1日目 ホルマンディ・ホテルに到着
 車はオペラ地区に辿り着いた。オペラ大通りの突きあたりに、かのオペラ座が見える。
 わたしは嬉々として、「ホラお母さん、オペラ座ですよ。この前、あの市川団十郎親子が公演をした・・・」と言った。義母も「へええ〜」なんて感心している。
 さっき「パリがこんなに汚いとは」と言われてヘコんでいただけに、失地挽回だ。
 そして、ルーブル地区へ。
 ホテル前の広場から憧れの「ホテル・ドゥ・ルーブル」を見たところ。
 こちらは、わたしたちが泊まる「ノルマンディ・ホテル」。建物は見た目よく似ており同じ四つ星だが、あちらはシングル一泊37,800円、ツイン・ダブル39,000円と、ちょっと高級。
 一方、「ノルマンディ・ホテル」は29,900円、ツイン・ダブル33,200円なり。
 いずれにしてもルーブル美術館には近いし、オペラ通りのモノ・プリ(スーパー)にはこっちの方が便利だ。
 玄関の真正面には車がたくさん駐車していたが、かろうじて一台分空いていたので横付けし、荷物を運び出した。
 縦に長いエントランスに入る。ここは非常に美しい空間だ。左がレセプションで、右がコンシェルジュ。予約スリップを示してチェックインを告げる。 
 手続きが済むと、部屋番号を書いた紙を向かいのコンシェルジュに見せるよう言われる。わたしはそれをポーターさんに見せて荷物を頼み、エレベータに乗って日本式3階、フランス式2階の部屋に上がった。
 エレベータのドアは手動式だった。
 「ノルマンディ・ホテル」は1877年にオープンした伝統的なホテルだそうで、エレベータもかなりの年代モノらしい。
 2階(日本式では3階だ)の廊下。途中に階段があるので、女手だけで重いスーツケースを運ぶのは困難そうだ。このあたりになると4つ星ホテルとは思えない古びた雰囲気で、昨年泊まった3つ星の「ホテル・サンノトーレ」と大して変わりがない。
 部屋を確認すると、わたしはすぐさま車を駐車場に入れにホテルを後にした。レセプションで指示された通りに車を進めると、やがて「PIRAMIDE」と書かれた駐車場の案内が見えた。
 ピラミッドという地下鉄駅近くの地下駐車場だ。地下に降りるスロープがあったのでそこから進入し、さらに地下2階へと降りて駐基スペースに車を停めた。
 人っ子一人姿の見えない、薄暗い駐車場だ。とても怖い。こんなところでホールドアップされたり、襲われたりしたらどうしよう。
 わたしはとっとと手荷物をとって車を閉め、急いで駐車場をあとにした。だが、エレベータが壊れていて上に上がれない。階段のドアは途中で鍵が閉まっている。
 仕方がないから車で降りてきたスロープを通って脱出成功。ああ〜怖かった。今度車を取りに戻るときは家族全員で来よう。 
 駐車場は、ホテルから歩いて5〜6分。裏手のブロックに位置していて思ったよりは遠くないが、不慣れな人にとってはわかりにくいだろう。
 そもそもホテルの周囲にギッシリと停まっている車は何なんだろう。あれが宿泊客のものなら、わざわざ停めに行くこともないんじゃなかろうか。第一、パリ滞在中、駐車違反の取り締まりなんて一回も見なかったし。
 ようやく部屋に辿り着き、やれやれと溜息が漏れる。
 インターネットでは改修済みで綺麗だったという情報があり、画像で見る限りでは壁紙の模様のかわいらしい部屋もあったが、わたしたちの部屋はさっぱりとして地味。ただし非常に広くてスーツケースは楽々広げられた。
 3人部屋なのでエキストラベッドを注文してあったが、この長椅子のようなのがベッドらしかった。ベッドルームにライティング・デスクが一台、こちらに一台、さらに鏡台が一台と3泊過ごすには十分な設備。
 そしてバスタブ付きシャワールームと、願ったとおりの部屋なので非常に満足だった。
 テレビを観ていたら天気予報が始まったので身を乗り出して見入る。不思議なことに天気予報のお兄さんは軍服姿。それともパイロットの制服だろうか。どちらにしても日本では見かけないコスチュームの気象予報士さんで、とても印象に残った。
 しかしフランス語のニュースではさっぱり理解できないので、チャンネルを回してCNNを発見、以後はずっとCNNをつけっぱなしにして見ていた。(でも、やっぱりよくわからなかった)
 実は順調にさえいっていれば、荷物を置いてすぐルーブル美術館に行く予定だった。
 通常6時閉館のルーブル美術館も、水曜日の夜は9時30分までオープンしている。到着日をその日に持ってきたのも、夜のルーブルを訪れたかったからだった。だが、GPSや渋滞のせいで到着が遅くなってしまい、ルーブル行きは明日に持ち越された。

 このホテル、1階部分だけはとても装飾が素敵だ。ここは1階奥のラウンジ。
 下は朝ご飯のビュッフェをとったレストラン。天井の装飾が素晴らしい。
 朝食はなかなか充実している。候補のホテルの中にはコールド・ビュッフェ(調理された暖かいメニューのないビュッフェ)のところもあり、ここを選んだのはホット・ビュッフェだったからだ。
 朝食にはなにはなくともサクサクのクロワッサンと暖かいスクランブルエッグ、そしてカリカリのベーコンがなくては。
 朝ご飯を終え、部屋を片付けてから、いよいよルーブル美術館へ繰り出すババ、嫁、孫3人のわたしたち。
 昨夜のトラブル続きは、実は今日のこの日に襲いかかる災難の前触れだったのだろうか。


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