(出発〜滞在1日目)
 伊豆の温泉別荘オフのところでも書いたが、わたしたち夫婦は10年ぶりにスキューバダイビングを再開した。
 最初の予定では9月に沖縄へ行き、そこでダイビングをするつもりだった。それに間に合わせるため、長男には6月から都内のダイビングショップに通わせた。
 彼は最初は楽しげな様子だった。
 初めてのプール講習のとき見学させてもらったが、臆することなく上手にこなしていた。その後も順調に学科やプール講習を受けていると思っていた。
 だが、ある時、息子は「講習、やめたいんだ」と言い出した。
 理由を聞いたところ、インストラクターが毎回変わるのも嫌だし、なんだかとても厳しいんだ、ということだった。
 わたしはショップに電話をかけ、責任者に話を聞いた。特に厳しくしているつもりはないとの返答だったが、保護者に対して「はい、かなり厳しく教えてます」なんて答えるショップはまずないだろう。
 「頑張れ、と言って励ましていたのが厳しいととられたのでしょうか・・・」なんて話している。
 
 わたしは息子に、「毎回先生が替わるといったって、その状態が一生続くわけじゃなし。あと1〜2回、我慢すれば取れるんだよ」
 と言って説得を試みたが、「50問テストも嫌だ」とかなんとか言ってひたすら拒絶モード。
 学校の勉強も大嫌いな息子にとって、学科テストをクリアしなければならない状況は、相当重圧のようだ。
 嫌だと言い出したらテコでも動かない息子のこと。夫とわたしは無理強いするのをやめた。そんな時が来るかどうかはわからないが、自ずから行こうという気になるまで待つことにした。
 そんなとき、救世主が現れた。C.C.Cのやま@秦野さんである。
 8月下旬の伊豆ダイビング・オフにも参加予定だったやまちゃんに息子のことを相談してみると、「うまく話してみましょう」と説得役を引き受けてくださった。
 わたしは息子の頑なな気質のこと、スパルタな大人が苦手なことなどをメールで説明したが、いま思うとずいぶん過分なお願い事をやまちゃん、メニーさん夫妻に押しつけてしまったと思う。
 でも、ご夫妻が一生懸命、しかし優しく説得してくれたお陰で、息子はすっきりとはしない表情ながらも「わかりました」と返答していた。
 やまちゃんは「一緒にグアムに行って、そこで講習の続きをしよう」というウルトラC技を繰り出してきた。その中でも、「やまぴーが講習の時もそばについて、一緒に潜るから!」という口説き文句が功を奏したのかもしれない。
 やまちゃんに、
 「グアムでライセンスを取った方が安くて短期間で済むし、海が暖かいのでストレスがない。一緒にグアム行きましょう!」
 と言われ、わたしも「はいっ! よろしくお願いします!」と、すっかりその気になった。
 都内のショップに支払った講習費用は仕方がない。
 戻ってこないだろうが、諦めよう。それより息子が講習を継続しライセンスを取得してくれないことには、わたしの気持ちが収まらなかった。
 予想外だったのは、勢いあまって娘の講習分も一緒に申し込みをしたことだった。
 娘はまだ10歳4ヶ月。恐がりな一面があってスキューバにはまだ早いから、沖縄ではシュノーケリングだけさせるつもりだった(沖縄は結局キャンセルしたのだが)。
 だが、せっかくグアムで安い講習を受けられるのに、シュノーケリングだけというのはいかにももったいない。いつかは家族全員揃ってダイビングしたいのだから、1〜2年早くたって構やしない。この機を逃したら、また都内の高いショップで厳しい講習を受けるハメになるんだから。
 そして、出発の日となった。
 我が家の滞在期間は1週間。宿のレオパレス・リゾートはやまちゃんが予約を取ってくれて、コンドミニアム最上階の隣の部屋に決まった。
 フライトは自分で予約をした。最初はマイルの貯まっているANAでと思ったが、グアムに直行便が飛んでいないことを初めて知った。
 そこで、渋々だがJALを取った。
 席は自分で指定できるので、試しに余裕のあった2階席を取ってみた。2階席というと、電車でもバスでもなんだかワクワクするものだ。
 飛行機に搭乗して階段を登るときも、わたしは子どもみたいにワクワクしていた。
 だが、いざシートに着いてみて、それは失望に変わった。
 なんと、パーソナルモニターがないのである。
 これまで飛行機に乗ってパーソナルモニターが付いてなかったことなんて、赤字会社のアリタリア航空でもなかったことだ。
 2階席だからモニターがないのか? しかし、予約webサイトの座席指定画面でも、「2階席にはパーソナルモニターがありません」なんて注意書きはなかったように思う。
(これだからJALは嫌いなんだぁ・・・)
