6日目 帰国〜パリから成田へ
 本日は8月24日、水曜日。いよいよ帰国の日だ。
 午前9時15分に、JTBのアシスタントさんが送迎のためホテルに来るはずだった。だから、今朝は朝ご飯をゆっくり食べて、どこにも外出せず出立の支度をした。
 それにしても7日間のツアーなのに、最後の2日間は観光旅程に入れられないというのは、なんとも理不尽な話だ。明日25日(木)は旅程7日目にあたるが成田に到着する日なので、観光は当然できない。(日程については別表をご覧下さい)
 考えてみれば、最初の1日目もそうだった。到着時間が遅かったので、ホテルの周りをちょっとブラついた程度だ。
 なんてもったいない。7日間のはずが、正味4日しかないツアーだったなんて。
 そのため、たくさん悔いが残った。
 エッフェル塔に登れなかった。オペラ座に入って見学できなかった。ルーブル美術館で「ポンパドゥール侯爵夫人」が見られなかった。
 心残りがいっぱい。あと1日あれば、その全部がカバーできたのに。
 せめて、夕方以降のフライトだったらよかったのに・・・く、く、悔しい。
 来年、また来るぞ。絶対来るもんね〜。(絶叫)
  パリ・シャルル・ド・ゴール空港
 JTBの迎えのワンボックスにピックアップしてもらって、空港に到着した。
 これも、あちこちのホテルをピックアップしつつ行くため、けっこう無駄な時間を消費する。といって、送迎もない完全フリーなツアーだと、これまた不安があるし・・・。
 いや待てよ、完全フリーなツアーだと、今回のものよりさらに安い価格だ。その浮いた価格でタクシーに乗って空港に行けばいいんだ。よほど運が悪くない限り、ぼったくりタクシーには当たるまい。
 到着した日も、同様。タクシーでホテルに行く。それで飛行機の時間も指定できれば、一石二鳥。時間をいっさい無駄にすることなく有意義に使うには、それしかない。
 と、早くも次回のことに想いを馳せながら、エール・フランスのカウンターにチェックイン。
 だが、こういう送迎付きのツアーのいい所は、アシスタントさんがチェックイン手続きから「窓際にしてください」というリクエストまでやってくれることだ。
 これがまったくフリーのツアーだったら、「ま、窓際ってフランス語でなんて言うんだろう?」なんてビビッてしまうところだ。
 だが、JTBの人がリクエストしたにもかかわらず、発行されたチケットを見たら窓際席のアルファベットじゃなかった。そこで、アシスタントさんがもう一度窓口のお姉さんに掛け合って、窓際に取り直してもらった。
 こういうことはよくあるので、フランス語でなくてもいいから英語で交渉できるだけの語学力がなくては、、、と、つくづく実感した。
 添乗員付きの割高ツアーとか送迎付きのツアーとかなら、困ったことがあっても頼れる。でも、自由がきかない。窓際がいいとか、我が儘が言えない。ああ、悩む。次回のツアーは、なんにしよう?
 さて、いよいよアシスタンさんと別れて出国審査のゲートへと入る。手荷物検査のための列ができていたのでそれに並んでいると、アシスタンさんが立ち去らず、最後まで見届けてくれているのが見えた。この人とも、もう二度と会うことはないだろう。ほんのわずかな時間お世話になっただけだったが、一抹の寂しさを感じていた。
 手荷物検査では、かつて経験したこともないくらい厳重に調べられた。
 金属探知器をくぐり、ボディチェックを受け、バッグを開けて中身を事細かにチェック。手提げに入れておいたコンタクトレンズ用の生理食塩水のボトルまでしげしげと眺めている。
 ガソリンでも入っていると思われたかしら。あなたたち、こんな子連れの女性旅行者がテロリストに見えるっての?
 挙げ句の果てに、黒人の女性係官がわたしのパスポートを持ったまま事務所に入っていってしまった。わたし、ここで拘束されるの? と思ったが、しばらくして出てくると、パスポートを戻された。
 もう行っていいと言われたので、手荷物をまとめる。
 もしかしたらパスポートのコピーを取るか、あるいはブラックリストに載っていないかコンピュータに照会したのかもしれない。
 だけど、なんで? わたしのどこらあたりが怪しかったのだろう?
