ストップ・ザ・塩素!〜循環温泉と掛け流し温泉の見分け方
 
Stop the 循環! Stop the 塩素!

-- 循環温泉を見抜く方法 --


画像はシバクさん作「埼玉県の温泉情報室」より

入浴剤より問題にして欲しいこと


以前、掲示板に熱っぽく書いたことがあったのですが、今の日本の温泉の問題点は、ホテル、旅館、日帰り温泉施設などのお湯づかいが、循環なのか掛け流しなのか、外からではまったくわからないことです。直接聞いてみるのが一番手っ取り早いですが、気が引けて聞けないのが実情です。
塩素臭ぷんぷんの温泉に、なにも気づかず「いい湯だねー、温泉の匂いがするねー」と入っている人を見たことがあります。温泉に入り慣れない人は、「温泉」という看板をそのまま信用し、循環と言う言葉も知らず浸かっているのでしょう。かつてのわたしもそうでした。
今、ちまたでは白骨温泉の入浴剤問題が話題になっていますが、それ以上に罪深いのがこの循環問題です。「天然温泉」を謳いながら、実際はタンクローリーで運んだお湯を何日も循環し使い続ける。濾過装置を通し、塩素を投下し、水で薄めたりして、もはや温泉ではないものになっている。なのに現行法では、そんなお湯でも「天然温泉」です。それでお金を取っても詐欺ではないのです。

温泉の証明書

下の画像を見てください。これは「社団法人日本温泉協会」が発行している「天然温泉使用証」です。任意加盟している温泉施設の脱衣所に掲げられているものです。これには加水の有無や循環か放流式かどうかなど、入浴する側が知りたい情報が書かれています。
こうしたプレートがもっとあちこちで見られてもいいはずです。でも、わたしがこれまで見てきたところ、この協会に加盟し、プレートを掲示している施設は3割にも満たないような印象を受けます。
別にこの協会のものでなくてもいいから、お湯の使用方法、つまり加熱・加水・循環の有無ははっきりと明示すべきだと思います。それも玄関前などに。そうすれば循環の温泉にうっかり入らなくても済みます。

レジオネラ感染症の恐怖

白骨温泉が入浴剤を入れていた問題で、くだんの村長や宿のご主人などは低頭平身で謝罪していました。入浴剤でこれほど問題になって、循環の温泉が問題にされないのは不思議な話です。入浴剤で白濁していた湯に気づかず入っていた客はショックだろうけど、それで健康上の問題は生じません。でも、循環の温泉でレジオネラ肺炎にかかって亡くなるお年寄りは、年間数人おられます。
 参考ページ レジオネラ感染症について「獨協大学サイト」

死者が出るほどのレジオネラ感染症は、掛け流しの温泉ではまず発生しないものです。では循環の温泉で塩素をどんどん入れれば大丈夫かと言えば、やはりそうでもありません。NHK「クローズアップ現代」のページに簡単な要約が載っていますのでご覧下さい。「2月6日(木)放送「細菌から温泉を守れ〜広がるレジオネラ感染〜」
温泉に対してこだわりを持っておらず、とりあえずお風呂に入れれば循環でもいいや、という人でも、こうした問題は気になるはずです。また怖い病原体だけでなく、循環湯には他人の汗や、下半身の汚れなども溶け込んでいます。いくら消毒してるからってそんなお湯に入りたいと思いますか?

食べ物には厳しいのに・・・

現在、販売される肉や野菜、加工品などの産地の明記が義務づけられてきました。一方で、温泉ブームと言われながら、どんなお湯の使い方をしようが公表しなくてもよいなんて、おかしな話ではありませんか。
しかも、温泉分析表は掲示さえしていればそれでよく、いったん保健所の許可さえとれれば、再分析の必要はありません。
たとえ地質の変化によって泉質がまったく変わってしまっても、あるいは枯渇して水道の水を湧かしたものを温泉だと言っていても、それを罰する法律はありません。年数とともに変化するのが温泉。泉質の分析を3〜5年ごとにするとか、上にある「温泉使用証」のようなプレートを玄関前に掲げることを施設側に義務づける。そんな、もっと客の側にたった法律ができないものでしょうか。
あらかじめ「温泉使用証」を見ることができれば、客の側に選択の余地は生まれます。どんなお湯使いをしているのか公表しないのは、産地を偽って牛肉を売るスーパーと同じです。

もっと問題にしようよ

実際問題としてこれが実現可能なものか、各省庁のパブリックコメントなどに意見を提出して粘り強く働きかけていこうと思っています。でもその前に、温泉を扱っているHPなどでもぜひ、入った温泉が循環だったか掛け流しだったか、こだわりをもって紹介して欲しいと思います。
入る側にも施設の質を選び、湯使いに目を光らす自衛が必要です。そしてそれを声にしていきましょう。発言しなければなにも変わらないのです。

ここではっきり示しておきたいのは、循環の施設は悪だから無くせ、と主張したいのではないということです。湧出量が少なく掛け流しが不可能である施設は、それにふさわしいやり方でやればよろしい。
日本に昔からある銭湯は(掛け流しの温泉銭湯は別にして)循環の沸かし水道水・井戸水なわけで、それはそれで入浴施設として必要な存在でした。これからも大切にしていきたい文化だと思います。
ここで言いたいのは、掛け流しか循環か、温泉の使用方法について玄関前やガイドブック、HPなどに明記してほしい、ということなんです。それによって「循環でもいいからお風呂に入りたい」という人や、「わたしは温泉のお湯を堪能したいので掛け流しに入りたい」という人に分かれる。選ぶ自由を与えて欲しい。ただそれだけなのです。
 