 いくら3時間半の短いフライトとはいえ、パーソナルモニターがないことは事前に知らせておくべき重要な事柄ではないだろうか。しかも、パーソナルモニターのある1階と、それがない2階は同じ料金なのだ。
 だが、そこはそれ、わたしはおとなしい日本人。普段は強気なことを言ってるくせに、いざというときはクレームをつけることもできない小心者である。
 不満を抱えながらもシートベルトをはめ、機内誌をパラパラとめくる。こうなったら免税品のカタログでも見て時間をつぶすか、ipodで音楽でも聞いているより他にない。
 そして、残る楽しみといったら機内食とアルコールだけだ。 
 映画鑑賞を楽しみにしていただけにショックは大きく、わたしはヤケ酒に走った。ビールと白ワインを飲み干し、子どもが残した食事まで平らげて満腹、満腹。
 そして、シートを思いきりリクライニングさせ(幸い後ろが非常口で人のいない席だった)、ふて寝モードに突入した。
 しばらくして、腕を突っつかれる感触をおぼえて目を覚ました。ハッとなって顔を上げると、CAが「シートを元に戻してください」と告げている。  
 はりゃ、もう着陸?
 CAに起こされるまで眠りこけていたなんて、わたしとしては不覚も不覚、大不覚だ。
 しかし、ちょっと寝ているあいだに着いちゃうグアムって、なんて近いんだろう。
 海外というと16時間以上もかかるヨーロッパばかりだったので、3時間半で到着なんて実に拍子抜けしてしまう。
 窓の外を眺めると、灰色の雲が低く垂れこめていた。そのせいで海もあまりきれいに見えない。
 この雲の多い天候が、わたしたちの滞在期間の多くを支配していた。そのお陰であまり日焼けせずに済んだとも言えるが、雨で寒いときもあった。
 飛行機から一歩外に出ると、うわっ、なんなのこのモワッとした空気は。と驚くほどの湿気と暑さを感じた。
 暑いのは南国だから当然だが、思いのほか湿度が高い。ベランダに干した水着がなかなか乾かないゆえんである。
 わたしたちは通路を進み、入国審査に並んだ。
 審査では思いがけず、英語で質問を受けた。「目的は?」「何日滞在する?」の2つ。
 海外旅行用の英会話本に必ず載っている定番のフレーズだ。
 しかし、これまでの海外旅行でただの一度も質問されたことがなく、普通の日本人には聞かれないのだと勝手に思っていた。
 予想に反していきなり質問されたので、わたしはどぎまぎしてしまった。
 こんなにたくさんの日本人が入国しているのに、どうしてわたしに訊いたの? 質問に答えながらも、逆に聞きかえしたい気持ちになった。
とっさの一言英会話1 
How long are you going to tay? などと滞在日数を訊かれたら、
5days. と答える。もっと長いフレーズは、
I'm going to stay for 5days. あるいは、
I'm staying for 5days. となる。英語では長いフレーズになればなるほど丁寧な物言いになるので、相手やシチュエーションに応じて使い分ける。
What's the purpose of your visit? と、旅の目的を訊かれたら。
Just sightseeing. と答える。
なまじ英語力を披露しようと「親戚に会いに来た」とか「ビジネスで」なんて余計なことを言うと、かえって色々と質問を受けたり突っこまれたりする。シンプルに答えるのが一番無難。(↑これ、イタリア旅行の時に見かけた実話です)
 さて、入国審査を通り、預けた荷物を受けとって、わたしたちはレオパレス・リゾートのカウンターに向かった。
 そこで名前を言って送迎バスの案内を受ける。今度こそちゃんとした英語で・・・と身構えていたが、職員は日本人だった。
 わたしたちが宿泊する「レオパレスリゾート・グアム」は日本企業レオパレス21が経営している。
 そう、あの藤原紀香がCMをやってる、あのレオパレスだ。 
 だから泊まるのもほとんどが日本人。というか、グアムにやってくる観光客の7割が日本人だというから、日本人以外の人間を捜すのが難しいんじゃないかとさえ思ってしまう。
 もっともシャトルバスに案内したり、荷物を載せたり、運転したりするのは片言の日本語も話せないような現地スタッフだ。
 まわりを見渡せば日本人か、肌が浅黒い現地の人の2種類しか見あたらない。そこがいかにもグアムらしいと言えば、グアムらしいのかもしれない。
(滞在1日目)
 わたしたちは送迎のワンボックスカーでレオパレスリゾート・グアムへと向かっていた。
 わたしがグアムに来たのはこれで2度目。
 夫と婚約した年の3月にダイビング旅行で訪れているが、もう20年も前のことだ。
 出発当日、わたしたちは有楽町で待ち合わせていたのだが、夫がパスポートを忘れたため飛行機に乗り遅れるという大ハプニングがあった。
 まったく、海外旅行に行くのにパスポート忘れるか、フツー!?
