2日目 パリ観光Part2
■ギャラリー・ラファイエットのアーケード
 さて、前の方でトラブルとか災難とかいろいろ書いたが、わたしたちのデパートめぐりの発端となったトラブルの一つをまず挙げておきたい。
 前の夜、義母のスーツケースの鍵が壊れた。
 鍵というか、スーツケースの左右が噛み合う金具の部分だ。それが片方は外れるのに、もう片方の金具が受け口の方に妙な食いこみ方をしてしまって、がっちりハマって外れないのだ。
 壊れてもいいからという義母の要請で、わたしは持参していたハサミの先端を鍵の部分に差し入れたり、ケースの隙間を無理矢理こじ開けたりと悪戦苦闘。5分くらい格闘した挙げ句、ようやくこじ開けることができた。
 で、試しにまた蓋をして、やっぱり外れなくなってハサミでドンドンガシガシを2度3度繰り返し、「このまま騙し騙し使うしかないですね」という結論に達してその夜は就寝した。
 ところが次の日の朝、つまり今朝のことであるが、今度は鍵がはまらなくなったという。これは旅行を続けるのが困難なくらいの、ゆゆしき事態だ。
 そこで、オペラ座を出たわたしたちは、新しいスーツケースを買い求めるためデパートに立ち寄った。
 まずはギャラリー・ラファイエットという百貨店からだ。オペラ座の北側、ラファイエット通りとショッセ・ダンタン通りの角にある創業1893年という老舗デパートで、本館、紳士館、メゾン館と分かれている。
 おととし初めてパリに来たとき、歴史的建造物だというドーム天井を見たかったのだが、見られなかった。
 今年ようやく見られたということで、いたく感動してしまった。とにかくすごいドーム。ミラノのヴィットーリオ・エマヌエーレ2世アーケードやナポリのウンベルト1世アーケードに匹敵する歴史遺産ではないだろうか。
 これがデパートの天井なんて、信じられる?
 だが、ここは本館なので、肝心のスーツケースは売っていなかった。そこで再び通りに出て、隣のデパートに移る。
 隣は「プランタン」という別のデパートだった。こちらはさらに古い1865年創立という老舗中の老舗デパートで、ファサードはオスマン様式。歴史的建造物に指定された建築物だという。
 中にはパリ高島屋も入っている。プランタンというと、有楽町でOLやってたときの御用達だった「プランタン銀座」が思い起こされる。銀座店は本場「プランタン」の提携店なのだそうだ。
 さて、「プランタン」の本館に入ったため、店内案内板を見てもやはりスーツケースはないようだった。インフォメーションカウンターがあったので、ありえないほど顔の細いお兄さんに「スーツケースはどこで買えますか?」と英語で尋ねてみる。
 すると「隣のl'Homme館にあります」と教えてくれた。
 再び外に出、l'Homme館、つまりホーム館に入り直してエレベータで最上階に上がる。
 するとワンフロア全体がスーツケース売り場になっており、わたしたちはそこで一つのソフトタイプのスーツケースを選んだ。
 実のところ、これからの観光の邪魔になるし、かといって一端ホテルに戻っていては時間がかかるので、本当なら買いたくなかった。
 わたしは「あとで車で買いに来ましょうか」とお茶を濁し、一度はプランタンを後にしていた。だが、義母が「やっぱりアレ買うわ」と言うので、引き返して購入したのだった。
 ソフトタイプながらもダイヤルロックが付いており、キャスターとハンドルも付いた大きなキャスターバッグみたいなスーツケースだ。値段は約200ユーロと少し高くついたが、ハードタイプのものを購入するよりは安い。それに、なにより軽いのが一番のメリットだ。
 翌日の夜になって、175ユーロを超えた買い物については手続きをすれば税金分が戻ると気づいたが、後の祭り。免税手続きはその日のうちにしなければならないそうだ。
 お母さん、ごめんなさい。
 外に出た。すると、手回しのオルガンを奏でるおじさんが猫と鳩を伴っているのに視線が釘付けとなった。
 猫は、木のベッドにベビーカーのフードを取りつけ、柔らかな布団を敷いたその中ですやすやと眠っている。これがまた非常に可愛い猫だ。もしかして、ロシアン・ブルーとかいう高級な猫じゃないだろうか。あまりに可愛いので思わずなでなで。そのお礼に、地面に置かれたお皿に50セントを入れてきた。
凱旋門に登る
 さて、わたしたちは購入したスーツケースを携えてタクシーに乗り、凱旋門に向かった。
 この時の英語にはちょっと苦慮した。凱旋門を英語でなんというか? とっさに出てこなかったので、運転手さんに地図を見せて「シャルル・ド・ゴール・エトワール、スィルヴ・プレ」と言ったが、さっぱり通じなかった。うーん、発音が悪いのかしら。
 で、とにかく到着した凱旋門をバックに記念撮影。娘は屋上に登りたいと言うので、行ってみることにした。だが、凱旋門は「シャルル・ド・ゴール・エトワール」というロータリーの真ん中に位置しているため、地上からそのまま歩いていくことはできない。
※凱旋門についての
 地下道を通り、階段を登って凱旋門の真下に出る。スーツケースのような邪魔物を持っているときに限って、こういう厄介な場所に来てしまうものなのだろうか。