平成17年9月追記:
白骨温泉の入浴剤騒ぎや偽装温泉騒動などが発端となって、どこの温泉施設でも加水、加温、循環状況などが明記されるようになりました。
新しく発売されている日帰り温泉ガイドブックにも、これらの情報が書かれるようになりました。実に嬉しいことですね。こういった流れから、今までなんの考えもなく循環装置を付けていた施設も考えを改める方向に動いていってくれたらいいなと思います。
ただし、温泉資源の枯渇化を招きかねない無理な掛け流しは望みません。
また、たくさんの客を呼びたいがために無理していっぱい浴槽を造るような、バブリーな施設は今の時代には似合いません。湧出する湯量に見合っただけの浴槽を作る。これが一番大事なことだと思います。
 
 

循環の判断のポイント
◇プールのような塩素臭がする。 循環の場合、お湯を何度も濾過装置に通して再投入しているため、非常に不潔。だから大腸菌やレジオネラ菌の繁殖を抑えるために塩素消毒するわけである。
濾過のみして塩素投下はしていない循環や、紫外線殺菌をしているために塩素臭のしない循環もあるので、塩素臭がないからと言って即断はできない。
◇温泉らしい匂いがまったくない。例えば、成分分析表に「硫黄泉」と書いてあるのに、硫黄の匂いがまったくしないなど。 前述の通り何回も濾過・循環を繰り返し、その都度加水などしているため、温泉本来の成分を失ってしまう。本来茶色であるべきお湯が無色透明になってしまったり、硫黄泉なのに硫黄の匂いがしなくなるなど、特徴を失う。
アルカリ単純泉などは無味無臭である場合が多いので、これだけで判断はできない。
◇注ぎ口からお湯が出ているのに湯船からお湯が溢れていない。 循環装置にお湯を回すため吸水口を設け、そこからお湯を吸いだしている。浴槽の底で強く吸われる吸水口があったら、その温泉は循環か、半循環と判断できる。
洗い場が滑らないようにという配慮から、非循環・掛け流しでも、サイフォン式掛け捨てにしている浴槽もある。その場合は穴に手を当てても吸い込まれる感覚がなく、揺らぎを感じる。
◇湯船が非常に大きかったり、浴槽の数がやたらと多い。 浴槽が大きすぎると、掛け流しでは湯量をまかないきれない。数が多いのも同様。しかし、大きい浴槽でも湯量が豊富な温泉なら掛け流しはある。大きさだけでは判断できず湧出量も見なくてはいけないが、判断材料にはなる。
◇近年の温泉ブームに乗じて建てられた町営・村営の豪華日帰り温泉施設である。 最近の温泉ブームや町おこしなどで建てられたような、超・豪華な公営施設は循環である確率が非常に高い。建物が超・立派、玄関は自動ドア、ロビーは吹き抜けで壁は代理石調、お風呂も大理石張りで窓も全面ガラス張り、などという条件がすべてそろっていたら、疑ってかかるべきだ。むしろ民間経営のちょっとしょぼめの日帰り施設の方が温泉に関する認識が高く、掛け流しを誇りにしている場合が多い。
◇湧出口に「このお湯は飲めません」という掲示がある。 掛け流しでも、高アルカリである、鉄分・マンガンが多いなどの理由で保健所から飲泉の許可が下りない場合もある。多くの場合は循環のため飲用できないケースがほとんどである。

掛け流しの判断のポイント
◇温泉ならではの匂いや味、色が濃い。 硫黄泉なら硫黄の匂いがぷんぷんする。食塩泉なら舐めるとしょっぱい。あるいはお湯が緑色、茶褐色、真っ白など、温泉が本来持っている姿に近い場合は、掛け流しか、それに限りなく近い加熱循環と判断できる。
◇浴槽からお湯が溢れており、吸水口からお湯が吸い込まれていない。 お湯が大量に掛け捨てられていれば、ほとんどの場合、掛け流しだと思える。ただし、捨てられたお湯を洗い場の排水とともに回収し、循環させて再投入している施設があるとの噂を耳にしたことがあるので、絶対的な判断材料でもない。が、ほとんどの場合、吸水口から強力に吸い込んでいる感触がなく、お湯が掛け捨てられていれば掛け流しだと判断できる。
◇湯の花がある。 最初から湯の花がない泉質の場合はともかく、なにかしらの不純物が混入している温泉はほとんど掛け流しか、それに準ずる加熱循環と判断できる。
◇注ぎ口に飲泉用のコップが置いてある。 「このお湯は飲めます」などと書いてあったり、湧出口にコップが置いてある場合は、循環していない新湯が投入されている。
それでも浴槽の中で循環湯を混ぜていることもあるため、コップだけでは100パーセント掛け流しという証拠にはならない。
◇入湯料が300円以下などのように、非常に安い。 循環装置にコストがかかるため、循環温泉は高料金になりがち。非常に安い施設は、コストをかけていないため安価という判断に。
200円という低料金でも、村営・町営では循環だったりすることもある。潤っている自治体では、儲け抜きで安い施設がたまにある。
◇施設がぼろっちい。 循環装置は高価なため、そこまでする余裕がない。
◇循環装置などなかった時代に建てられた古い施設そのままである。 あとから設置するには場所を取るので、改修していなければ古いまま使っている可能性大。
上記のことから、ボロくてしょぼい施設のほうが安くて掛け流し湯にめぐり合える可能性が高いというわけです。観光地にありがちな村営・町営の新しい豪華施設は経験上、循環湯が多いです。

ホテル・旅館などは外観からは判断できず、高料金だが掛け流しという場合が多いので、入ってみないことにはわかりません。

看板などで「100%天然温泉」を謳っていてもタンクローリーで運んでいるというケースもあるので(当然ながら循環)、それで判断することはできないのです。
 
 
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