 わたしは悔しいやら腹ただしいやら悲しいやらで、旅行代理店に頼んで取ってもらった成田空港近くのホテルで夜遅くまで泣いた。 
 そして、「こんなアホとは結婚できない!」と、婚約解消を心に誓った。
 翌日、旅行代理店の計らいにより無事グアムに向けて出発することができ、同一料金のまま滞在を延ばすことができた。
 そんなこんなで、グアムはなんだかちょっとホロ苦いような甘いような、わたしの記憶の中で青春の一コマを飾る島であった。
 夫のアホは今でも変わらないが、結婚を止めなくてよかったと思っている。
 で、その夫だが、書き忘れたけれども今回はお留守番だ。
 行きたかったらしいが仕事が忙しいとかで、2人の子どもたちを押しつけられてしまった。
 これまでの海外旅行では、いつも息子と娘を別々に連れて行っていた。2人同時は初めてのこと。しかし場所がグアムなので、だいぶ気が楽だ。
 自慢じゃないが、2人ともこの年齢にしては輝かしい海外旅行経験の持ち主だ。
 長男はフランス、イタリアを経験済み。娘も10歳にしてフランス2回である。だが、2人とも英語力ゼロなのが悲しい。
 娘なんて5歳のときから英語教室に通っているのに、これまでまったくの遊び感覚でダラダラ続けてきた。話せる言葉といったら、「ハロー」と自己紹介程度だ。
 それくらい、今どきの小学生なら誰でも言えるっちゅうの。
 ・・・・・・・・・・
 ストレスが溜まっているのだろうか。家族の悪口ばかり書いてしまった。
 本題に移ろう。 
 レオパレスリゾートはグアム島の中心、島の背骨部分にあたる山の上に位置する。
 送迎車はビーチ沿いの賑やかな一角から離れ、坂を登っていった。
 そして、到着。
 それはもう、口があんぐりしちゃうほどスケールが大きくゴージャスであった。
 もう、すんごいっ!
 送迎車は、本館であるホテルの玄関前に止まった。日本人スタッフが出迎え、あちらのフロントでチェックインしてください、と案内してくれる。
 とにかく広大な施設で、ホテル館といくつものコンドミニアム館、ゴルフのクラブハウス、スパ棟などの建物に別れている。
 さらに野球場、サッカー場、競技プールなどもあって、日本のアスリートたちがよく合宿するらしい。
 ロビーに入った。
 うひゃあ、これまた凄いこと。ゴージャス、モダン、ワンダフル。どんな形容詞を並べ立てても、このロビーは表現できない。
 わたしは「あちらのフロント」と言われた方角に向かって歩き、カウンターに到着した。
 フロントにもちゃんと日本人スタッフが待機していて、とりあえずここまでは英語が一言も話せなくてもOKという状況だった。
 なるほど、ゴルフ好きのお父さんが多いはずだわ。
 フロントでは鍵を受けとり、免税店に行くシャトルバスのパンフレットとか、帰国時の送迎バスの出発時間とかが書かれた書類を一式もらった。
 そして玄関に戻り、今度は自分が泊まるコンドミニアム棟に向かうことになる。
 建物から建物への移動は、リゾート内をぐるぐる走る周回シャトルを利用する。ダイビング機材を入れたバッグ2つと、着替えの入ったスーツケース2つをシャトルに積んでもらい、E棟へ。
 ドライバーへの指示も玄関前に立つ日本人スタッフがやってくれ、ここまで本当に日本語オンリーだ。
 凄いなあ。日本人による日本人のための究極のリゾート。しかし、本当に英会話力ゼロでも生活できるのだろうか。
 E棟に到着した。
 8階建てのビルの周囲は背の高いヤシの木や深紅の花をつけたハイビスカスなどで彩られ、いかにも南国らしい風情だ。
 しかし、建物の近くでよく見てみると、くたびれた箇所がそこかしこで目につく。ホテル棟に比べると古くてメンテナンスが行き届いていないという印象を受けた。