 生理食塩水のボトルのせいだろうか。
 それとも顔つきが怪しかったとか。アラブ系に見えた? いや、そんなはずはない。人からは、わたしの顔は南方系だと言われるし、自分でも常々、先祖は南の島から渡ってきた人に違いないと思っている。だから、どう見てもアラブ系の彫りの深い顔立ちとは無縁。(母は北陸の人なのだが)
 後でこの手荷物検査所を通りかかって見たら、やっぱり他の人も厳重にチェックを受けていた。全員のパスポートを照会するかどうかはわからない。いちいちそんなコトしてたら立ちゆかないだろうから、ちょっと不審なことがあったときだけなのかもしれない。
 でも、しつこいようだけど、わたしのドコが不審だったのかしら? しょっちゅう出入国を繰り返しているわけでもないし、子どもも一緒なのに。
 さて、手荷物検査をクリアーしたわたしは、すたすたと化粧品のショップへ急いだ。(切り替えは早いのだ)
 ただし、ここシャルル・ド・ゴール空港の化粧品ショップはたったの1軒しかなく、品揃えもそんなに豊富ではなかった。
 ローマ空港では第1ターミナルに2つ、第2ターミナルにも1つあって、でっかくて種類豊富だったのに。最後の化粧品選びをことのほか楽しみにしていたのに、シャルル・ド・ゴール空港のこれは非常に残念だった。結局、お土産のための化粧品と自分用にルージュを購入すると、間が持てなくなって2階に上がった。
 2階には搭乗ゲートがあり、ブランドショップと土産物屋などがいくつか点在している。それもまばらで、ちょっと寂しい限り。ローマとのこの違いはいったい何なんだろう。
 興味深かったのは、搭乗ゲートのすぐそばにマッサージ処があったこと。雰囲気的に、どうも殺風景で唐突な印象を受ける。いくらマッサージ好きな日本人でも、さすがにこれを試す人はいないようだった。
 わたしたちは土産物屋さんで凱旋門の小さな絵、香水セット、飾り時計、ワインなどを買った。売店の規模としては小さなもので、タイミングが悪いとレジが混んでしまい、長蛇の列に並ぶハメになることもあった。
 それでも時間が余ったので早めに搭乗ゲートに向かった。そこで30分ほど待って、ようやく搭乗時間となる。
 一番に乗りこみたかった息子は、勇んで飛行機へ。
 ちなみに彼が引っ張っているコロコロ・カートは、100円ショップのダイソーで525円で購入したもの。
 ワインを買って重くなった荷物も、こうして転がせば軽々。これはぜひともお勧めです。
  エール・フランス機内
 飛行機は定刻通り、午後1時15分に離陸した。
 そして、待ちかねたお昼ご飯。別に日本食が恋しかったわけではないが、なぜかショッパイものが食べたかったので、わたしは和食を選んでいた。(やっぱり恋しかったのかなー)
 白身魚のあんかけと、チーズと肉団子の串もの、パスタなど。
 息子が頼んだ肉料理。
 このあたりの座席を担当するフランス人アテンダントさんは、ジェニファー・ビールス似のほっそり長身美人。日本語ができるので、なにかと頼み事をさせてもらった。やわらかい笑顔がステキで、優しかった。
 この人に限らず、エール・フランスのアテンダントさんはみな笑顔で優しいのが嬉しい。アリタリア航空にはぜひ見習ってもらいたいものだ。
 
 せっかく窓際の席になったものの、いつ外を見ても夜か、朝焼け状態だった。日付が早く進んでいる東へと進んでいるため、常に日の出直前という光景なのだ。
 どこの上空かわからないが、日が昇るさまはとても美しかった。
 これは帰国してから聞いた話であるが、夜だとシベリアの彼方にオーロラが見えることがあるそうだ。もっと早くこの話を聞いていれば、見られたかもしれなかった。く、悔しい。次のフライトでは、ぜひともオーロラを拝まなくては。
日本到着、最後のトラブル
 さて、長い長いフライトを終え、成田に到着したのは朝の7時50分。
 眠いんだかなんなんだか、時差ボケした頭と体にはなにやらよくわからない状態で飛行機を降りた。
 スーツケースも順調に出てきて、ホッと一安心。だけど、ここでトラブルが発生した。
 受け取りのベルトコンベアのところで、「ママ、お財布がないよ」と、息子が訴える。
 お、おいおい。ここまで来て、そりゃないだろう。
 詳しく聞くと、飛行機内では確かにポケットに入っていたという。窓にもたれて横向きに寝ているときに落としたらしい。
 中身は使い残したユーロ・コインと、医者の診察券やら図書カードなど。そんなものをわざわざフランスに持っていくこともないのだが、とにかく入れたままでユーロ札を入れて持ち歩いていた。簡単に再発行できるものばかりなので、別に死ぬほど惜しいというわけではない。だけど、やっぱりそのまま捨て置いて帰るというわけにもいかなかった。その財布は1ヶ月ほど前、ダイエーで1,980円で買ったばかりだったし(ビンボくさ〜)。
 それに、これが一番重要なのだが、そこには息子のスーツケースの鍵を入れてあったのだ。財布がないと、スーツケースが開けられない。
 そこで、近くにあったエール・フランスのカウンターに駆け込んだ。
 「あ、あの、飛行機に落とし物をして来ちゃったんですが・・・」
 ここはすでに日本なので、カウンターの係員さんももちろん日本人。
 若い女性係員が応対してくれ、わたしは座席番号を告げて、そのあたりに落ちているはずだと説明した。
 係員が無線機で飛行機内にいる(かもしれない)整備要員に連絡を取る。だが、機内には誰も乗っていないという男性の返事が返ってきた。
 そこでその係員、「わたしが行って、見てきます」と走り出し、通用口へと消えた。
 10分近く待って、やっと係員が戻って来た。その手には、見覚えのある黒い財布が握られている。
 「そう、これです!」
 財布は無事、息子の手に戻った。息子と二人で深々とお礼を言い、同時に詫びた。飛行機まで走らせちゃって、ホントに申し訳ない・・・。(たぶん近道があるんだろうけど)
 さて、財布からスーツケースの鍵を開け、手荷物を全部中に押しこめる。これで、スーツケースを2コだけ引いていけばよいだけの身軽な状態になった。
 今日は夫のお迎えはなし。成田エクスプレスに乗って新宿まで帰らなければならないので、極力手回り品は少ない方がいいのだ。
 だが、時差ボケでボケまくっていたわたしの頭は、このあと色々な錯誤を繰り返した。
 成田エクスプレスの時間を取り違え、思い切りボケをかましたり。
 チケット購入の窓口で、財布からショップのメンバーズカードなどの束をごっそり落として、気づかない、なんてこともあった。後から気づいた駅員さんがそれを持って追いかけてきて、乗車ホームで手渡してくれた。
 目の前のカウンターにメンバーズカードをどばどば落としながら、それに気づかないなんて。時差ボケって、本当にスゴイ。(感心してる場合じゃない)
 新宿まで夫に迎えに来てもらって、そのまま地元の回転寿司へ。帰国早々寿司とは、やっぱりうちら日本人だねと再確認。
 帰るなり、また行きたいなあと溜息をつきつつ、時差ボケと戦う毎日であった。


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