泊まるのは、「ホテルおおるり」という大型ホテル。塩原温泉にも同名のホテルがあり、同じ系列である。
15名以上の団体客には無料で「こまどり交通」のバスが迎えに来てくれる。しかも、こちらの指定場所に来てくれるからありがたい。
出発前、インターネットで事前のリサーチをしていくつかの個人サイトで読んだところによると、この送迎にはホテル側の深遠な作戦が秘められているのだそうだ。
まず、高速道路のサービスエリアには要望がない限り停まらない。(わたしたちの一行にはお年寄りが多いのでどうしてもトイレの要望があり、2度PAに寄ってもらった)
関越道を渋川伊香保ICで降りた後に停まるのは、「田吾作」というドライブインのみ。ここでわずかなトイレ休憩タイムが取られる。トイレから出ると、お茶がふるまわれ、売店のお姉さんによる温泉まんじゅうの試食サービスがある。
トイレの入り口には「ここのまんじゅうは温泉街では売っていない。ホテルとここだけ」という手書きの説明が貼られていた。ここはトイレ休憩だけで時間もあまりないし、今まんじゅうを買っても荷物になるだけだから、誰も購入せずバスに戻る。
驚くべきことに、このドライブインに泊まっているバスは、全部同じ「こまどり交通」のもの。だから、降りて一目散にトイレに突進したりすると、自分がどのバスに乗っていたのかわからななくなる。つまり、ホテルとバス会社、そしてドライブインは同じ系列なのだ。客はこの範囲の中でお金を落としていくように仕組まれている。
実は帰りの立ち寄り先も、ここ。帰る日のお昼ご飯はこの「田吾作」でとることとなる。これは旅行代金には含まれておらず、各自でそばやうどんなどを頼むのだ。 |
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午前11時40分、ホテルに到着。予定通りの時間だった。
バスの中からホテルのロビーを見て、わたしたちは驚きの声を挙げていた。もの凄くたくさんの団体客がロビーを埋め尽くし、バスを待っていたのだ。
運転手さんは「折り返し帰りの客を乗せるので、ゴミを持って降りてください」とアナウンスしていた。
某ブログと「田吾作」のバスの数から想像はしていたものの、その予想をはるかに上回る団体客の数だった。
驚愕しつつ、わたしたちは荷物とゴミを持ってバスを降りりた。 |
草津では前日から積雪があったが、さらにチラチラと小雪も舞っていた。寒いだろうと思いダウンのコートを着ていって正解。気温は0度に近く、本当に寒い。
団体客でごった返すロビーに入った。仲間とはぐれてしまわないよう、フロントに向かう委員長の後に着いて進む。
わたしたちの部屋は現在清掃中ということで、あと20分ほどで入れるらしい。委員長は大広間に荷物を置いて散策に出ていいと言う。
このロビーは建物の4階にあった。どうやら傾斜地に建っているらしい。そして、大広間は3階にある。わたしたちは広間に行き、いったん荷物を置いた。だが、わたしは荷物が心配で、その場を離れる気にならなかった。
鍵をもらえるまで待っていることにしよう。そう思ってフロントに行ったら、ちょうど鍵が出されたところだった。
相部屋の人たちとエレベータに登り、部屋に向かう。
このホテル、外観はわりと立派だが、内装の方がぼろっちい。壁やじゅうたんは汚いし、壁の電気スイッチなど壊れてパネルが剥き出しになっている所などもある。
ちょっと侘びしさが漂う。
が、綺麗でないのはまだいい。気になるのは、従業員の態度だ。
大広間前の廊下でたむろしていたわたしたちが、これからどうするのかを相談していたときのこと。背後から、台車を押した従業員の女性がやってきた。
わたしはすぐに気づいて「台車が通りますよ〜」と仲間に告げたが、しゃべっていた数人がそれに気づかなかった。
通れないことに苛立った台車のおばさん、思い切りムッとした口調で「ちょぉっと、済みません」とのたまった。
この「ちょぉっと」にウェイトを置いた言い方は、サービス業に携わる者として許し難いものだった。襟首つかまえて支配人に突きだしてやりたいほどである。
まったく、どういう教育をしているんだろう。フロントの女性もなんだか愛想ないし。団体専門のホテルなんて、しょせんこんなもんなのかな。安かろう悪かろうでは困るんだけど。
ちょっと物悲しくなってしまう。 |
さて、わたしたちは荷物を持って部屋に入った。
6畳ほどのこぢんまりとした簡素な部屋だ。テレビ、電話、金庫、冷蔵庫、浴衣、お茶といった定番ながら最低限の設備のほかは実にシンプルで、ティッシュや石鹸、タオルの備えもない。