 現地スタッフが車からダイビング機材が入ったキャリーバッグとメッシュバック、生活用品が入った大型スーツケースとキャリーバッグの計4個を運び出し、カートに乗せた。
 わたしは英語で部屋まで運んでくれるよう頼み、部屋の前で3ドルのチップを渡した。
 コンドミニアムだから荷物は自分で運ばないといけないと覚悟していたが、こうしたサービスを受けることもできるので安心である。
 おそらくレオパレスで働いている現地スタッフは「荷物運んでください」程度の日本語なら理解できると思う。
とっさの一言英会話2 
荷物を運んで欲しいときは
Please carry my bags. 家族連れなどの場合は「my」を「our」に言い換える。もっと丁寧にお願いするときは、
Could you bring our baggeges to our room, please?
ポーターの姿がなくて、誰かに頼みたいときは
Could someone take my baggages, please?
とにかく、なんでも頼み事をするときは「please」を付け加えることを忘れずに。レストランで「coffee!」とだけしか言わない日本人が多いが、非常にぶしつけです。
 エレベータで最上階に昇り、部屋に入る。エントランスから廊下が延び、右がトイレとシャワー、真っすぐ歩くとキッチンとダイニング、リビングへと続く。
 左の奥がベッドルームだ。
 あっという間に散らかってしまったのでリビングの写真を撮りそこなったけれど、とにかく広い。
 キッチン。コンロは電熱タイプで、冷蔵庫はビッグサイズだ。
 バスルーム。トイレとは別れていてよかった。しかし、なんでドアがガラスなのかな。
 この日の夜、当然お風呂に入ったが、ぬるいお湯しか出てこなかった。こんなものなのかなと思ってそのまま洗い流して出たが、あとで故障と判明。フロントに電話して修理の人に来てもらい、熱いお湯が出るようになった。
 バルコニーに出てみる。
 大きな室外機が轟音を立てて作動しており、窓を開けて寝られないくらいの大音量だった。
 まあ、常夏のグアムで窓を開けて寝るなんてことはあんまりないだろうけど。
 最上階だけに、バルコニーからの眺めは最高だった。なだらかな緑の丘がどこまでも広がっていて、その彼方には街が見える。そして、その向こうは海だ。
 レオパレスリゾートは島の真ん中にあるので海など見えないと思っていたが、遠いながらもオーシャンビューだったのは意外だった。
 しかも、この時はまったく気づかなかったが、かの恋人岬がしっかり見えている。
 先ほど緑の丘と書いたが、ところどころ赤土が剥きだしになった箇所もあって、その土の色がとんでもなく赤いのが印象的だった。
 日本じゃありえないような赤土だ。火山性の砂礫かもしれない。
 一方こちらは、ベランダとは反対側にある外通路からリゾート一帯を見下ろした画像。
 プールの右側にある白い屋根はポリネシアンショーが行われる会場で、ステージが設置されている。
 プールの向こう側、玄関前にトラックが停まっている建物が、先ほどチェックインをしてきたホテル棟だ。歩いて行けそうでいて、これがけっこう歩くんだな。
 さて、ここで隣室のやまちゃん一家と合流。
 さっそく部屋を訪問し、見比べさせてもらう。
 わーお。なんかウチより広いみたい。
 地下のパーキングに停まるやまちゃんのレンタカー。わたしたちは車に乗りこみ、街へ繰りだした。
 時刻はすでに4時半をまわっていた。買い物と夕食を兼ねてショッピングセンターに行くのである。
Copyright (C) 2007 杉江家のどこでも別荘キャンプ日記 All Rights Reserved.
海外旅行INDEXグアムINDEX次のページへ