 義母は「わたしはここで待ってるわ」と、さすがに遠慮して言う。スーツケースを預かってくれるようなクロークルームがあるとも思えず、わたしと娘の二人で登ってくることになった。
 登るには100十数段ある階段かエレベータを利用する。しかし、エレベータはお年寄りか身障者のみ利用が可能だそうで 義母は見た目も若くて歩けるので、おそらく許可されないだろう。
 娘とわたしはパリ・ミュージアム・パスを提示してゲートを通過、屋上へ登る階段を上がり始めた。
 ちなみに子どもは無料だ。
 この階段、とても狭くてグルグルグルグルまわっていて、まるでカタツムリの殻を覗き見ているみたいに螺旋している。
 そこをゼーハー言いながら登る。
 途中で立ち止まりたかったが後ろからどんどん人が登ってくるので、否応なしに登らされてしまった。
 ようやく螺旋階段が終わると、そこはミニ博物館になっていた。凱旋門の昔の写真などが展示されている。
 さらに小さな階段を登り切って、屋上に出た。
 おおお〜、なかなかの絶景。曇っているのが残念だが、それでもエッフェル塔まできれいに見渡せる。
 去年は長時間並んでエッフェル塔に登ったが、こちらの方が低くてパリの街をより身近に感じられて素晴らしい。
 第一、エッフェル塔は行列に並ぶ時間が長すぎる。おまけにパリ・ミュージアム・パスは使えず、子ども料金もしっかり取られる。 
 もしパリに行かれる方でエッフェル塔か凱旋門、どちらに登るか迷っていたら、わたしは迷うことなく凱旋門をお薦めする。
 さて、この凱旋門が建つエトワール広場からは、シャンゼリゼ大通りを始めとする通りが12本、放射線状に延びている。凱旋門の周りは車がくるくると回り、別の通りに乗り換えるためのロータリーだ。
 去年から「登りたかった」と言っていた凱旋門に登れて嬉しそうな娘。なにしろ子どもは高いところがとっても好きだ。
 さて、眺めを十分に堪能したので、お祖母ちゃんも待っていることだし降りることにする。
 登るのも大変だが、降りるのも果てしなくて大変だ。下を覗きこむと延々と階段が渦を巻いていて、ひえええ〜と悲鳴が出てしまう。
 なんか、サザエの壺焼きの中身みたい。
アクシデント第2弾
 疲れたしお腹も空いたので、シャンゼリゼ大通りに立ち並ぶカフェの一つに入った。
 コーヒー、カプチーノ、コーラ、ピザを頼み、のんびりと味わいながら街頭を行き交う人々を眺める。
 それにしても今日は木曜日だというのに凄まじい混み具合だ。シャンゼリゼ大通りが、なんだか年末のアメ横に見えてきた。
 あとで知ったのだが、この日はキリスト昇天祭の祝日であった。
 シャンゼリゼ大通りの映画館。「スパイダーマン3」は当然として、「Mr.ビーン」を上映していたのは意外だった。日本ではすっかり下火になってしまったが、こちらでは未だ人気のようだ。
 さて、わたしはメトロの窓口でようやく購入できたカルネを使い、バスで次なる目的地、オランジェリー美術館に向かうことにした。
 バス停はこちらとは反対側にある。わたしたちは向こう側に渡るため、信号が青になった横断歩道を渡り始めた。
 次なるトラブルはこのとき起こった。
 渡っている最中に信号が赤になったので小走りに駆け出したところ、右足がクキッとなって捻挫し、その勢いで思いきり転倒してしまったのだ。
 体重を支えきれなくなった左足から地面に倒れこみ、膝小僧をすりむく。
 右手に持っていた地図やらなんやらの書類が道路上にバラまかれ、バッグも放り出されてしまったのを、義母や娘が拾い上げる。
 なにしろシャンゼリゼ大通りのど真ん中だ。車は青で発進体勢にあり、いつ轢き殺されるかもわからない。
 娘に助け起こされヨロヨロと立ち上がったわたしに、フランス人(たぶんだが)の男性が「Are you all right?」と言って手を貸してくれた。全然「I'm all right」な状況じゃなかったが、わたしは笑顔を作って「Yes」と答えて道路を渡りきった。
 やっちゃった、やっちゃった。
 子どもの頃から足が弱くてしょっちゅう捻挫やら靱帯断裂やらやってきたのだが、忘れた頃にまた捻挫してしまったらしい。
 痛みをこらえながらバス停に辿り着く。だが、いくら待ってもバスは来ない。待てど暮らせど来ない。どうやら祝日のため運行が大幅に削られているようだ。
 仕方がないので、タクシーでオランジェリー美術館に向かうことにした。
 擦りむいた膝からは、血がダラダラと流れだしていた。


 - 戻る - 次へ - フランス旅行記Topに戻る - 海外旅行記Topに戻る -


[平成11年Top] [平成12年Top] [平成13年Top] [平成14年Top] [平成15年Top] [平成16年Top] [平成17年Top]
[平成18年Top][県別キャンプ地一覧][県別温泉一覧] [トレーラーってなに?] [子どもと一日遊べる場所][掲示板][HOME]

Copyright(C) 2002〜 Clara 画像、記述内容などすべての転用を禁じます。