ただ、テーブルの上にはあの田吾作のまんじゅうが置かれていた。
ふむふむ、ドライブインで試食させ、部屋でも食べさせ、ロビーで買わせようという魂胆だな。そうは問屋が卸さない・・・などと言うほどひねくれていないわたしは素直にまんじゅうを食べ、「けっこう美味しいじゃん」と素直に感心し、帰りに買っていくことに決めていた。
薄皮のまんじゅうとは違い、少しもっちりとした皮が乗っているのが気に入った理由だった。 |
同室になったのは幹事役の友人と小5の娘さん、そして少し年上の原さんという女性。わたしと娘を合わせて計5人である。原さんとは初対面だったが、とても気さくな方で、すぐに打ち解けた。
この後は皆で集まって「草津熱帯圏」へ行くことになっていた。だが、わたしはあそこが大の苦手。
「草津熱帯圏」は温泉熱を利用した高さ15mの大ドームの中で小動物や爬虫類などが飼育されている、小規模な動物園だ。温室の植物なども見ることができる。
わたしは平成12年にトレーラー・キャンプで草津を訪れてから、この熱帯圏には2、3回ほど遊びに来ている。(その時のページはこちら)
動物や昆虫、草木などは大好きだから良いのだが、問題は苦手なクモがいることだ。それも、飼育されているタランチュラと、飼われていない野生の巨大クモである。
タランチュラはケースに入れられているから見ないようにすることができるが、野生のクモは通路の壁や天井にうじゃうじゃとへばりついていて、嫌でも目に入ってくる。今こうして思い出しすだけで背筋が寒くなってくるほどだ。
そこへ行くというのだから、どーかご勘弁を。という心境だった。
家の中でちっこいクモが出ただけでも大騒ぎなのに、壁や天井に巨大クモがへばりついている所へ行くなんて。しかも昨夜は忘年会があり、今日は寝不足で2日酔い。そんな体調で巨大クモなんか見たら、卒倒するに決まっている。
わたしが「行かない・・・」と言うと、原さんがかわりに娘を連れて行ってくれることになった。(ああ、天使のようなオカタ)( -人-)
ロビーで皆と待ち合わせする時間になった。
わたしも見送りのため、一緒に玄関まで降りていった。温泉に入ってから一寝入りするつもりでバスタオルを持ち、スリッパ履きというスタイルである。
車などの足がないためどうやって行くのかと思っていたら、「草津熱帯圏」からの送迎バスがホテルの前に横付けされていた。これはお見事。とことん無料の送迎サービスを利用し、安く上げようというケチケチ精神、さすが我が商工会である。しかも、委員長がフロントでもらったらしい割引券を全員に配っていた。
送迎のワンボックスに乗りこんだ娘にバイバイと手を振って見送る。小5のヒトミちゃんとすっかり仲良しになった娘は心細そうな様子もなく、楽しそうに車中の人となり、遠ざかっていった。 |
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バスがホテルの反対側まで走り去るのを見送ってから、わたしは浴室へ向かった。
この「おおるり」には2階のヒノキ風呂、1階の大浴場の他、別館にも岩風呂がある。その三箇所をハシゴして(おいおい、結局元気じゃん)、部屋に戻る。そして、座布団を三つ並べ、押し入れから枕と布団を引っ張り出して軽くお昼寝をした。
そのうち、娘たちが戻ってきた。テレビを付けながら携帯ゲームを始めたので、わたしはイヤホンでipodを聴きながらさらに寝ようと悪あがきを試みるのだった。
←窓から見た草津の街並み。うっすらと雪化粧 |
もともと備品が少ないホテルだが、子供用の浴衣の備えもないのには少々呆れた。小5のヒトミちゃんと娘がフロントに浴衣をもらいに行ったら、ヒトミちゃんだけSサイズの浴衣を持ち帰ってきた。成人女性のSサイズというだけで、子ども用は用意されていなかったのだ。
とにかく大人の・・・というより、あくまでおじさん、おばさんの団体のためのホテルといった感じで、子どもはまったくの対象外のようである。
娘にSサイズでいいからもらっておいでと再度取りに行かせ、原さんがうまく折りたたみながら着つけてくれた。
地味な浴衣だけど、こうして見るとけっこう可愛い。思わず親馬鹿して載せてしまいます。 |
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さて、いよいよ夜食兼宴会のお時間。ホテルの食事としては品数が少なくて地味だ。
