| ■次なる災難 |
さて、挫いた足も痛いし体も疲れきっていたので、わたしたちはバスに乗ってホテルに戻っていた。
部屋の冷蔵庫を開けて小休止・・・と思ったが、水のペットボトルもオレンジジュースの瓶も小さくて割高。これじゃあもったいない、水やジュースをぐびぐび飲みたいねってことで、3人揃ってオペラ通りにあるスーパー「モノ・プリ(Mono
Prix)」に繰り出すことになった。 |
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ホテルから数ブロック離れたところにある「モノ・プリ」は、入り口の所が化粧品コーナー、その奥が衣類コーナー、さらに奥と地下が食料品となっている。日本のSEIYUみたいな位置づけのスーパーと言ってよいだろう、料金はわりと安い。
青果コーナーの盛りつけ方がマルシェみたい。チーズもワインも品揃え豊富で、なかなか楽しい。 |
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ジャム、蜂蜜もたくさん。重くなってしまうから買えなかったけど、マーマレードなんて死ぬほど美味しそうだった。
わたしはミネラルウォーター「ビッテル」のミニボトル、コントレックス1.5リットルを6本ずつカゴに入れてレジに向かった。 |
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これはシャルトルのモノ・プリで買い物したときの画像。
モノ・プリのレジはとてもユニークだ。客は自分でカゴから商品を出し、レジ横のベルトコンベアに置く。そして、次の人と区別するための仕切りを置く。
レジ係は椅子に腰掛けたままレジ打ちをし、傾斜のついたサッカー台に商品をひょいひょいと落としていく。で、最後にレジ袋をぽんと乗せ、お金を受け取ってお仕事終了。 |
客はその場で素早く袋詰めをする。
なんて合理的なんだろう。その無駄のなさに目を見張らされる。日本のレジもこうだったらパートの人も楽だろうな。
なんて、感心している場合ではない。捻挫に続いて降りかかった災難は、この直後に起こったのだ。
クレジットカードで支払いを済ませたわたしは財布をショルダーバッグにしまい、商品を詰めた袋を持って数メートル移動。
喉が渇いて死にそうだったので、その場で買ったばかりのコントレックスを開け、ぐびぐびと飲み始めた。娘も同様、ビッテルを飲んだ。
で、その後、パン屋さんのコーナーに出来合いのサラダを発見、買っていって部屋で食べようということになった。数点手に持ってレジに並ぶ。このレジがまた、もったもたしている。
早く早くと焦れながらショルダーバッグに手を入れ、財布を出してお金の準備・・・と思ったら、アラ、財布がない。
あら? あら? あら? 慌ててバッグの隅々まで探すが、ない。
財布がない。
もしかして、あなた持ってる? と娘に問いかけたが、首を横に振る。
そりゃそうだ、さっきのレジで支払いし、カードとレシートを財布に入れ、それをバッグにしまったのだから。
落としたのか? いやまさか、それはない。となると、考えられるのはスリしかない。
頭が一瞬、真っ白になった。
信じられない。わたしが犯罪に遭うなんて。未だかつて、痴漢以外の犯罪に遭遇したことのないわたしはかなりうろたえてしまった。
どうしたらよいのかわからず、思わず店内をウロウロ。こういうときどこに行ったらいいのか?
