョウチョウウオなどはあまり人を恐れないらしく、たくさん集まってくる。
 カスミアジという大きな魚も、人の姿が見えなくなるほどびっしりと視界を覆う。
 ←このカズミアジ、パンフレットには「餌づけのダイバーにつきまとう、でも機敏な動作は海の暴れん坊」と紹介されている。
 その後、移動をしていくとフィッシュアイの海中展望塔に到着した。
 窓の中を覗きこむと、和田先生とユウキ君が手を振っていた。
 他にも日本人の観光客などが外を見ていて、わたしたちダイバーに笑顔で手を振ってくれた。
 →窓の奥には和田先生とユウキ君の姿が。
 窓の外には棚が設置され、そこに置かれたサンゴの上にイソギンチャクが植え付けられていた。
 イソギンチャクには当然クマノミが棲んでいて、展望塔の観光客は海の中のクマノミを自然のまま(?)の状態で見ることができるという仕掛けになっている。
 わたしは先ほどデビッドからもらったソーセージを彼らにあげてみた。ここのクマノミは人に慣れているので、手から直接エサを食べてくれる。
 クマノミはたいそう可愛い。わたしはクマノミが大好きだ。
 「ファインディング・ニモ」で有名になったカクレクマノミが一番だとは思うが、このダスキー・アネモネフィッシュも結構カワイイ。
 「エサ、くれるの〜」と、こちらを向くので、いつも彼らの真正面顔が写っているのがグッドである。
 今回、わたしは初めてイソギンチャクを素手で触ってみたが、ねばねばと吸い付くような不思議な感触だった。
 カメラにポーズをとるメニーさんと、クマノミに見入るうちのセガレ。
 右上に写っているのはわたしのカメラだ。
 オニハタタテダイが目の前を悠々と横切っていく。
 なんでも夜叉鬼のような形相をしているからこの名がついたとか。わたしの目には可愛く見えるんだけどなあ・・・。
 再び、メニーさんとセガレの前を横切るオニハタタテダイ。
 名前に反しておっとりしているので、カメラ写りのよい魚だ。

 もちろん、このポイントには人工的にあつらえたイソギンチャク以外にも、自然そのままのイソギンチャクとそれに住み着くクマノミが数多く見られた。
 思わずクマノミ団地と呼びたくなるほどサンゴの隙間をびっしりと覆うイソギンチャクとクマノミたち。
 もう嬉しくて楽しくて、わたしは有頂天である。
 ↓イソギンチャクの中には子クマノミの姿も。
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