固定燃料を点火して加熱するスキヤキだけが、唯一豪勢な印象を与える。が、見た目は美味しそうなお肉も、食べてみるとあまり味がしない。安物らしい。スキヤキの味付けも薄く、可もなく不可もなし。ま、大量の食事を出されてもそんなに食べられないし、お酒を飲むのが目的みたいなもんだから、この程度でいいのだろうとは思うが。特に「こりゃ美味しい!」ってものがなかったのは残念だった。
それと、お子様メニューはない。やっぱり大人向きのホテルなのだ。 |
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これは翌朝の食事。実にシンプル。朝から大して食べられないから、これで足りないということはないんだけど。ま、ちょっと寂しいわね。
さて、食後は1時間ほど部屋でゆっくりくつろいだり荷物整理したりした後、9時半に部屋を出てチェックアウト。大広間に荷物を置いて、10時半のバスの時間まで自由行動である。
そこで原さん、幹事母娘とともにホテル近くのガラス工芸のお店へ行ってみた。綺麗な色とりどりのガラス製品を見て思わず奮発、ネックレス、ブローチ、パワーストーンなど、9千円ほどの買い物をした。 |
| それにしても、温泉街のまんじゅう販売はかなり凄まじいものがある。年に2回以上は草津の湯に入りに来る我が家であるが、温泉街を歩くことは滅多にない。 |
ところで、このホテルの最大の特徴は、帰りのバスを待つ間に大衆演芸を見物できるということだ。
ホテルの至るところにこうしたポスターが貼られていた。わたしたちが荷物を置いた大広間に舞台があり、そこで上映されるらしい。
空き時間に外で暇つぶしして他の饅頭を買ったりしないよう、ここで過ごさせようという作戦なのだろうか。
どうしてもこれが観たい! という人は少ないだろうが、それでも大広間ではけっこうたくさんの人が座って演劇を観ていた。
出発時間が近づいてきたので荷物を取りに行ったら、ちょうど厚化粧のおじさん?が演歌をバックに踊っているところだった。
なんともB級なノリである。 |
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演劇の一コマ。踊っているのは、椿一座の椿マー坊という小学4年生。
一家でドサまわりをしながら、こういう温泉地などで踊っているのだろうか。ちゃんと学校へ行っているのかな。それとも地元の子かしら。わたしも母親なので、こういう子どものことは非常に気になってしまう。
荷物を取りに行っただけなのに、マー坊の出演だけはしっかり最後まで見てしまった。見ると、娘もちょこんと座ってマー坊を見ている。その目には、マー坊がどう映ったのだろうか。 |
いよいよ10時半となったので、荷物を持って外に出る。間もなくお客を乗せたバスが到着し、年配のおばちゃん・おじちゃんたちが降りたつ。
トランクスペースから彼らの荷物がすっかり降ろされたところで、わたしたちの荷物を入れて車中に乗りこんだ。
先ほども書いたが、帰りはドライブイン「「田吾作」に立寄ってお蕎麦を食べた。ここは別料金、各自のお会計となる。ここのお蕎麦はあんまりおいしくない。というか、平均点なのだろうが、長野の十割蕎麦などを食べ慣れた舌にはイマイチなのである。
食べ終わってから、わたしはホテルの部屋でも食べたおまんじゅうを買ってバスに乗りこんだ。
このおまんじゅう、けっこう厚めの皮がお気に入りなのだ。 |
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| 娘とヒトミちゃんが開いた時間に造った雪だるま。笹の葉のスカートが可愛い。 |
帰り道はこちらの指定するルートでお客を落としつつ帰ってくれ、なかなか親切である。また、車内ではお酒は原則禁止と書いてあったが、委員長が了解を得たのだろうか、堂々とビール、焼酎などをまわしての酒宴となった。
その点では、観光バスをチャーターしての旅行となんら変わらないと言ってもいいだろう。
まあ、あれこれ不満を書き連ねたが、またこのホテルを利用する団体旅行があったとしたら、ぶつぶつ文句を言いながらも参加するかもしれない。団体旅行はそれなりに楽しいものである。
でも、できればもう少しグレードの高いホテルだったら、もっと良かったんだけどな。それには自分が幹事になって、意にかなうホテルを選別するよりないだろう。
帰りのバスでは、委員長も「来年も一泊旅行やりましょう」と言っていたことだし、幹事に立候補するか? |