5日目 ヴェルサイユ宮殿1日観光〜庭園編
 宮殿の南側から外に出る。最初に入ってきた「ルイ14世の騎馬像」がある側とは、建物を突き抜けた反対側にあたる。
 「鏡の間」からも見えた庭園の泉は「水の前庭」と呼ばれている。
 ここから先はまた有料となるため、再度チケットを提示して中に入る。
 宮殿の南側にあたる庭園。わたしが立っている位置は目の間の庭園より高くなっており、「オランジュリー」と呼ばれる2重窓の温室である。
 冬はこの中でポルトガル産やイタリア産のオレンジ、レモン、200年以上の樹齢を持つザクロ、ヤシなど1080本の樹木が箱植えで保存される。5月半ばになると庭園の管理人が外に運び出す。かつては王が庭園を歩くときなどに並べたという。
 その先にある大きな池は「スイス人の池」。沼地の干拓作業と泉水の掘削作業を手伝うために呼び寄せられたスイス人傭兵隊が献身的に働いたことからこの名がついた。
 南花壇と呼ばれる、アラベスク模様の植え込み。「王妃の居殿」の窓の下にある。
 手前側の丸い泉は「ラトナの泉水」。地変線近くまで延びているのが全長1650mの「大運河」、その手前に「アポロンの泉水」(後で出てきます)が小さく見える。
 庭園から平野へと続く直線はお見事! の一言。
 すぐそこまで歩いて行けそうな気になる近さ感と、逆に遥か遠くのような遠さ感が見事な景観を作りだしている。
 「水の前庭」。泉の向こうに見える建物の2階が、「鏡の間」である。
 神話や寓話からとられた人物や動物の石像、代理石像、鉛の彫像、ブロンズ像が庭園のあちこちに置かれている。
 設計家ル・ノートルは、こうした彫像が庭園の雰囲気を盛り上げ、かつ庭園の軸線を妨げることのないよう配慮したため、横たわった形の像が「水の前庭」の周りを飾っているのである。
 これらのブロンズ像の傑作は、王国の象徴であるフランスの河川を表現している。
 さて、この広大な庭園をすべて見てまわるには自分の足で歩かなくちゃいけないかというと、そうではないのでご安心を。ちゃんと馬車やゴルフカートのような乗り物が用意されている(もちろん有料)。
 わたしたちは20名前後の団体だったが、馬車があらかじめ用意されており、行き先々で待っていてくれたので非常に便利だった。
 最初の乗車はこの土剥き出しの坂を上から下まで降りただけの距離で、「えっ、もう降りるの?」という感想だったが、行く先々で何度も乗ることになる。
 これから緑の茂みの中に入るところ。青い傘を掲げているのが、わたしたちのガイドさん。
 こうした中の様子がよくわからない茂み(ブシュケと言う)が庭園のそこかしこにいくつもあり、その奥には様々な仕掛けが施されている。
 最初に入ったブシュケは「アポロンの水浴の樹木庭園」。
 緑の回廊を抜けると開けた場所に至り、こうした美しい泉に出会う。秘密のうちにここへ招かれた当時の貴族たちは、さぞあっと驚いたことだろう。
 1775年、ルイ16世が庭園の再植林を命じた際に、元からあった樹木庭園をユベール・ロベールが設計し直した。
 岩山や滝などの自然を生かす18世紀の嗜好を取り入れたものだが、岩山は人工的に作ったものだそうだ。
 中央奥の群像は「ニンフから身繕いを受けるアポロン」、その左右は「トリトンにブラシを掛けられる太陽の馬」である。これらの像はもともとルイ14世が発注して「テティスの洞窟」に飾られてあったのだという。
 これらは散歩道に設けられた「四季の泉水」のうちの一つ、「ケレス(夏)」の泉水。
 この日は水が出ておらず、ちょっとガッカリ。ガイドブックには盛大に水を吹き出すケレスが映っているのに・・・。
 17世紀以降、樹木庭園への立ち入りに関して多くの規則が設けられ、万人の立ち入りが許されたこともあれば、厳しく制限されたこともある。現在でも、ガイド付きの見学でないと入れない庭園もあるそうだ。
 ちなみに「ベルサイユのばら」や、「マリー・アントワネットの首飾り」という映画でも描かれていた「ビーナスの茂み」というのは、一体どこだろう。
 ジャンヌ・ヴァロア・ド・ラ・モットがローアン大司教を騙すためニセの王妃と密会させたブシュケなのだが、こうした散歩道からどこかに入った場所にあると思われる。次回来たときには、ぜひ・・・。