サービスカウンターだろうか。すると、衣類コーナーに立つ背広姿の店員が目に入った。
ワラにもすがる思いで「My wallet was stolen.」と言ってみる。
そのムッシュウ、「Wallet?」と、財布の単語自体理解できないようだった。それとも発音が×だったのか。だけど、「I
don't understand, sorry.」とだけ言ってクルリと背を向けられて、さすがにムッとした。客が困っているのに、理解しようとする努力もしないのか。
仕方がない。わたしたちは重い水の入った袋を持ち、そのまま力なくモノ・プリを後にした。
部屋に戻っても、ショックのあまり何も喉を通らない。
義母のスーツケースの故障、捻挫に続いてこのトラブルだ。思えば、昨日からトラブルの種はあった。今度のフランス旅行、序盤はかなり散々である。 |
| ■損保ジャパンに電話してみる |
わたしは海外旅行保険に加入していたことを思い出し、損保ジャパンに電話することにした。ちゃんと海外の連絡先の電話番号一覧と保険証書を持ってきててよかった。
通話料金は無料とのことで、レンタルしていた携帯電話からフランス・オフィスにかけてみる。
しばしのコールの後、男性が出た。
わたしが事情を話すと、相手は「まず最寄りの警察署に行き、ポリス・レポートを発行してもらってください」と言う。
が、わたしは捻挫していて、そんなに歩けない。行けなかったらどうなるのかと問うと、「同行の方が第三者証明を書いていただけば、通る場合もあります」とのこと。
「では、通らないこともある?」と聞くと、「まあ、状況によって判断されます」と言う。
次に「ホテルから近い警察署がどこか調べてほしい」と頼むと、「現在フランス・オフィスが閉まっているので、シドニーのオフィスに転送されている。そのためお調べできません」のいう答えだった。
わたしは明日になったらレセプションで聞いてみようと思い、電話を切った。
左足の2倍くらい腫れあがった右足首を眺めながら、警察署に行くか、義母に第三者証明を書いてもらうかで思い悩む。
もしも義母の一筆だけで保険が降りるなら、これほど楽なことはない。だが、万一降りなかったら?
実は、盗まれた財布はルイ・ヴィトン。海外旅行保険では携行品の盗難もカバーされており、クレジットカード、現金の盗難は保障されないが、携行品として財布の損失分を申請すれば保険が下りるはずだった。
それには、警察の証明書と購入したことを証明するレシートか領収書が必要になる。
すべてのレシート類は一枚も捨てずに取っておいてあるので、帰って探せば見つかるはず。
あとは盗難にあったということを証明する書類だけなのだが、これがもし第三者証明で事足りるのなら、わざわざ痛いのをこらえて行くこともない。 |
だが、万一これで保険が通らなかったら、警察に行かなかったことを絶対後悔するに違いない。やっぱり行くことにしようかしら。
うーむ、悩む。
とりあえず湿布薬を貼り、患部を冷やす。
この湿布薬、義母が整形外科で出してもらったものを持ってきていたもの。たくさん歩くと足や腰が痛むからだという。
義母の用意のよさに感謝しつつ、この夜は就寝した。 |
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いきなりだが、ここで後日談。日本に帰ってから医者に行きレントゲンを撮ったら、骨にヒビが入っていることが判明した。こりゃあ腫れるはずだわ、と改めて感心。
写真だと大した腫れじゃなさそうだが、とんでもない。もう足首のクビレなんてなくなるほど腫れ上がっていたのだ。
ホント、象の足みたいだったんだから。(と掲示板に書いたら、口の悪い某友人に「象に失礼だ」と言われてしまった) |
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ところで書き忘れていたが、盗まれた財布には80ユーロほどと、VISA付きのセゾンカード、カルネ(地下鉄・バスの券)が入っていた。
80ユーロは日本円にして約13,000円くらいだ。
現金は、まあ、いい。もったいなかったが、気になるのはカードの方だ。
わたしはホテルに戻ると、ただちに日本にいる夫に電話を入れた。
日本はこのとき夜中の2時くらい。夫は寝ぼけた声で「どうひたのー」と応じたが、構ってはいられない。わたしはクレディ・セゾンに電話してカードを無効にしてくれるよう、夫に依頼した。
幸いなことに、わたしは用心のため財布を二つに分けていた。普段は盗まれた方の財布から現金を使っていたため、残された財布の方には数百ユーロという大金が入っていたし、パスポートと免許証類も入れてあった。
そちらの方を盗まれなくて、本当によかったと思う。残った財布は首から掛けるタイプのものだったが、うっかりしてショルダーバッグに入れたままにしておいた。万が一、財布と一緒に盗まれていたらと思うとゾッとする。
場所がスーパーということ、あとは疲れや足の痛みから気が緩んでいたが、どんな場所でも安全な所などない。心して行動せねば、旅行すべてがパーになるばかりか命も危うくなる。
すっかりパリに慣れたつもりで油断し、こういう事態に陥ったが、いい教訓になった。
もう二度とヴィトンの財布は海外に持って行きませ〜ん。 |