 「四季の泉水」群をひととおり見てまわり、再び馬車に乗って宮殿側に戻っていく。
 次は「舞踏会の間」へ。「ロカイユの樹木庭園」とも呼ばれ、ルイ14世時代の様相をとどめる「円系列柱廊」を見ることができる。
 これらが完成したのは1680年から1690年。他の樹木庭園と同様に、ここでも宮廷人を招いて夜食や間食、バレエや幕間の音楽劇が行われた。
 土・日には円柱の間にある水鉢から水が吹き上がるのだそうだ。庭園中の水を吹き出していない数々の噴水も平日は水をケチり、土曜・日曜のみ活動しているのだろう。次はぜひ、土曜日に来なくては。
 中央にある彫刻は「プルトンによるプロセルピナの誘拐」だ。フランス語読みなのでピンと来ないが、要するにギリシャ神話のハデス、デメテル、ペルセポネをモチーフにしているのだ。詳しくは「南イタリア&ギリシャ旅行記」内の「ギリシャってどんな国?」のデメテルの項をご覧下さい。
 これは溺れた馬? それとも川を渡るベンハーか?(←意味不明)
 これでは遠くてなんだかよくわからないので、クリックするとアップ画像が見られるようにしました。これが庭園中もっとも壮大な「アポロンの泉水」です。
 ルイ14世が太陽神アポロンと同一視されていることから、水面から出現するアポロンが日の出を現し、前途有望な治世の夜明けを象徴している。まあ、ルイ16世の時代にフランス大革命が勃発してブルボン王家は滅びてしまうわけなので、その願いは虚しかったわけなのだが。
 かつてはこれらの泉水群の彫像は、金箔が貼られていたそうだ。一度修復の際に金箔を貼り直したのだが、すぐに剥がれてしまってこんな銅色になってしまったのだとか。宮殿の維持にいかにお金がかかるかというのがよくわかる。
 そして、先ほども紹介した「アポロンの泉水」のはるか向こうに延びる「大運河」は、長さ1650mとなっている。
 これがわたしたちが乗った馬車。4人乗りなので、他の人たちと相乗りだった。
 実はこの日は小雨混じりの天気で、座席の膝掛けや御者のコート姿からもわかるように、とっても寒かったのである。うだるように暑い8月の東京から来たわたしたちはこんな天候をまったく予測しておらず、用意してきた服は真夏モード。息子と二人で膝掛けを全身にすっぽり掛けて、寒さをしのいだ。
 さて、庭園の見学はこれでおしまい。馬車でレストランに乗りつけて、皆で昼食をいただく。食事の後は、グラン・トリアノンとプチ・トリアノンの見学となる。
 このレストラン、たぶん宮殿の敷地内のどこかにあるとは思うのだが、購入したガイドブックの地図にも載っておらず(そりゃそうだろう)、次に再訪したときに探せる自信はあんまりない。
 すぐ前にボート乗り場のある池があり、はるか遠くにヴェルサイユ宮殿が見える。この位置関係から推測すると、「大運河」のどこかなんだろうけど(大ざっぱ;)。実はこの「大運河」、宮殿からだと地平線に向かって一直線に伸びて見えるが、実は十時の形をしている。
 今日の食事はシンプルだ。前菜はなし。鮭の料理が一品、あとはデザートとコーヒーのみ。
 ちょっと物足りなかったが、とっても美味しかったのでおおむね満足。だけど、つけ合わせの野菜が酸っぱいような妙な薄味で、ツアーの人たちにも不評だった。このあたりは日本人の舌とは少々違うようで。
 洋なしのカスタード味ケーキ。モンサンミッシェルでも同様のケーキが出てきたが、さすがフランス。とても美味しかった。
 実は、食事とは関係ないことでちょっと気になったことがあった。フランスのレストランは禁煙ではないところが多く、ここも例外ではなかった。そのため、同じマイバス・ツアーの男性が食事の合間に頻繁にタバコを吸い、とても辟易した。
 イタリアではレストランも含めて公共の場は一切禁煙だったので、フランスの対策の遅れはちょっと気になった。これについては別ページに書く予定であるが、タバコを吸うフランス人があまりに多いので、かなり驚いた。



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